↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/28

第28話(最終話):安らぎへの手続きと永遠の休息

タルゴムの葬儀には、神聖なラッパの響きも、絹の旗頭もなかった。だが、その死は知られたる世界すべての脈動を止めた。


ノヴァ・アルゴラスの広大な湾には、雨の予感に満ちた鉛色の空の下、数千もの人々が完全な静寂の中で集っていた。柳の木の挿し木を抱えたセレンゾナスのエルフたち、すすの消えた綺麗な手をしたドワーフたち、火花を抑えたジェナシたち、そして北の港の水夫たちが、粗末なマツの木箱が地面へと下ろされるのを息をのんで見守っていた。


数十年間にわたり、塩水で歪んだ手を持つあの老漁師は、決して君臨せず、法に署名もせず、いかなる称号も受け入れなかった。彼はただ村から村へと歩き、耳を傾け、仲裁し、すべてのモルタルたちに「お前たちの人生はお前たちだけのものだ」と思い出させ続けただけだった。彼は生きてきた生き様そのままに死んだ。ついに胸を張って歩むようになった大陸全体の静かな敬意に包まれ、ただ純粋な疲労によって息を引き取ったのだ。


木箱の上に最後の土が投げかけられた時、タルゴムの意識は光の中に溶け去ることはなかった。


古びたエーテルエレベーターの軋み音が、錆びついたくず鉄のような重々しさで響き渡った。冷たい鉄の扉が乾いた悲鳴を上げて開き、天界永劫事務総局の大広間が姿を現した。


しかし、かつての大広間はもはや存在しなかった。


白大理石の塔は崩壊して「虚無」へと消え去っていた。ゼネクスのプリズムは、隅っこに転がる灰色の光を失ったガラスの破片の山に過ぎなかった。AediとKikiは消滅していた。彼らの存在を干上がらせた、完全なる信仰の欠如によって呑み込まれたのだ。浮遊するケースファイルも、黒く輝く封蝋印章も、無限に続くフォルダの廊下も存在しなかった。そこにあったのは、ただ一つ置かれたデスクランプの仄暗い光に照らされた、広大で静かな黒い空虚だけだった。


その無限の暗闇の中央、色の褪せたマツのデスクの後ろに、Dromaがいた。


タルゴムはいつもの重々しい足取りで前に進み出た。存在しない床に対して、彼の革ブーツが音を立てた。彼は破れた緑の麻のチュニックを着ており、その手は塩で汚れた爪と鍛え上げられた皮膚を持つ、不格好で本物の手だった。彼はデスクから二メートルの手前で立ち止まった。


Dromaは顔を上げた。彼女はもはや監査役の整然としたチュニックも、冥界の記録用バインダーも身につけていなかった。疲れの滲む顔立ちをしていたが、その瞳にはかつての企業的な冷酷さを削ぎ落とした、しらふの明晰さが宿っていた。


「随分と時間がかかったわね、漁師さん」

残響も会計記録の響きもない、穏やかな声で言うDroma。


「下の世界は仕事が多くてね。許しを乞うべき相手がいなくなった時、人々はどうすればいいのかよく分かっていなかったんだ」

すべてを飲み込んだ「虚無」を見回しながら答えるタルゴム。


「もう許しを乞う相手なんて誰もいないわ。システムは三十年前に崩壊したの。信仰心がゼロになった時、口座は自動的に閉鎖された。欠員も、効率性クレジットも、再分類の申請書も、すべて終わりを迎えたのよ」

木製の羽ペンをデスクの上に置くDroma。インクは完全に乾ききっていた。


「それは良かった。酷い建築様式だったからな」


Dromaの口元に微かな歪みが浮かんだ。それは彼女の石のような顔が見せた、最も笑顔に近いものだった。彼女はデスクから立ち上がり、木目の横を通り抜けてタルゴムの隣に立ち、書斎の向こうに広がる無限の暗闇を見つめた。


「彼らは官僚機構こそが宇宙を維持する唯一の方法だと信じていた。ゼネクスは、すべてのお告げや魂を革のフォルダに記録しなければ、存在そのものが混沌の中に崩れ去ると考えていたの。でも彼らが作り上げたのは、無限の待合室に過ぎなかった」


「人々が必要としているのは待合室なんかじゃない、Droma。自分が成し遂げたことが痛みを生み、価値を持ち、そして終わったのだと知ることなんだ」

自分の塩水に濡れた手を見つめるタルゴム。


「誰かがドアを閉めなければならなかったから、私はここに残ったの。魂は今も届き続けているわ、タルゴム。もはや審判や行政的な行き先を求めてやってくるわけじゃない。自分の人生の重みを抱え、怯えながら、もう誰にも捺すことのできないスタンプを待っているの」

冷たく、しかし完全な誠実さをもって彼に向き直るDroma。


「なら、スタンプなんて捺さなきゃいい」


タルゴムは薄暗がりの境界線へと歩み寄った。空虚の暗闇の中で、微かな光が点滅し始めた。地上で命を落としたばかりの最初のモルタルの魂が、静寂の広大さに震えながら、手探りで進んできていた。


Dromaが近づき、灰色の手を差し伸べた。確実で精密な仕草で彼女はその魂の輝きを受け止め、移動の不安を取り除き、裁かれたり分類されたりすることへの恐怖を剥ぎ取った。誰よりも「死」の構造を知る者の手腕をもって、苦痛に満ちた記憶の重荷を降ろさせていく。


そして、タルゴムが一歩前に出た。彼はその分厚く温かい手を、その光の上に重ねた。


老漁師は祈りも、天国の約束も口にしなかった。北国の引き潮のように深く穏やかなバリトン声で、彼はただ二つの言葉だけを囁いた。


「もう、大丈夫だ。休みなさい」


魂は溜め息をついた——透明で、完全なる安らぎに満ちた柔らかい音だった——そして、ファイルとしてアーカイブされるのではなく、長時間の過酷な仕事を終えてようやく眠りにつく者のように、穏やかに永遠の中へと溶けていった。


Dromaはタルゴムを見つめた。タルゴムはDromaを見つめ返した。


抱擁も、愛の言葉も、ロマンチックな約束もなかった。彼らは運命によって削ぎ落とされ、本質だけを残された二つの対極する力だった——精神をすくい取る「守護者」と、そこに安らぎを与える「漁師」。


滅び去った世界の薄暗がりの中で、遠くからさらに多くの光が輝き始め、ゆっくりと近づいてきた。Dromaは再び両手を準備し、タルゴムは緑の麻の袖をまくり上げながら彼女の隣へと一歩踏み出した。


彼らは「忘却」の手前にある最後の境界線に、永遠にそこにとどまり続けた。

永遠というものは、スプレッドシートやスタンプ、あるいは官僚機構によって維持されるのではなく、ただシンプルで、決定的な、当然与えられるべき「休息」の上に成り立っているのだということを、暗闇に対して証明しながら。

Hello Japan!


It has been a while since my last update, sorry for taking so long! Summer jobs kept me really busy, but I’m finishing the story this weekend.


And yes, that’s right, it’s in English! I’m not from Japan—not even close!—but I love your country, your language, and your culture. That’s why I decided to write and share my stories here.


Thank you all so much for waiting and for reading my work!


***


【日本語訳】

日本の皆さん、こんにちは!

最後の更新から少し間が空いてしまってすみません! 夏の仕事が本当に忙しかったのですが、この週末で物語を最後まで書ききる予定です。


満足のいく結末をお届けできていれば幸いです。最後までタルゴムとDroma、そしてこの物語にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。