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美容室へ 2

 しばらく、お互いに顔を赤くしていると…


「そこ、イチャイチャしないの」


 床に倒れている店長から注意される。


「イ、イチャイチャなんかしてませんよ!」

「そ、そうですよ!」


 その言葉を聞き、俺たちは慌てて否定する。


「くそぅ!私もあと10歳若ければ、シロ様とイチャイチャ出来たのにっ!三十路手前のお姉さんだと香織ちゃんに遠慮しちゃうよ!」


 そう言いながら床を叩きながら血涙を流す。


(イチャイチャは冗談だと思うが、若さを理由に俺と話すことを遠慮してるってことか?)


 そう思ったため、俺は行動に移す。


「えーっと。店長はまだまだ若くて綺麗ですよ。だから遠慮することなんてないと思いますよ」

「ホントに!?」


 店長は勢いよく立ち上がる。


「はい。なのでいつでも声をかけて――」

「いつでもイチャイチャしていいの!?」

「何でそうなる!?」


 俺の言葉が伝わっていないようだ。

 そう思い訂正しようとするが、その前に涼宮さんがジト目で見てくる。


「ねぇシロくん。私の目の前で店長を口説かないでくれるかな?」

「違う!俺は店長を口説いてたわけじゃなくて――」

「じゃあ無意識に店長を口説いてたんだね。さすがシロくんだよ」

「いや、だから違くて」


 そこから誤解を解くのに、かなりの時間を要しました。




 なんとか誤解を解くことに成功する。


「じゃあ、香織ちゃん!報酬のシロ様秘蔵写真を!」


 店長の発言を聞いた涼宮さんはバツが悪そうに話す。


「えーっとですね。実はそんな物、持ってないんです」

「な、なんだと!?私は騙されたのか!?」

「そ、そうなりますが、よく考えてください。ここにシロ様本人がいます!」

「そ、そうか!今、私が秘蔵写真を撮ればいいのか!」

「そういうことです!あ、でも、シロくんがダメって言ったら諦めてくださいね」

「ラジャー!」


 そう答えた店長が俺のもとへ来る。


「あ、あの、シロ様。何枚か写真を撮ってもいいですか?」

「はい、いいですよ。店長にはお世話になりましたので、俺の写真でよければいくらでも撮ってください」

「ありがとうございます!少し準備してきますね!」


 元気よく言った店長が店の奥に消える。


(俺の写真を撮っても良いことなんかないと思うが。まぁ、店長には営業時間外に付き合ってくれたので断らないが)


 そんなことを思いつつ少しの間、待っていると店長が戻ってきた。

 一眼レフを持って。


「いやー!職場に一眼レフを置きっぱなしにしててよかったー!あ、早速撮らせていただきますね!」


 そんなことを言いながら連写する店長。

 その後、涼宮さんが止めるまで、店長は連写し続けた。





〜涼宮香織視点〜


 店長を無理やり止めて美容室から出る。

 そして、私たちは夜の街を歩く。

 シロくんは髪を切ったことによりシロ様と気づかれる可能性があるため、私と同じようにマスクとサングラスをつけている。


「今日はありがと、涼宮さん」

「気にしなくていいよ!」


 シロくんが何度も感謝を伝えてくる。


(こういうところもシロくんの良いところだよね)


 そんなことを思う。


(それにしても――シロくんカッコ良すぎ!今も、なんとか会話できてるけど、これはマスクとサングラスによって、顔をしっかりと見ることができないから!今、マスクなしのシロくんを直視したら、店長のように倒れる自信がある!)


 シロくんのカッコ良さに思考回路が奪われる。


 そのため周囲への注意が疎かにになっており…


「痛っ!」


 私は派手に頭を電柱にぶつける。


「大丈夫?」


 隣を歩いていたシロくんが聞いてくる。


「う、うん。カッコ悪いところ見せちゃったね」


 頭を抑えつつも気にしないように伝える。


「ホントに大丈夫か?もしかしたらおデコに傷ができてるかもしれんぞ?ちょっとごめんな」


 そう言ってシロくんが私の正面に移動し、私の髪の毛を持ち上げる。


「はわわわわっ!」


 突然のシロくんの行動と、シロくんの顔を至近距離で見ることになり、バグってしまう。


「うん、傷はなさそう――ど、どうした?顔が赤いぞ?はっ!も、もしかして熱があるのか!?」


 そう言って今度は私のおデコに手を当て、熱がないか確認し始める。

 それにより、今以上に顔が赤くなる。


(ちょっ!何で今日はこんなに積極的なの!?いつもは私からアプローチするくらいなのに!こ、これが髪を切ったことによる効果なの!?)


 いつもと違うシロくんに振り回される私。


「熱はないようだが、ホントに大丈夫か?」

「う、うん!大丈夫だよ!ちょっとシロくんが積極的でビックリしてるだけだから!」


 私の言葉に自分がしていたことを理解したようで、ものすごいスピードで私のおデコから手を離す。


「す、すまん!俺はただ涼宮さんが心配になっただけだから!涼宮さんのおデコを触りたかったとかじゃないから!」

「う、うん。分かってるよ。その、心配してくれてありがとね」

「あ、あぁ。涼宮さんに怪我や熱がなくてよかったよ」


 そう言ってシロくんが安堵する。

 真っ暗な夜だが電柱の真下にいるため、シロくんの表情がよく見える。


(やっぱりカッコいいなぁ。って、見惚れてる場合じゃなくて!私、シロくんからの接触に慌てすぎだよ!も、もしかして私って責められるのに弱いとか!?)


 そんな自問自答を心の中で行う。


 すると、そのタイミングで…


「ママー!あの2人、電柱の下でイチャイチャしてるよー?」

「ふふっ、電柱の下だと暗い夜でも関係なくイチャイチャできるからね。邪魔したら悪いから、別の道を通りましょ」

「うん!」


 親子2人の言葉が私たちの耳に届いた。

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