第一話 黄昏
燃え盛る魔王城にて、ふたりの男はそれぞれの想いを胸に覚悟を決める。分かたれたふたりの進む道とは―
木々が不動を貫き、鳥や虫すら唄わない森を突き抜け丘にたどり着いた。息も絶え絶えに振り返った彼の目に映ったのは赤く染まった都だった。
(もう二度と戻れはしないのだな……)
黒色の混じった紅蓮につつまれる都を遠目にアルドバルトの頬を雫が流れる。
その雫がこぼれぬように拭い、故郷を背に再び歩みだす──
(ここで終わらせ、ここから始める……)
燃え盛る城の頂から街を見渡す。月光に照らされる彼の影は微動だにしなかった。
「王よ、反逆者アルドバルトの姿がみつかりません」
一人の臣下が跪き背後から報告するも、返答がない。
「王……?」
(全てを燃やし尽くし、灰としてもなおこの心が癒えることはない。もはや俺はこの世の全て燃やし尽くすまで止まらない。あの日から俺は……)
黒い空の下ではただ沈黙が続くだけだった。
そして2人の男は誓うのだった──
『この力ですべてを──』
「護る!」 「壊す!」
……い
……せい
「先生!」
そう呼ばれてはっとした。
「ごめんなさいエリス、少しぼうっとしていたようです。
苦笑交じりに弁明する。
「らしくないですね、先生がぼうっとするなんて。大丈夫ですか?先生すごく哀しそうな顔をしてますけど……」
「大丈夫、先生はいつも通り元気いっぱいですよ。ただ、ちょっと昔のことを思い出していただけです」
その言葉を聞いて安堵したのかエリスは微笑みをうかべた。
「おーいエリスー、先生ー!稽古の続きしよう!」
その声の方に視線を向けると、そこにはセイエンとカイリが立っていた。
そうだ。私は今この子達に稽古をつけているのだった……。
「今行くよー!」
そう言いながらエリスが二人のもとへ駆け出した。
遅れて私も彼らのもとへ歩みを進めた。
(あれからもう300年になるか……。色んな人に助けられてきた、託されてきた。私ももう長くはない。紡いできたこの力で、私自身で決着をつけなければ。これはリヒトと私の戦いだ……)
「先生ーっ!はやくー!」
「今行きますよー!」
セイエンに急かされながら先生は歩いていた。
(だが、それもこの子たちを育ててから。私は今、彼らの先生なのだから──)
はじめまして久遠です。初めての作品で表現がうまくできなかった部分も多々ありました。表現の意見や感想または質問など書いてもらえると嬉しいです!




