雨夜の品定めの話 その1
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兄がまたやってきた。さあ、昨日も一昨日も雨だったよ。あったんだろう。雨夜の品定め。心はギラギラしているが、顔に出さないように気を付ける。
「おにいさま、何か変わったことございまして?」
「うん。まあ・・・」
言いにくそうだ。好き勝手に話していたんだものね。
「わたくし、おにいさまや頭中将さまのお噂をお聞きするたびに、うちの殿にもそういうことがあったらどうしましょうと思いますのよ。」
「かの君に限ってそれはないよ。」
私もそう思う。
「参考までに男性が女性をどう見てるのかお教えくださいまし。」
かわいい妹のおねだりに勝てるなら、勝ってみろ。
思った通り、兄の負けだ。
「これは、私の意見ではないよ。」
「はい。」
今日は兄は一人なので御簾の中に入ってもらった。几帳はある。几帳も押しのけたいところだが。
「先日ね、また宿直をしてたんだ。そこに頭中将がやってきてのんびりしてたんだ。
そんな時に、彼が、私の厨子(書棚)を見たいというものだから、どうせ差支えないものだしと思って見せたんだよ。」
「まあ。他人との文をお見せになったのですか?わたくしのも?」
「大したものはなかったからね。君からのは見せていないよ。」
「ようございました。」
頭中将に情報を与えないでほしい。興味を持たれたら終わりだ。
「お返しに彼のも見せてくれと言ったんだけど、そうすると彼が語るんだ。
なかなか理想の女性はいないって。自分が優れていることを鼻にかけて他の人を見下す女性は見ていられない。って。」
「そうなんですの。」
「親に大切にされている女性ほど、欠点が隠されていて、付き合っていくうちに本性が見えきてがっかりしないことはないって言ってたよ。何かあったのかな?」
あったんでしょう。きっと。頭中将も失敗談おおそうだもんね。
「かもしれませんね。お気の毒に・・・」
「ね。そして、ちょっと気になって聞いてみたんだ。「一つも才能がないひとなんているのか?」って」
「まあ。」
「そうしたら、そんな人のところには騙されて寄り付きようがないってさ。そういう人と完璧な人は同じぐらいいるはずだ。と言うんだ。」
「まあ、そうなのかしら?」
「どうだろう?上の品(上流階級)の女人は、大切に育てられて、人目につかないので、様子が自然と格別だと。中の品(中流階級)の女性は個性があるって、下のきざみといふ際(下流階級)には興味がないってさ。」
「まあ。物知りでいらっしゃるのね。」
「わたしもそう思って、もっと聞いてみようと思ったんだ。」
「おにいさまは何がお気になりになったの?」
「中の品ってどういう人たちのことを言うのかなと思ったんだ。」
「そうですわね。どういう人たちのことを言うんですの?」
わくわくと私は先を促した。
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