クリティカルヒットで目立ってしまった!
第14話 クリティカルヒットで目立ってしまった!
ミカエスの住むヒミン村は、ジャイアントボア狩りで盛り上がっていた。
一日で3頭のジャイアントボアを仕留めて、肉や毛皮や牙を売って金に変えて、狩りに参加した村人達に分配した。
懸賞金がかけられていた1頭の報奨金も村人達に均等に分配したが、狩りで活躍したカシムにはボーナス金が支給された。
またミカエスにも、ジャイアントボアを誘導したボーナス金が支給された。
「子供だから、あまり危険なことはやめてくれよ。カシムさんの推薦だったから参加させたんだから、調子にのって頑張りすぎるな!」
……と言われ、大人に釘を刺されてしまった。
俺が能力を使えば、一人で数体は狩れるのに!
思わず口から零れ落ちそうになったが、その言葉をミカエスは飲み込んだ。
「農作業の合間を見計らって、このジャイアントボア狩りを定期的にやりましょう。」
カシムが村人達にそう言った。
「おーーーーっ!」
「カシムさんがいれば100人力だ!」
「これで税金はなんとかなりそうだ!」
「カシムさん!また頼むよ!」
そう言って村人達はカシムを褒めていたが、カシム本人は心から喜べなかった。
村人達が引き上げていき、カシムがミカエスのところへやって来た。
「なぁ、ミカエス。」
「ん?」
「俺の罠にかかっていたジャイアントボアは、お前がやったのか?」
「なんのことかな?よくわからないや。」
ミカエスはとぼけていた。
「だってよ、ミカエスの足跡みたいなのが沢山あったし、ジャイアントボアの体の傷が、お前が仕留めたのと同じような槍や大岩に当たった跡があったからな。」
「ギクリ!」
「へー、そうなんだ。誰かがやったんじゃないのかな?」
ミカエスは適当にごまかした。
「フッ、まぁそういうことにしといてやろう。」
カシムはそう言って立ち去った。
ヒミン村では、村人達によるジャイアントボア狩りが何度か行われた。
二回目のジャイアントボア狩りでは、ミカエスは目立たぬように離れた場所から、身体強化して投石でジャイアントボアを弱らせ、村人達を助けたりした。
また、ジャイアントボアが3頭同時に追い立てられてしまい、村人達が大ピンチに陥った。
「ぎゃー!」
「たすけてー!」
「ぐわっ!やられる!」
一人の村人が転んでしまい、迫りくるジャイアントボアの牙が、倒れた村人を襲う瞬間だった!
「危ない!」
咄嗟にミカエスは、一体のジャイアントボアの前の地面をストレージにしまい、落とし穴に落とした。
もう一体には、身体強化した腕でソニックブームを放って倒し、最後の一体には木の槍を投げつけた。
目立たないようにと思っていたが、村人達が殺されてしまいそうだったから、仕方なかった。
「おい、いつの間にか1頭が落とし穴に落ちてもがいてるぞ!」
「こっちの1頭は切り裂かれて、血を吹いて絶命してる!」
「この1頭は頭に槍が刺さって倒れてらぁ!」
「とりあえず、落とし穴のジャイアントボアをやってしまえ!」
村人達は落とし穴にはまったジャイアントボアを集団で攻撃し、退治した。
「こんな場所に誰が落とし穴を作ったんだ?」
「わからねぇーが、助かったな。」
「この木の槍はミカエスのか?あんな痩せた小さい子供がか?」
「頭の急所に偶然当たって、偶然倒せたんだろうよ。」
「それに痩せて小さいが、あれでガキ大将達三人を吹っ飛ばす怪力があるらしい。」
「へぇー。大したもんだな。」
「しかし、この血を吹いて倒れたジャイアントボアは不可解だな。」
「そうだな。」
「しかしよ、森で最近よく見かけるんだが、鋭利な刃物で切ったような跡をよく目にしたんだ。」
「あ!それ俺も見たな。」
「俺も見たな。岩に切った跡や、綺麗に真っ二つになった大岩があったな。」
「あれだ!きっとカマイタチや魔物の攻撃で倒れたに違いないな。」
ミカエスがスキルの練習をして岩を切りつけた跡を村人達が目撃していたため、魔物がやったことにされた。
落とし穴は偶然あったことにされ、ミカエスは偶然1頭のジャイアントボアを、槍でクリティカルヒットしたことにされたのだった。
◆
翌日、ミカエスは子供達の間で英雄視されてしまった。
「すげーぞ!ミカエス。」
「ミカエスはあの憎たらしいサラミー達を吹っ飛ばしたり、ジャイアントボアを仕留めたりした英雄だ!」
「誘拐犯を倒し、子供達を救ったマリスもいるが、また一人英雄が誕生したぞ!」
「ううっ、咄嗟のこととはいえ、凄く目立ってしまった!」
ミカエスは事が明るみになってしまって、だんだん自分が目立ってしまったことを悔いた。
「くぅ~、しばらくは大人しくしておこう。」
それからというもの、ミカエスはわざと失敗したり、グズグズして転んでみせたりした。
しかし、それを冷ややかな目でカシムは見ていた。
「ミカエスよ、お前、なんだかわざと失敗していないか?」
「ドキンッ!」
「えっ?ぼく、子供だからよくわかんないや。」
「そう、それだ!」
「実力があるくせに、なんかわざとらしいんだよな。」
「ギクッ!」
「お前、もしかして能力持ちなんじゃないか?」
「ギクッ!ギクッ!」
「えっ?の、能力ってなぁんだろーな?ぼくちゃん、わかんないや。」
「実力はあるが、嘘を隠す演技は下手だな。」
「俺は冒険者をやっていたからわかるが、ミカエスみたいな実力のある者は能力スキルを持っているんだ。」
「俺はお前が能力持ちで実力があるのは分かった。だが、お前は能力があると領主に目をつけられてしまうのを恐れて隠してるんだな。」
「俺はミカエスに借りがあるし、お前が好きだから、黙っておくよ。」
カシムはそう言って、俺が能力持ちだということを理解して、誰にも口外しなかった。
「ありがとう、カシムさん。」
ミカエスはカシムに礼を言って感謝したのだった。
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