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人種や差別を超えた先にあるもの

 次元固定が完全に終了したとの連絡が入ったのは、送水作業終了の3時間前であった。


 左舷艦首側の装甲の定着がしばらく進まなかったが、ここに来てようやく固着化。


 つまり海賊船ヴェンディダール号はようやく脱出に向けた行動を実行できるようになった。もし固着化ができておらず、次元の境界が曖昧なままに艦を動かせば対消滅反応で艦首が吹き飛んでいただろう。


 ヴェンディダール号をサルベージするにあたり、問題は山のようにあった。


 まずは拠点となっている台間フォートへ被害がでないようにすること。


 艦内で作業していたクルーたちの精神状態が限界に来ているので、フォートで休養をする必要があったこと。


 内部食料がかなり枯渇していたので、大規模な食糧補給が必要なこと。


 基本武装のほとんどが使用不能で、左舷側で砲塔を格納していた副砲が4門のみが稼働できるという状況であった。


 そこでファルベリオスは台間フォートの執行部との協議を開始した。


「キャプテン・ファルベリオスのクルーであれば恩人と同じだ。我々としても休息できるよう歓迎したいと思うが、これに反対の者がこの台間フォートにいるとは思えないのだ。キャプテンは何を危惧しておられるのか?」


 相談役医師の梛良が、ファルベリオス到着前に意見をまとめておいてくれた。


「そう言ってもらえてありがたいんだがな、ああ喧嘩っ早い奴はいる、だが弱い奴に暴力を振るう奴らはいないし、いたら俺が半殺しにする。えっと、多分そうじゃないな、伝わってないか」


「ねえファルベリオス君? あなたらしくないわはっきり言いなさい」


 瑞萌先生はすっかりファルベリオスの手綱を握るることに慣れてきているのか、降参とばかりに彼は事情を話し出した。


 「俺やミフユの肉体的差異って何か感じるところはあるか?」


 ファルベリオスの言葉にそういうことかと、梛良が答える。


「肌の色や髪の色などで差別したり、気味悪がる者はこの台間フォートにはいないはずだよ」


「そうか、じゃあ説明させてもらうが、俺やミフユは非常に発達した身体能力や寿命を持っていて【3号人類種】と呼ばれている。そしてうちのロッドや君ら地球人類のような特殊な身体能力や特殊能力を持たない種を【7号人類種】と呼ぶ」


 同席していた陽介は、ミフユから聞かされていた他の人類種についてのことだと理解した。


「うちの船には2号・6号を除く1号から9号までの人類種がいる。こいつら全員俺の大切な部下だ、なんとかここで休息させてやってほしい」


 ファルベリオスは頭を下げている。


 あのキャプテンが。


「頭を上げてくれキャプテン。我々は君達から返しきれない恩を受けた身だ、役に立てることがあれば全力で協力させてもらいたい」



< 分類表 >


 ・1号人類種

 最古参の人類文明の系譜 7号人類種と近縁であっても系譜に近ければ1号と分類 未知の力を持つ種族も多い。


 ・2号人類種

 環境に適応しすぎたため、化け物のような姿になった人類の成れの果て。


 ・3号人類種

 ミフユやファルベリオスのように身体能力や特殊技能を持つ人類


 ・4号人類種

 他の生物群の特徴を色濃く残す人類種 獣人種とも言う


 ・5号人類種

 主に昆虫との生物的融合が見られる昆虫人類 性格は種類によって大きく変わる


 ・6号人類種

 原始的な生活を行う原始人類のこと


 ・7号人類種

 特殊能力を持たず知的文化面が発達した人類


 ・8号人類種

 機械文明の発達で様変わりし進化、退化した器官が特徴的な人類 

 独善的で排他的な性格が目立つ。


 ・9号人類種

 霊的な進化を遂げた人類種であり、アストラルボディーを持ち生物学的な肉体を持たない種


                                          

 これらの分類を聞いた時、宇宙は広いと興奮を覚えたし実際にクルーたちが台間フォートへ降り立った時、住民たちの多くは遠目に彼らを見ていた。      


 基本的に人の好い連中ばかりだったが、8号人類種の半機械人間はあまり人と関わろうとしないため無理に話しかけなくていいという指示が出された。


 他には獣人種はいわゆるケモノ耳を持つイケメンクルーだったので、女子高生たちが大騒ぎしてあれよこれよと接待されていた。


 クルーの中で一番扱いに困ったのが5号人類種であるカマキリ型異星人 航海班長を務めるベルスタッドだった。


 見た目に凶悪そうなカマキリの見た目のため、大丈夫と分かっていてもどう接していいか分からずミフユたちに助けを求めていた。


「みんなそう怖がらんといてや。うちも仲ようしとうてたまらんへんねん。できれば素敵なハニーを探したくて仕方ない恋人募集中やで、まあ前の彼女と交尾した後に食われそうになったんがトラウマや! まあこれ鉄板ネタやで!」


 まあ盛大にすべってはいたが、SAT隊員たちが恐る恐る挨拶をし、外の空気を吸えて喜んでいる者ばかりだった。


 食事に関してはほぼ地球人と同じものを食べるそうで、カマキリ星人のベルスタッドも器用にフォークでパスタを食べてうまいうまいと喜んでいた。


 彼はいつの間にか子供たちと仲良くなっており、次の日は思い切り鬼ごっこを楽しむまでになっていた。



 男性陣にとって最も衝撃的だったのは通信士で金髪エルフ様の美貌を持つレティは、あまりの美しさに男性たちのハートを奪い取った。


 女性たちからも人気で、ガールズトークができることに感動し泣いてしまうなどかわいい一面を持っている。


 実際、最も人々を驚かせた存在は9号人類種で参謀のイルミスだろう。


 霊的ソウルボディーを持つ半裸の女性姿であり、見た目は美人な幽霊そのもの。気さくで話し好きのため多くの住民を戸惑わせるが、数日もすると打ち解けてしまっていた。


 最初はあまりの異形な姿で気味悪がられていたベルスタッドであったが、その陽気で人懐こい性格でたちまち人気者になったことに多くのクルーが驚き、ファルベリオスでさえ意外だったらしい。


 フォート住民たちにとって彼らが話してくれる宇宙の旅の話は、おとぎ話のような魅力にあふれた物語に聞こえていた。


 それを子供のようにわくわくしながら聞いてくれる住民の宇宙に対する好奇心に、ヴェンディダール号のクルーたちもいつしか彼らとの交流を、人柄に惹かれていく。

地球もこんな風に差別がなくなり仲良くなってほしい

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