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歴史へと続く
ダモンは大型船から離れていく港を見ていた。
数多くの民が手を振って見送ってくれている。
「まさか、本当についてくるなんて」
苦笑するダモンの隣に立つのは妻のアイシア。
ダモンは説得したのだが、自分もついていくと聞かなかった。
姉のマルシアも戦場という危険な場所にも関わらず、本人が望むならと許可する始末。
頑固な妻を持ったと折れたのはダモンの方だった。
「私たちは夫婦ですよ? たとえ行き先が戦場でも傍に居ますよ」
戦争と父との死別を経験したからか、アイシアは逞しい女性になっていた。
「レティシアお姉ちゃんも戦ってますかね」
船の進む先、青い海を見てアイシアがポツリと漏らす。
「かもしれないな」
「だとしたら会えるかもしれないですね!」
二人は手を繋ぎ、微笑み合う。
戦争は続き、それは歴史として語り継がれていく。
これが四百年前に起こったお話。
アークたちの時代まで騎士物語として語られる英雄譚の真実。
そして武力と貿易によって世界に覇を唱えた都市国家の始まりだった。
白き伝説 完




