臨時会議
臨時会議
訓練用砦と辺境伯領都を繋ぐ地下道は全長8kmあり
地下道の側面に宿屋用スペースや商店用の空きスペースが連なっている。
フロランシアが設計と施工をしたらしい。
その中の広めの一室を借り切って、避難民代表と各領の代表と辺境伯の代表が集まって今から会議だ。
椅子代わりの石材の上に魔物の毛皮を乗せそれぞれの面々が揃った。
議長はローレンツ家の長男だ。
それぞれの代表が現状と要望を報告した。
まとめるとこんな感じだ。
「現在、ローレンツ家5名中4名が訓練用砦1号棟、1名がヴシュターク領へ疎開中。
ローレンツ家使用人は50名中50名が訓練用砦1号棟。
ローレンツ領民と関係者533名中520名が客棟、13名がローレンツ領地に残留。寄子のアビエス家40名は客棟。
ローレンツ領兵200名中200名はローレンツ4号ダンジョン駐留中。
ヴシュターク家4名とヴシュターク家使用人30名は訓練用砦1号棟
半月後、客棟のローレンツ領民420名
ローレンツ家使用人50名
ヴシュターク家使用人30名
寄子のアビエス家38名
以上は
ローレンツ4号ダンジョンへ移動。
ローレンツ領関係者50名は各自の判断にて移動。残り50名は未定」
そこまで報告したところで辺境伯閣下が小さく手を挙げた。
「報告にあったローレンツ4号ダンジョンの入口所在地は?」
私は閣下に「読んだら焼いて下さい」と告げ秘密契約を刻印したメモを渡した。
メモの内容はこうだ。
「3日前突然発生したダンジョンでローレンツ領都の中央に最初の入り口が発生したが現在は厳重に封鎖。現在の出入り口は訓練用砦1号棟と2号棟の中間地点の地下道側面の宿屋用スペースに入り口が発生。ダンジョンはローレンツ領とここフォード領を繋いでいる大規模なダンジョンと思われる。1層目は穏やかな気候と穏やかな魔物がおり、安全なダンジョンと確認されたので保全して避難場所として活用したい」
読み終えた辺境伯閣下は片眉をピクリと上げ唸った。
「都合良すぎないか?こんなタイミングでこのような存在が」
「妻に口止めされている部分が多すぎまして、報告が遅れました事心よりお詫び申し上げます」
「あー。君の奥方や君の娘さんは秘密主義だからなぁ」
閣下はメモを指先に持ち、小さな火魔法を放つ。
メモがチリチリと燃え落ちていく。
「話は戻るが急に知らない家名が出てきたな。アビエス家ってどこの誰よ?」
「長男の嫁の実家です」
「嫁の実家って……親族じゃない者たちまで連れてきてたのか?」
「ええまぁ寄子ですし長男の嫁の父親は私の職場での同僚ですから」
「一応紹介してくれよ」
「そうですね。閣下のスキルで悪意の有無を確認して下さい」
私はアビエス家の当主を閣下の元に案内した。
閣下はアビエス家当主を見て片眉を上げた。
「ずいぶんとお若いようだが……未成年ですかな?」
「はじめまして辺境伯閣下。私はアビエス騎士爵当主アンブロース・アビエス950歳です」
「950歳とは。エルフかね?」
「いいえ。ハーフエルフです。妻は75%エルフですが」
「ふむ。ローレンツ君の奥方もハーフエルフだったよね。そっちの方の親戚なのかね?」
「いいえ。違いますね。ローレンツ卿の奥方様はアーセルの森のテレジア様ですよね。私はアビエスの森のアンブロース。私の妻はシダーの森のエルヴィラ。ローレンツ家に滞在している家庭教師のフラナガン・シダーは私の妻の兄です」
私はエルフ界隈の狭さに心の中で動揺した。
妻がハーフエルフなのを忘れていた訳じゃないけどアーセルの森って何?
結婚時に妻が連れてきた庭師や料理人や侍女やメイドはハーフエルフだったな。
あれ?ローレンツ家で純人間は私だけ?
領兵長は時々耳が長かったり短かったりで不思議に思っていたのだが、アレはポーション飲むと伸びちゃう系なのか。
普通のおっさんだと思っていた。
ローレンツ領で早々と年を取り老いて老けてくのは私だけ?
家族は若々しいのに私だけ爺になるのか!!
あ、目から汗が…………
「ローレンツ君泣いているのかね?」
「ええ、まぁ。私だけ年を取る事に今更気付いて……」
「泣くのは後にして要望の方も報告してくれたまえ」
「はい」




