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大崎真の香港旅行記 ~素人が行く旅エッセイ 添乗員がしっかり同行 安心の満喫プラン4日間~  作者: 大崎真


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13/14

13、五月六日③ホテル日航香港―→香港国際空港

 十二時四十分、ロビー出発。

名も知れぬストレートヘアの女性の指示に従って、我々ツアー一同はぞろぞろとバスに乗り込んだ。


そのままバスは、九龍カオルーン半島からランタオ島へ移り、チェクラプコク島へひた走る。昨夜の夜更しが効いているのか、バスで爆睡してしまった。最後だというのに、車窓の景色はびっくりするくらい憶えていない。


 そして、とうとう来てしまいました、香港国際空港。

まだ謎のベールに包まれたままであるガイドの女性は、バスが止まると、きびきびとした足取りで、空港内の旅客ターミナルフロアへさっさと入っていった。慌ててついていくツアー一同。ちょっと愛想のない女性だ。


 入国時は到着フロアからさっさと表に出てしまったが、出国の場合は離陸までの時間がたっぷりあるため、ゆっくりと空港内を観察することができた。


旅客ターミナルはY字型の全長1.75㎞の長さで、外光を取り入れた設計のため、内部は自然の明るさに満ちていた。吹き抜けの天井から差し込む優しい光と、広々としたフロアは非常に快適で過ごしやすい。


 チェックイン・フロアへ導かれ、ずらりと並ぶチェックイン・カウンターの順番を待つことになった。じりじりと進む列に従ってトランクを引っ張り、順番が来ると、利用する航空会社のカウンターでパスポートと航空券を提示する。航空券を搭乗券に替え、機内預け入れ荷物を預けてチェックインした。その際、クレーム・タグ(荷物引換証)を受け取ることになっている。


 チェックインが済むと、まずお腹がすいていたため、我々は昼食を取ることにした。

エスカレーターを上がって左手の、中華レストランへいそいそと入る。

テーブル席に着き、五人が思い思いに注文すると、しばらくして食べ物が運ばれてきた。ちなみに、私はチャーシュー麺とオレンジジュースを頼んだ。

そして、みんなで一斉に食べてみて、一斉にハモった。


『まずい』


満場一致だった。お腹がすいているというのに、めちゃくちゃ、まずかった。

それは「ここは確かに食の都、香港だよな?」と思わず疑いたくなるほどで、いかにもチャーシュー麺はまずいの一言であった。しかも、ぬるい。はっきり言って、ラーメンというものを誤解している出来映えだ。


というか、ラーメンというよりも、味付けはゴムだった。

タイヤやらチェーンやらゴムやら、なぜか香港のまずい味の場合、必ずと言っていいほど、中小企業の機械工場の味がお口の中でハーモニーとなって広がる。


食の都として世界中の美食家たちをうならせる噂の香港人だが、一口に香港人と言っても、舌の具合はピンキリなのだろうか? しかし、なぜかオレンジジュースは非常においしかった。なんでオレンジジュースに力入れとんねん。最後まで分からない香港人である。


 福本はサンドイッチを頼んでいた。しかし、実際やってきたものを見ると、つまみであるはずのポテトチップスの方が量が多かった。しかも、ポテトチップスの方がうまいらしい。


「量が少ないのをごまかそうとしてるんかな?」


と、一人が思い付き、


「いや、でも、ごまかせてないしや……」


と、福本は不服そうにパリッとやっていた。しかし、やはりオレンジジュースは誉めていた。ここの店は、飲みもの専門店に変えることをお勧めする。近いうちに、真摯にこの問題に取り組んでほしいものだ。それとも、ジュース類は仕入れているだけなのだろうか。


 レストランを出て、我々は両替所で香港ドルを日本円に変えることにした。ただし、細かい小銭などは日本円に届かないため、変えてもらえないことがある。少しずつ、日本に近付いており、なんだか感慨深い。


 また両替所の他に、この階には、スカイ・マートと名付けられたショッピング・ゾーンがあり、多くの人で賑わっていた。免税店,書店,有名ブランドブティック,ファーストフード店など、百四十軒の店が到着フロア,チェックイン・フロアなど何ヵ所かに分かれて並んでいる。

私は食べ物を買っていないことに気付き、ある土産物屋でマンゴープリンやら饅頭やらを適当に買い込んだ。

その際、藤井が、


「チョコレート食べた?」


と、訊いてきた。

すぐにはピンと来ず、不思議そうな顔をすると、藤井は試食用の一口サイズである、スティック状のお菓子を教えてくれた。スティック状のクッキーの中に、チョコレートがびっしり入っている、いかにも高級そうなお菓子だ。試食用を食べてみた。


うまいっ!


 確かこれは、ホテル日航香港前のDFSギャラリアでも売っていた代物だ。


突如として、忘れていた記憶が脳裏に蘇ってきた。DFSギャラリアの一階で藤井と土産物屋をまわっていた際、この一箱のお菓子が他の物より飛び抜けて高かったため、二人でクッキー一本分がいくらに当たるのか計算して、それが百五十円だったことにビックリして逃げて帰ったのだ。それが、この味だったのか……。


確かに一本百五十円の価値はあるような気もするが、しかし、やはりこれは庶民である我々の手に届くような甘っちょろい代物ではない。

私達二人は、試食用のミニサイズが包装紙に入っているのをいいことに、一本をこそこそとウエストポーチに忍ばせることにしたのだった。


普段の生活から滲み出るせこさは、時に姑息で悪辣な手段も平気で犯す勇気を与えてくれる。良い子の皆さんは真似しないでください。私たちは特殊な訓練を受けています。(自分の好感度を下げてまで、一体なにを書いているんだろう。)


次は出国審査を受けることにした。パスポート,出国カード(入出国カードの一片),搭乗券を係官に提示すると、チェック後、パスポートに出国のスタンプが押されて、搭乗券と共に返してくれる。これで出国審査は完了だ。

後は、機内持ち込みの手荷物検査とボディー・チェックを受ける。

そのまま、我々はエスカレーターで一階下の出発フロアへ出た。


 一番規模が大きく、クオリティの高い店が並ぶのは、この階のスカイ・マートである。グッチ,サルヴァトーレ,フェラガモ,ニナリッチ,クリステャン・ディオールなど世界によく知られたブランドのブティックが集まっている。

香港最後のショッピングとあってか、こちらのフロアは更に賑わいを増していた。


私はというと、友達のためを思い、機内持ち込みで邪魔になるにも拘わらず、煙草をせっせと買い込んであげたのである。なんていい奴なんだろう。誰も誉めないから自分で自分を誉めてあげたいと思う。


 買い物も済み、時間も時間なだけに、我々は表示に従って搭乗ゲートへと急いだ。

読んでくださって、ありがとうございました。

次回に続きます。

次回でやっと最終回です。

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― 新着の感想 ―
前話と引続きゴムの味が出てきて笑いました。 ゴム、食べた覚えはないのに……なんかわかる……笑。 それにしても見知らぬ地で迷子になる不安感といったらやばいですよね(´・ω・`) 無事生還できてよかったで…
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