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【コミカライズ1巻 3月27日発売】【Web版】奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた  作者: tani
第二章 最難関!? 神々の塔攻略編

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攻略二日目の朝

 やはりベッドの質が良かったからでしょうか。

 いつもより目覚めが良くてスッキリしています。体もいつもより軽いです。

 気のせいといえばそうかもしれませんがまあいいでしょう。これなら今日の攻略は夜まで頑張れそうですよ。


 時刻は午前6時を過ぎた頃。

 タルトはまだ寝息を立てながらぐっすりと眠っています。

 昨日は帰りが遅かったので仕方ありませんね。タルトは毛布を横に飛ばしていたので優しくかけ直してあげます。


 ちなみに私は日々の習慣が体に染み付いてしまい、時計無しでも同じ時間に起きれてしまうタイプです。

 たまに寝過ごす時もありますが、ここ最近ではそのようなことはないです。

 

 でも本当の事を言うと、今日は朝早く起きれるか不安でしたね。もしかしたら私もタルトのようにまだぐっすりと眠っていたかもしれません。


 タルトを起こさずに自分の身支度を済ませてしまいます。

 着替えている最中に扉からノックをする音が聞こえました。

 人前に出ても問題ない格好まで着替えて、扉をゆっくりと開けるとそこにはエルトリアさんがいました。


「むっ、反応がなければ部屋に戻るつもりじゃったが起きておったか。もしや起こしてしまったか?」

「いえ、ちょっと前に目覚めていましたので」

「そうか。で、タルトは?」


 エルトリアさんを部屋の中に入れてタルトを見せました。

 

「やれやれ、腹を出して寝るとは風邪を引いてしまうぞ」

「私が起きた時にかけ直したんですけどね。エルトリアさんが来る間にまた避けてしまったのかも」

「まったく世話がやけるのう……」


 ベッドの下に落ちた毛布を拾い、お腹を全開で出しているタルトにそっとかけてあげるエルトリアさん。

 するとタルトは「キュ~」と寝言を言いながら気持ちよさそうにしていました。

 それを見たエルトリアさんは口角が少し上がり優しい表情でタルトを見つめていました。

 

「前々から思っておったが、タルトは愛らしくて可愛いのう。ロザリーが気に入るわけじゃ。このような可愛らしい生き物を妾も欲しくなるのう」

「え、エルトリアさんだからといってタルトはあげませんよ!? タルトは私の大切なパートナーなんですから」


 思わず大きな声を出してしまいました。

 でも、いくらエルトリアさんに世話になっているとはいえこれだけは譲れません。タルトがいなくなったら何で日々の疲れを癒せばいいというのですか!?

 

「これこれ、あまり大きな声を出すんじゃない。タルトが起きてしまうぞ。それに今のは冗談じゃ」


 まあ……なんとなくわかってはいましたけど……。


「妾にも御主と同じように従魔がおるからな。従魔の気持ちを考えると主人と離れたくないじゃろ。もちろんタルトだって御主と離れたくないだろうし、引き離そうだななんて思っておらん」


 エルトリアさんに従魔がいるのは初耳でした。

 その従魔はいったいどんな従魔なのでしょうか?

 予想できることと言えば、エルトリアさんほどの実力者が従える従魔なのですからその強さも確かなものだということ。 


「エルトリアさんの従魔、見てみたいです」

「悪いな。それはできん」


 申し訳なさそうにエルトリアさんは言いました。


「妾の従魔は気性が荒くて人前に出すと敵と認識して暴れてしまう。躾がなっておらんと言われたら面目ないのじゃが、被害を出さんためにも呼ぶわけにはいかんのじゃよ」

「ちなみにどれぐらい凶暴なんですか?」

「この周辺の建物を一分掛からず二十軒ほど全壊させてしまうぐらいかのう。まあ、今は遥か昔に負った傷を癒すために休ませておるからしばらく間、表に出すことはない」


 聞いただけでも十分な強さだというのがわかりますね。

 そんな従魔をここで解き放った日には【アルファモンス】がなくなってしまうのではないでしょうか? 

 いえ、一分掛からず二十軒の建物を破壊するならば間違いなくなくなりますね。

 エルトリアさんの従魔は最恐の従魔と呼ぶに相応しいものですよ。

 

「従魔に関してはもういいじゃろ。それより今後のことを話し合うから妾たちの部屋に──いや、まだ早いから8時ぐらいに冒険者ギルドに集合でよいか」

「今すぐじゃなくていいんですか? 準備も出来ているので今からエルトリアさんの部屋に向かっても──」

「気持ち良さそうに寝ているタルトを起こすのは可愛そうじゃ。寝る子は育つと言うしな。もう少し寝かせておこう。御主はタルトが目覚めるまで側にいてやるのじゃぞ。ではまたあとでな」


 そう言い残しエルトリアさんは部屋を後にしました。


 私はタルトが目覚めるまでの間、自分の杖を磨いたり、外の景色を眺めたり、タルトの寝顔を見つめたりして時間を潰します。

 そして午前7時30分を過ぎたところで──


「キュウ~」

「おはようタルト。よく眠れましたか?」

「キュキュイ!!」


 目覚めたタルトが元気いっぱいに返事をします。

 羽をパタパタと羽ばたかせ、既に定位置となりつつある私の膝の上に乗ってきます。


「ではエルトリアさんたちも待っていることですし行きましょうか。今日もダンジョン攻略頑張りましょうね」

「キュウッ!!」


 私たちは部屋を出て冒険者ギルドへと向かいます。

 

第二章は結構な長編になります。

現在『獣神の塔』攻略編ですが、この後の展開は──


《side リリィ》『機神の塔』攻略編

《side エルトリア》『魔神の塔』攻略編

《side ロザリー》『竜神の塔』攻略編

 ※話の順番は未定。


最後に『神々の塔』攻略編で第二章完結となる予定です。

リリィsideだけでなく、エルトリアとロザリーsideにも書きたいネタはあります。


自分の書けるペースで進めていますが、物語の進行度的には遅いと思われます。

ですが、今後とも更新を楽しみに待っていただけるとうれしいです。


あと明日の更新はいつも通り正午を予定していますが、無ければ午後8時から午後9時までの間。

それまでに更新がなければお休みということで。

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