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【コミカライズ1巻 3月27日発売】【Web版】奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた  作者: tani
第二章 最難関!? 神々の塔攻略編

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お金持ちになりました

 無事に冒険者ライセンスを手に入れたところで次に必要なのは資金です。


 一文無しの私にとって重大な問題。

 ステータスが高くともお金無しでは生きていけない。地下生活では無縁でしたがさすがに今はそうはいきません。


「ところで魔物の素材を売ることって可能ですか?」

「はい。こちらの受付で買い取りの申請を出して魔物等の素材を渡していただければ職員が査定致します」


 ということなので私は申請を済まして空間魔術の【異次元収納箱(アイテムボックス)】から【オルフェノク地下大迷宮】で調達した魔物を次々と出していきます。


 数が多いので大変ですね。タルトにも手伝ってもらってなるべく早く出し終えましょう。


 一体、また一体と魔物を出していくと周囲からざわめく声が聞こえました。

 

「おい、あんな魔物見たことないぞ?」

「この辺りには生息していない魔物だよな……。新種とか?」

「だとすれば価値は一気に上がるぞ。未知の魔物から取れた素材で作られた装備なんて欲しがる奴は多いだろ」


 などなど。

 確かに私が出した魔物たちはこの辺りには生息していません。一体でも生息してたら【セルビス】は半壊している、そんな魔物がたくさんいます。

 それはそうですよね。【オルフェノク地下大迷宮】の中でも最下層に近い魔物だらけなのですから普通に冒険者をしている人には敵わない相手です。


 しかし、少々やり過ぎでしょうか。先程は私のステータスを見ても大した驚きを見せなかった受付のお姉さんも口を開けて声も出ない様子です。


 これ以上驚かせても意味がないので今回はこのぐらいにしておきましょうか。別に全部今ここで買い取ってもらう必要もないですからね。

 あと私を狙うように見つめてくる冒険者が少し怖いです。

 

「これをお願いします」

「か、かしこまりました。ですがこの量──しかも見たことない魔物もあるので結構時間がかかると思いますよ」

「ちなみにどのくらいかかりますか?」

「そうですね……だいたい5日ほどでしょうか」


 時間がかかるのは別に構いませんが【セルビス】から出る船に乗って【アルファモンス】へ早めに行きたいので困りましたね。


「ここから【アルファモンス】に向かう船がありますよね。その船って結構頻繁に出てますか?」

「いえ、最近は魔物の出現が多いので週に一回、最悪一回も出ないこともあります。ちなみに【アルファモンス】へ向かう船は今日の午後3時に一本でますよ」


 尚更逃すわけにはいかなくなりました。

 これを逃すと次の船は一週間後。下手すればいつになるかわかりませんよね。だったら出航を予定している今日乗った方が良いに決まっています。


「もし全額必要ないのでしたら早めに査定が終わる魔物を優先して他の魔物は後日金額を振り込むことも可能ですよ?」


 あっ、その手がありました。

 冒険者ライセンスには冒険者であることの証明以外にも通帳の役割を持っています。これを利用すれば持ちきれないお金も管理できますね。

 仮に冒険者ライセンスを紛失したとしても使用できるのは本人のみ。冒険者ライセンスに含まれた血液と本人の魔力を専用の魔道具が感知し判断するのですよ。


「それでお願いしても良いですか?」

「はい。では比較的早めに終わるものから査定しますので30分ほどお待ちください。あっ、それと……こちらの魔物の運搬手伝ってもらえないでしょうか。職員全員で動いても移送に時間がかかるので」


 元はと言えば私が広げましたからね。手伝わないわけにはいきませんよ。

 魔物の素材は一度【異次元収納箱(アイテムボックス)】に戻して受付のお姉さんの案内のもと大きな部屋に移動してきました。

 そこに先程しまった魔物を出していき、仕事の邪魔にならないようにとロビーの方まで戻ります。


 そこから30分。私はロビーにあるソファに座って待ちます。

 この間、周りの冒険者から見られっぱなしです。魔物の素材を御披露目したのだから仕方ないことでもあります。

 でも声はかけてきませんでした。仮面の影響もあるのでしょう。端から見ればちょっと怪しい人に見えると思いますので。


「リリィ様、一部ですが査定の方が終わりましたのでこちらへどうぞ」


 呼ばれたのでついていき、先程の受付場所ではなく別室に案内されました。そしてテーブルには金貨がたくさん乗ったトレーがあります。


「こちら査定済みの金額、金貨40枚になります」

「そ、そんなにですか……!?」


 この世界に存在する通過は鉄貨、小銅貨、大銅貨、小銀貨、大銀貨、金貨、白金貨の全部で7種類です。

 価値は鉄貨が一番低く、白金貨が一番高い。10倍で一つ上の貨幣と同じ価値になります。

 

 それにしても金貨40枚ですか。

 実際目にしているからこそ現実だと理解できますけど、こんな大金は生まれて初めて見ました。これだけあったらしばらくは何もせずに生活できますよ。 


「リリィ様が討伐した魔物はどれも希少価値のある素材を持つ魔物ばかりでした。なので金貨40枚が妥当な金額になります。そして他にも希少価値のある素材は多数、あまり世に出回っていない珍しい素材もあったのでそれら全てを査定し後日まとめて金額を振り込む形になります」

「最終的な金額ってわかります?」

「あくまでも推測ですが白金貨30枚はあるかと」


 つまり金貨で言うところの300枚……。

 そんなにするのか……と思いましたが魔物のレベルや強さを考えるとそれぐらいいくのかもしれませんね。

 

 私、本当に何もせずに生活できるようになりましたよ。

 

 でも旅は色々な経験を得ることが出来るので止めません。


 とりあえず金貨40枚は【異次元収納箱(アイテムボックス)】に収納します。

 これで冒険者ライセンスも資金も手に入れることが出来ましたので目的は達成しました。

 

 そうだ、肝心なことを聞くのを忘れてました。


「【アルファモンス】行きの船に乗るにはお金とか払う必要ってありますか?」

「冒険者様であれば護衛役として乗船料金は一部免除されますよ。あとレベルの高い冒険者は全額免除──リリィ様でしたら該当しますね。船での移動とはいえ魔物は出現する事があります。更に場の条件は魔物の方が圧倒的に有利ですのでご利用の際はお気をつけください」


 心配してくれた受付のお姉さんにお礼を言い、仮証のことも冒険者ギルド側で対処してくれるようなので安心して【アルファモンス】行きの船を待つだけ。

 

 それまでは街中を観光しようと思います。


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奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた4
― 新着の感想 ―
え?泳げないのに船旅とか…マジモンの「勇者」か!
以前にも登録して活動していたはずなのに、魔物の価値について知らなさすぎるように感じます。邪魔者扱いされていたのだから、魔物を討伐した後の換金の係を任されていたと思っていましたが、違ったようですね。
[一言] 面白かったです。 次回も楽しみにしています!
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