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【コミカライズ1巻 3月27日発売】【Web版】奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた  作者: tani
第二章 最難関!? 神々の塔攻略編

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謎の女性二人組

 せっかく来た街なので観光しつつ冒険者ギルドへ向かっていましたが、やはり一文無しなのが悔やまれます。お金があれば買い物出来たのに。


 気にしても仕方ないので我慢して訪れたのは目的地の冒険者ギルド【セルビス】支部。外観は頑丈そうな石造りで三階建ての建物です。


 って、こんなところで冒険者ギルドの外観を見ても何も始まりません。

 他の方の邪魔にならないためにも中に入りましょう。


 扉を開けて冒険者ギルドの中に入ると数名の冒険者が振り向いてこちらを見てきます。中には不審に思っているのか難しい顔をしている冒険者もいました。


 理由は何となくわかります。

 

 おそらく仮面を着けた見知らぬ人間が来たからでしょう。【セルビス】に入る前からずっと着けてましたからね。

 何気に『黒白の仮面』を気に入って着けています。なんかミステリアスな感じでいいと思いませんか?


 しかし、私への注目は一瞬でした。


 私の姿を見てすぐに冒険者たちは別の方向を見直しました。

 

 彼らの見ている場所には何があるのか気になったので私も見てみるとそこには二人の女性がいました。 


 一人は白いドレスを着ていて灰色のロングヘアー。整った顔立ちに燃えるような赤色の瞳。私よりも身長が低くてお人形さんみたいです。

 あの服は確かゴシックロリータと言うんでしたっけ。これでも女の子ですし服に興味はありますが、たまに見かけただけで試着したことはないです。


 もう一人は執事のような制服を着ています。中性的な顔立ちで艶のあるクリーム色の髪が綺麗です。背も高くてスタイルもいい。同性の私から見ても格好いい女性だと感じます。

 

 それでその二人の目線の先には……一部始終を見ていなかったのでわかりませんが、大柄の男性が吹き飛ばされたような感じです。


「何かあったんですか?」

「あ、ああ。あそこに転がってる冒険者があの嬢ちゃんたちに絡んでいったんだよ。嬢ちゃんたちは最初気にも留めなかったんだが、白いドレスを着た嬢ちゃんに触れた瞬間に額を中指で弾かれて吹き飛んだわけさ」


 私の仮面に驚いていましたが、近くにいた冒険者のお兄さんに聞いてみると親切に教えてくれました。


 それにしても中指を弾かれただけで自分の二倍以上ある人間を吹き飛ばしたのですか……。相当な攻撃力をお持ちのようです。


「ふん。これでうるさいのは消えたな」

「左様でございますね。ですが少々やりすぎなのでは?」

「何を言うか。これでも最小限に威力は抑えたつもりじゃぞ。まったく……人族というのは脆すぎて加減する方が疲れる」


 言動から察するにあの男性を吹き飛ばした女性は私たちとは異なる種族ということでしょうか。


 世界には多くの種族が存在します。

 人族、巨人族、小人族、妖精族、獣人族、龍人族、耳長族、魔族が有名ですね。

 もちろん他にも種族はいます。獣人族や魔族にも種類が存在しますし。猫耳族とか吸血鬼族とか。


 白いドレスを着た女性は見た感じ人族ですが違うみたいです。他に当てはまる種族と言ったら魔族ぐらいですかね。


 個人的には魔族に悪いイメージを持っていません。

 魔族って悪いイメージがつきやすいですが、それは人族や他の種族が勝手に決めつけているだけでそんなに悪い種族ではないです。

 

 それに魔族側からすればこちらが悪かもしれません。

 もちろん人族とかよりは気性が荒く乱暴な方もいると思いますが、私たちにだって同じことが言えます。

 

 結局のところ私が何を言いたいのかというと、悪いイメージを勝手に決めつけるのは良くないってことです。


 私は相手が魔族だろうが他の種族だろうが差別はしません。

 というよりかは今の時代で種族の差別をする人の方が少ないと思いますね。みんな仲良く、これが一番です。


 話が少し脱線しましたね。

 白いドレスを着た女性は魔族で間違いないでしょう。魔族の中でもどんな種族かはわかりませんが攻撃力に特化した種族かもしれません。もう一人の方も付き添いみたいですし同じ魔族だと思います。


 そんなことを考えていると吹き飛んだ男性の事など無視して二人の女性は受付の方へ向かって歩きました。

 そして渡したのは袋に入った何か。


「受付嬢よ、済まぬな。これでも加減はしたつもりだったがここの壁を壊してしまった。中に金貨が50枚入っておる。建物の修理代に使ってくれ」


 そう言ってお金を渡すと二人の女性は冒険者ギルドから立ち去ろうとします。


「はぁ……何か面白い奴と会えると思ったんじゃがなぁ。こう、妾が興味を惹かれるような奴に出会いたいのう」

「【アルファモンス】に着けばお望みの方が現れるかもしれませんよ」

「そうじゃな。もうしばらく我慢し──」


 気品あるその女性を見て他の冒険者は道を譲るように移動します。

 私も流れで道を譲りましたが、ふと白いドレスを着た女性は足を止めました。


 場所は──私の目の前です。


 その女性は私の顔をじっくりと見つめます。

 仮面をつけているので表情は見えないはずなのにまるで全てを見られている感じがします。


「御主……名は何と言う?」

「……リリィ・オーランド……です」


 何故か勝手に自分の口から言葉が出ました。


「ふむ。で、御主は何故このような場所に来た」

「……船に乗って【アルファモンス】に行くためです。誰も攻略していないダンジョンを見てみようかと」


 そう言うとその女性は笑みを溢しました。


「カッカッカ! そうかそうか、なるほどな。どうやら妾の心配は不要だったようじゃ。リリィ・オーランドよ、御主には期待しておるからな。ではまた近いうちに会おう」


 行ってしまいました……。

 勝手に言葉が出たのはとりあえず置いておいて、私はあの一瞬で女性のステータスを鑑定で見てみました。


 そして同時に驚愕することになります。

女性の正体はまた次回。

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奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた4
― 新着の感想 ―
しかし、奈落に落ちる前、一銭もお金持っていなかったのかな?
[気になる点] 耳長族というのが人間とも獣人とも別に存在するのですか。興味深いです [一言] スカッとする魔法だなあ 電車で通学/通勤するすべての女性に装備させたい
[一言] どことなく魔王娘っぽい印象
感想一覧
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