宝箱を発見
アイススケートとは慣れれば簡単ですね。
氷の上を滑るために急造ですが氷魔術で靴底に鋭い刃を作ってみました。
と言っても靴底に刃のみを作るのは難しいので、結局靴全体を凍らせて刃と一体化されていますけどね。なので足元は冷え冷えです。
ただ最初に作った刃だと鋭くし過ぎたせいで安定せずに転んでばかり。
1センチにも満たない薄さで立つのは素人には難しい。後頭部をぶつけたほどではありませんが体の至るところをぶつけています。
さすがにこのままでは楽しめないと改良に挑みました。
するとどうでしょう。
今では自由自在に滑ることが出来ます。私にはアイススケートの才能があるかもしれませんね。
って、こう言っていると良からぬことが起きるのでほどほどにしておきましょう。
しかし、アイススケートは娯楽以外にも戦闘で役に立ちそうです。
地上限定ではありますが、氷の上を滑るだけなので走って移動する時と違って持久力を消費しません。
持久力は完全に消費しきってしまうと一定量回復しないと動くことが出来ませんからね。
魔物相手に長時間動けないとなると攻撃の的でしかありません。最悪ボコボコにされて死ぬでしょう。
まあ、私の場合は浮遊魔術で魔力が尽きない限りはいくらでも空を飛べますし、魔力障壁が自動で発動するのでボコボコにされることはないと思いますが。
じゃあ最初から浮遊魔術を使えばいいのでは?
私もそう思いますよ。
ただ地面を凍らせることによって相手の行動を封じることが出来ますよね。
足の裏にトゲなどの滑り止めがあったら話は別ですが、そのようなものはごく一部の魔物にしかありません。
動けばツルツル路面に足を取られ転倒。その隙に魔術を使えば一方的に攻撃を与えることが出来ます。
そのためにも滑りながら魔術を使う練習をしなければいけませんね。
これがまた集中力を使います。主に足元です。
魔術は長文詠唱破棄により一節で発動できます。
しかし、慣れたとはいえ、まだまだアイススケートの腕は魔術よりも下です。転びそうになる時も少々あります。
転ばないためにも意識は足元へ。魔術は二の次で全然構いません。
部屋の中心に氷魔術にて的を造形します。
自慢ではないですけど私の作る氷は生半可な一撃では破壊できません。魔術の威力や強度は使用者の最大魔力値に比例するからです。
もちろん調整は可能ですよ。そうでなければ万が一、人に向けて使った時に死人が出ます。
あの氷の的を中心に時計回りで滑っていきます。
速度はそれなりに出ていますよ。臆病になっていては逆に転んでしまいそうです。
なのでここは勢いだけで行きます。
そういえばこの状況、タルト──と名付ける前のカタストロフドラゴン戦と同じですね。
あの時は走って移動していたので持久力も消費していました。持久力が他の人より多少あるからといって疲れることに変わりないのですよ。
でも、先程も言ったように滑るのは持久力を消費しません。もっと早くこれを取り入れていれば疲労も少なかったはず。
まあ、過去の事を〝ああしたら良かった。こうしたら良かった〟などと思い返しても無意味ですね。重要なのはその経験を今後どう生かすかです。
ところで私がアイススケートで遊んでいるのに夢中になっている間、タルトは何をしていたのでしょう。
思わず放置してしまって悪いことをしてしまいました。
私は氷の上を滑りながらタルトを探します。
するとタルトは氷の地面を見つめていました。
「どうかしましたか?」
「キュイキュイ!」
タルトが下に向かって指を指します。
指された方を見てみると氷の中に魔物の姿がありました。
地面が透き通っているのでよく見えますね。凍っているので動くことはないと思います。
しかし、それだけでは無いようです。
目を凝らしてよく見てみると微かにですが箱のような物があるように見えます。
おそらくダンジョン内に存在する宝箱なのでしょう。
宝箱にはアイテムや装備などが入っています。
そして階層が深ければ深いほどいい物が入っているのです。
なかには売ったら一生暮らせるような大金になるようなアイテムがあったり。一攫千金を狙って冒険者になる人も多いみたいです。
しかしながらダンジョンに出現する宝箱は少数です。
更に一度開けるとそれ以降その場所には宝箱が出現しません。
もしかしたらダンジョンに出現できる宝箱の数が決まっていて開けられたら別の場所に生成されるかもしれませんね。真実かどうかはわかりませんけど。
それはそうと、氷の地面の下にあるのは宝箱で間違いないでしょう。
宝箱は微弱ではありますが特有の魔力が宿っています。これを感知しようにも微弱故に感知するのも難しいです。
ただ今回は運良くタルトが見つけてくれました。
お手柄です。たくさん褒めてあげましょう。
その後、私は宝箱を底から引き上げました。
方法はタルトから獲得した『支配者』というスキルを使いました。
なんとこのスキル、例外無く物質等に自分の魔力が関与していたら自由自在に動かせるのです。
この湖は私の氷獄魔術──つまり私の魔力で発動させた魔術が水を凍らせているので条件を満たしています。
宝箱は氷塊の中に入っていますがこれも『支配者』により綺麗に削り取ります。
さあ、いよいよ中身とご対面です。
これもまた冒険者としての醍醐味。ワクワクしながら宝箱を開けます。
中に入っていたのは──顔全体を覆う仮面ですね。目の部分は空いていませんが見えるのでしょうか。
仮面は黒を基調として所々太めの白い線が入っています。
とりあえず鑑定してみましょう。
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名前 『黒白の仮面』
権能・ステータス補正 無し
・『一体化』
├装備しても視覚は妨害されない
└任意で着脱可能
・『変声』
├声を変えることが可能
└使用は任意で切り替え可能
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……………。
何と言いますか、微妙(?)な装備ですね。
使い道はあまり無いような気がしますが貰えるものは貰っておきましょうか。
ちなみに『黒白の仮面』を装備してみると、本当に視界がはっきりしています。
でも、ちゃんと装備している感じがあるので着けたまま忘れることはなさそう。
声も少し変わっています。何か変な感じです。でもいつ使うかとなると……。
とにかくこれはちょっとしたおもしろ装備ですね。





