#1.ってかマゾ狩りってムズくね?みたいな。
玲奈とリナと綾
夜の大都会のターミナル駅裏口で、二人の女子高生はため息を吐いていた。
「ハァ~、所持金32000円。
多いように見えるけどさ、コレがこれからのアタシの全軍資金だよ。」
金髪に制服を着崩したギャル風の女子高生が言った。
彼女は早乙女リナ。商業高校に通っていたものの、
学校で学ぶよりも早く自らの力を試してみたくなり夜の街に繰り出した。
「私の28000円よりも多いじゃない。
まぁ、お金なんて使えばすぐに無くなるからね。
計画的に使った方が良いとは思うけど。」
長い黒髪に少し高価なカバンを持った女子高生。
彼女は橘玲奈。どうやら親と進路の事で喧嘩して出て来たようで、
途方も無く駅前で佇んでいた所をリナに声をかけられたのだった。
リナが言う。
「いやぁ~、身体売ればすぐにお金が手に入るのはわかってるんだけどさ、
正直それって最終手段だと思わない?
やっぱ、ワケわかんねーヤツから病気貰うのとかマジあり得ないし、
出来れば身体という武器は使わずに稼ぎたいよね。
だからと言ってバイトとかは親の同意が無いとだしさ。」
玲奈が答える。
「まぁ、私達って正直詰みかけてるとは思うけど、
まだギリギリ詰んではいないと思うんだよね。」
しかし何のアテも無く夜の街を彷徨う彼女達に安全に稼げる手段など無く、
キャバクラやスナックのキャッチ等もあったが、店舗に縛られる事を嫌い
それらに対しても断っていた。
「どーしよ、アタシらマジで今夜、野宿?
いや、ネカフェでも良いんだけどさ、
いきなり所持金減らしたくないじゃん?」
「ハァ、初日から稼ぎもせずにお金だけ使っちゃったら、
そういう生活に慣れちゃいそうだもんね。」
いよいよブラブラと歩く事でさえただ無駄に体力を減らすだけだと
彼女達は一か所に留まり地面に座り込んだ。
「何かさー、身体売らなくても安全に出来る、
男の人のエッチな欲望に対して出来る楽な商売、無いかなー。
公衆トイレでパンツ見せるとかさー。」
「え、アンタこの前それでこの前、殺されかけた事件あったの知らない?
SNSで凄い流れて来てたよ!」
「まぁ、個室でそんな事するのはやっぱリスクかー。」
「・・・・・。」
二人はただアテも無く、ボーッと通行人を眺めていた。
このまま動き出さなければやがて終電も無くなり、人通りも減る。
やがて眠くなった時に取れる行動は、野宿かネカフェ・ホテルか。
段々と悲壮感が漂って来た二人の前に、ふと立ち止まる人がいた。
俯いた顔を少し上げるとハイヒールが見える。
そのまま顔を上に上げると、20代後半の女性が立っていた。
「貴女達、いかにも行く当ての無い二人って感じね。お金無いの?」
身体にピッタリと張り付いたタイトな服装に整った顔立ち。
彼女は黒木綾。二人は彼女に現状についてを伝えた。
「なるほどね、自分達の力で稼がないといけないけど、バイトも出来ない。
所持金をただ減らすだけの自堕落な生活もいつか終わるってわかってる。
そっかぁ、中々シッカリしているようでどうしようも無いわね。
アタシがもし、そんな二人に道を示してあげたら、乗るかしら?」
リナが答える。
「え、そんなん乗るしか無くない?
今のアタシらに選択出来るだけの余裕無いよ。ねぇ、玲奈?」
「うん。正直このまま、気付いたらいつの間にか何もしないまま
野宿してましたって言うのが現実的で凄くヤだ。」
「そうね、わかったわ。それじゃあ二人に道を示してあげる。
私は黒木綾、よろしくね。
早速言うけど、貴女達が体を使わなくても稼げる手段、
それは『マゾ狩り』よ。」
リナが驚いて答える。
「えぇ!?マゾって、あの鞭とかでシバかれて喜んでる気持ち悪いヤツ?
アイツらを狩るって、鞭でシバくって事?さすがに無理くない?」
「あら、随分とステレオタイプなマゾ像なのね。
まぁそれも仕方ないわ。世間のマゾ像ってそんなものかもね。
彼らの多くはそんなにわかり易くマゾですって顔をしてないわ。
だから、まず見抜く力が必要になるけれど、意外と多いのよ、マゾ。」
玲奈が冷静に質問する。
「そのマゾ男達相手になら、身体を使わなくても稼げると言う事ですか?」
「えぇ、そうよ。彼らは別に体の接触が無くても、被虐願望を刺激されて
満足する事が出来ればお金を払ってくれるわよ。」
リナが興味を示した。
「リスクが低そうで良いね。
綾ちゃん、それで生計立ててるの?」
「そうよ。丁度貴女達くらいの年からやってたかな。
途中に色んなバイトだったり付き合ったりとか色々あって、
だけどそろそろね、この生活も終わりかなって思ってて。」
「そうなの?身体売るよりも年齢とかはあまり関係無いって言うか、
むしろテクニックが成熟したら需要が増えそうな気がするけど。」
「まぁ、確かにそれはその通りなんだけどね。
アタシ、付き合ってる彼と結婚しようかなって思ってて。
それで、さすがにいつまでもこんな事やっていられないし、
だけどその前に自分のこれまで得て来たノウハウとかを誰かに
伝えきってから辞めたいなって思ってね。
それなりに人生のいくらか分を使ってやって来た事だから、
ただ終わるだけで全てを0にはしたくないのよね。
せめて、誰かの役に立つ形で全てを教えて終わりたいの。」
「わかったよ。アタシ達が綾ちゃんの意思を引き継ぐよ。
良いよね、玲奈?」
「低リスクで体を売る必要も無いとなれば、断る理由も無いわ。
だけど私達、まずは今夜から稼ぎたいのだけど、いけるかしら。」
「ふふ、やる気ね。わかったわ。
まずはリスクの低そうな初心者向けのマゾをアタシが選定してあげる。
まだ残業したサラリーマン達は帰って来る時間だから、人の波の度に
選定していかないとね・・・あ、あの人なんか良いかも!」
それは30代中盤のグレースーツのサラリーマンだった。
特に変わった所は無く、いたって普通の男だった。
「よし、じゃあアタシ行ってみるね。」
「あ、ちょっと・・・」
綾の制止を聞かず、リナが行ってしまった。
「ねぇ、お兄さん。1万で良い事しない?」
リナは少し甘えた声ですぐに男に声をかけた。
男は一瞬驚いたが、コレが決して悪い話では無いと感じ、
足を止めて考えた。
「本当に一万?怖い人とかバックに付いてない?」
「大丈夫だよ~、付いてるのは綺麗な女の人だけだよ。
そこの公衆トイレで良いかな?」
「あぁ、わかったよ。お金は後払いで良いかい?」
「え、ごめん。それはちょっと先に欲しいかな。
サービス提供した後で逃げられた事あるから~。」
実際にはそんな経験はリナには無いのだが、
リスクを避ける為にこのような嘘を吐いた。
「わかったよ。しっかりサービスしてくれよ。」
あまり細かな打ち合わせも無いまま、話は進んだ。
遠くで見守る玲奈と綾だったが、綾が言った。
「アレ、多分男がブチ切れるわね。」
「え、何でわかるんですか?」
「リナが説明不足なのよ。
男は絶対、普通のサービスを期待してるわよ。」
リナと男は公衆トイレの多目的個室へと入った。
リナは念の為、鍵を甘めにだけかけておいた。
「さぁ、それじゃあ始めるね。
まず、どこを叩かれたい?」
「え?ハ?どういう事?
ヤらせてくれるかヌいてくれるんだろ?
叩かれたいって、意味がわからんよ。
一万払ってるんだから、早くしろよ!!」
男は強い剣幕で怒鳴って来た。
突然の事にリナは驚き焦り、やがて少し涙が出て来た。
「ふぇっ、ご、ごめんなさい・・・・。
お兄さん、マゾだと思ったから、こういうの好きかなって。」
しかし、男は語気を緩めずに続けた。
「いや、普通一万も払えばヤらせるだろ!!
大人を舐めるなよ、サッサと脱げ!!」
リナが観念してパンティを脱ごうとしたその時、
個室の鍵がガチャガチャと音を鳴らし、綾が入って来た。
「綾ちゃん!?」
「ちょ、お前いきなり何だよ、入って来んなよ!!」
「ふぅん、お前、そんな口ぶりでアタシに接して良いのかしら?」
突然、綾の雰囲気が一変した。
まるで男を品定めするように見る目、それはもはや男の事を
対等な人間としては見ていなかった。
まるで虫けらを見るような目線に男がゾクリとしてしまう。
「お前、シャツの上からでもわかるくらい乳首が勃起しているな。
コレ、相当遊んでるだろう?恥ずかしいな、いきなり当てられるのは。」
男が急に顔を赤らめて何か言い返そうとするが何も言えない。
更に綾が男の口元に指を持って行く。
「ほぅら、指摘された途端に唇が興奮して少し赤くなってる。
お前、恥ずかしいな?バレバレだよ。
さぁ、何をどうして欲しいんだい?」
男は目が泳ぎ、しばらく困惑の表情を浮かべていたが、
やがて観念したように俯きながら言った。
「ち、乳首を・・・イジって下さい・・・・。」
そう言うと顔を真っ赤にしながら何も言えなくなっていた。
綾がそこに追い打ちをかける。
「ハ?乳首をイジって欲しいのなら、自分から服をたくし上げろ。
やって欲しいとだけ言って準備しないとか、お前はバカか?」
男は焦って服をたくし上げた。
綾はそれを見て笑った。
「アハハ!!
コレ、明らかに遊び過ぎだろ。
女並み、いやそれ以上に膨らんでいないか?
ちょっとコレは、さすがに男として終わってるぞ。」
実際には少し大きいだけなのだが、綾はそれを殊更にまくし立てた。
「うぅ、すいません・・・。
つい気持ち良くて、毎日イジっています・・・。」
男は聞かれてもいないのに、言い訳のような事を言い始めた。
しかし、綾が更に言葉で責め立てる。
「ハ?さっきお前玲奈に『時間が無い』と言ったな?
時間が無いと言うクセに、毎日乳首を弄る時間はあるのか。
とんだ乳首狂いだな、お前は。」
そう言いながら綾は荒く乱暴に男の乳首をクリクリと弄った。
男は瞬間「ヒャゥッ」と情けない声をあげた。
そして、いとも簡単に達してしまった。
リナはそれを見てただ感心してしまった。
「綾ちゃん、スゴい・・・・。」
満足した男はそそくさと個室を出て行った。
二人も個室を出て、玲奈の元へと戻った。
「玲奈、聞いてよ、綾ちゃん凄くてさー!」
しかしリナの言葉を遮り、綾が言った。
「とりあえず、二人の話は後でして。
アタシはコレから貴女達を見かけたら色々とアドバイスするから、
まずはその一万円があれば今夜の宿代にはなるでしょ。」
こうして、二人は綾に礼を言い、今晩は宿にありつく事が出来た。
二人はこれから『マゾ狩り』によって上手く生計を立てられるのか。
不安に駆られる二人とは対照的に、街の中には悶々とした欲望を滾らせて
股間を膨らませている男達がごまんといるのだった。




