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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第七章 セレブの意味とは何でしょう?
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ビール談義

二人揃って通路に出る。

近くのベンチに、護衛だか監視が端末をいじりながら座っているのを確認した。

私達をチラリと見るも、別段気にした様子もなく、端末に視線を戻す。

これは、大成功なのではないだろうか?


「レミちゃん、ひょっとして?」

「いけてるんじゃないでしょうかね?」


二人してニヤリとほほ笑む。

これでマリさんは自由の身だ。


「ホッとしたらお腹減ってきちゃった。レミちゃんはどう?」

「あ、そうしたらですね、ここのお店はいかがでしょう?」


パンフレットを使い、予習していた店を紹介する。


「あ、地ビール。そういえば、魔界に来てから飲んでなかったね」

「ですよね? 昼間から飲むのもオツなものかと思いまして」

「うん、休日って感じするわ」

「では、行きましょうか。お店で、後はどんなものがあるかもゆっくり見ましょう」

「そうね、なんだかんだ落ち着かなかったものね」


マリさんは相当お腹が減っていたのか、脇目も振らずに飲食店フロアに歩みを進める。

初めての土地だというのに、迷うことなく辿り着いたのは、記憶力や方向感覚も優れているのだろうと、変な感心をしてしまった。


「さて、何にしましょうか?」

「ねー、沢山あるから迷っちゃう。あ、これ、皇国でも良く見かけるやつね」

「ええ、魔界で一番の大手ですからね。ザ・スタンダードと言ってもいいです」

「そしたら、対抗馬は?」

「経営規模、売上数で次点はコチラのメーカーです。キレと飲みやすさが人気ですね」

「あー、これもなかなか見かけるものね。レミちゃんのオススメは?」

「そうですねぇ……この中で皇国ではあまり見かけないものと言えば……このBLACK-Ravelでしょうか? 第四位ですが、一位のものと似ている味わいですが、奥行きがあって私は好きです」

「じゃあ、最初はそれにしましょう。二杯目のオススメも聞いてもいい?」

「少し冒険するのでしたら、こちらのゴメスというものですかね。見た目は真っ黒ですが泡はとてもクリーミーで味わいがあり、独特の苦みと風味が特徴です」

「黒いの?」

「黒いです」

「うん、面白いから二杯目も決まり!」

「そういえば、マリさんは普段ビールは何を飲んでいますか?」

「そうねぇ、ハイネッサンが多いかな」


ハイネッサンとは皇国のビールの銘柄だ。

創業者の名前を冠し、フルーティーな飲み口が人気を博している。

様々なスポーツなどにも協賛しており、スポーツ観戦にはコレ! といった具合である。


「じゃあ、華やかな味が多いんですか?」

「まあ、それもあるけど、その……好きなチームのね、メインスポンサーなの」

「あー、そういう事ですか」

「いやね、別に我慢して飲んでる訳じゃないのよ? やっぱり観戦中はこれじゃないと! って思うくらいにはハマっているし。自分が飲む事で少しでもチームにお金が入ればいいかな、って。分かっているのよ? 直接的に収入になる訳でもないって」


好きなものを好きと言えない、王女としての立場もあるのだろう。

恥ずかしいと捉えている節を感じた。


「まぁ、スポンサーって事は、いうなれば仲間みたいなものですからね、飲むなら仲間の酒を。っていうのは分かります」

「あ! そうそう、そういう事!」


今、あ! って言いましたよね? 確かに。




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