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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第七章 セレブの意味とは何でしょう?
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憂いは断つ

高級ホテルにも、変わった人材は居るのだなぁ、と思いながら店を後にする。

マジックアイテムを『善意』で渡したと思いたい。

熱意と喜びをあらわにして迫られると、ちょっと引いてしまうのは悪い癖だ。

まぁ、根暗という事なんだろうけど。

さて、思いの外時間が潰れなかったな。

もう待ち合わせ場所のヘルポートに行くことにしよう。

このホテルからほど近く、歩いて向かえる距離だ。

ホテルを後にし、魔界の街並みを眺めながら歩く。

数年しか離れていないが、街の変化を肌で感じた。

今向かっているヘルポートも、私が大学に進んだ後に出来たものだ。

ふむ、マリさんをエスコートする為に下見をするのも悪くないな。


「ん?」


視線を感じる。

そういえば、私は狙われていたのだった。

アレックスが何とかするとは言っていたが、アサシン達の末端までどうこう出来る訳ではあるまい。

さて、どうするか……。

通り魔的に仕掛けてくるのか、それとも人目の無い所まで待つか、どっちのスタイルなのかで対応が違う。

鞄からイヤホンを取りだし、素早く着ける。


「アンタッチャブル」

「Hello,Master」


移民局の正式装備ではないが、私の個人端末に一時的に憑霊させ、機能の拡張と円滑なコミュニケーションを図る。


「私に対して、何かしら魔力の痕跡は見える?」

「いえ、それは確認できません。向かっているものも、設置されているものも、現状では無いようです」


ただ見ているという事か。

何かしらのトラップも無いとなると、こちらの隙を狙っているのだろう。


「私に対して、視線を向けている人物はどれだけ?」

「一人だけです」

「迎撃に向いている場所は有る?」

「防御として考えるのでしたら、先ほどのホテルがいいかと思います」

「攻撃的にいくのなら?」

「今この場です」

「話が早いんだか、回りくどいんだか……分かったわ。そいつの位置は?」

「右後方、一足で間合いに飛び込める位置です。青い服の男性です」


ショーウィンドウ覗き込み、反射で位置を確認する。

なるほど、コイツか。

アサシンにしてはちょっと迂闊な距離だと思うけれど?


「アンタッチャブル、捕獲は出来そうかな?」

「可能です」

「あ、今の無し、倒しちゃおう」

「かしこまりました。私のイメージとリンクなさいますか?」

「ええ、お願い」


うっすらと、私の意識にアンタッチャブルの見ているものが浮かんでくる。

位置を捉え、私は言葉を発する。


「触るな!」


不可視の壁をピンポイントに使い、押しつぶす。

不意を突かれた衝撃は、簡単に男の意識を失わせる。

やり切ってから、もしかしたらアサシンではなかったかもしれない、という考えがふと出てきたが、うら若き私を凝視して後をつけるなぞ、失礼にも程がある。

うん、私は悪くない。

突如倒れた『通行人』に、周りは大層驚いていたが、それでも私は悪くない。

さ、これから楽しいマリさんとのデートだ!

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