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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第六章 幼馴染とはかけがえのないものなり?
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朝ごはん。

「あっ、起きましたねアレックス。おはようございます」


身じろぎしたアレックスを見て、声をかける。

朝食の時間まであと少しというところだ。


「朝食はどうしますか? 私はマリさんとこの部屋で食べる予定ですが、アレックスも同伴するなら、マリさんに言ってきますけど?」

「―――って、レミちゃん、さっきまで意識を失っていた人間に、普通に接するのね」


と背後から声を掛けられる。


「起きたっていっても、ちょっと動いたくらいなのね。まだまともに動くまで時間がかかると思うわ」

「ふむ、それなら放置を続行しましょう。朝食にくいっぱぐれても、昼食まで我慢してもらって、私たちは食べてしまいましょうか」

「いやー、このドライさ、私好きだわー」


何だか分からないけど、マリさんにお気に召されたようだ。

よくやったぞアレックス。


「意識は……ある……よ」


足元から苦し気な声が聞こえてくる。


「あ、やっぱり起きていたんですね。じゃあ朝食はどうしますか?」

「えーと、レミちゃん、そこは重要なのね……」

「……食べられそうにもないね……物理的に腹が痛いよ」

「まぁ、私としては好都合ね。朝食前に言っておくわ。貴女を召し抱えることにします」

「えぇ……と、ずいぶん突飛な話じゃないか……」


態勢をしんどうそうに変えながら、マリさんに向き合ったアレックス。

突飛な話なのは無理もない。

魔界の公務員を、由緒正しい皇国のご令嬢が御召し抱えるというのだ。

自分で思っても、改めて異質さが分かる。


「そうね、突飛も突飛だけど、もうそれしかないようにはなっているけどね」

「そうなのかい? 公安のボクを他国の人間がすぐにどうこうするって、無理な気もするけど、どんな魔法を使ったのかな?」


そういえば、そこは私も気になるところだ。

昨夜、抜かりが無いとは言っていたけど、種明かしはされなかった。


「リンリーン」


ノックとともに、呼び鈴の音がする。


「どうぞ」


マリさんが答えると、カートを運ぶ紳士が現れた。


「どちらに運びましょうか?」

「そこのビジョンの前のテーブルに並べて頂戴」

「かしこまりました」


お皿にクロッシュ(ドーム状のアレ)を被せていても、芳醇な香りはあふれてくる。

その香りを堪能していると、すぐに朝食の準備は整った。

最後にクロッシュを取り、そつなく紳士は去っていった。

焼きたてのパン、濃厚だと目と鼻で分かってしまうオムレツ、添えられた良く燻製されたであろうソーセージやベーコン、様々なエキスがこれでもかと濃縮されたスープ。

そして、まぶしいほどに色艶やかな果物とサラダ。

舌で味わう前に、グレードの違いが分かる。


「アレックス、本当にいいんですか? 食べなくて?」

「ええと、レミちゃん、何でそんなに朝食に必死なの?」

「一日の始まりですよ? 大事に決まっています」

「そ、そう。じゃ、じゃあ頂きましょう。話、というか質問は後で聞くわ」


言いながら、ビジョンの電源を点けながら、席に座る。

それに付き添いながら、私も隣に座った。


「―――今日の天気は晴れ、大気中の魔力濃度はこの時期としては平年並みとなっております。さて―――」


朝の報道番組か。

安定している皇国より、魔界の方が様々なニュースが流れてくる。

そんなところでも帰ってきたことを実感する。


「先ほどから繰り返しお伝えしているとおり、昨日の夜、皇国のミストラル家の筆頭候補、マリ・ミストラル卿を招いて行われたパーティで暴動が起こりました。その際、魔界公安部のアレックス・メイ警部補が居合わせ、この無きを得ましたが、同伴のレミリア・エイプリル移民局局員が怪我をしました。この件に関し、ミストラル卿は『感謝の意と、彼女の勇気に敬意を表明するとともに、恩賞の授与を行いたい』とコメントを残しました。また魔界公安部によると―――」

「は?」


アレックスの顔が大きく映し出された画面を、私はギョッと見てしまう。


「ちょ、これはいったいどういうことだい?!」

「言ったでしょう? 質問は後で聞くわ、って」


驚く私たちを尻目に、マリさんは優雅に紅茶をたしなんでいた。

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