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ノブレスオブリージュ

スマホからの投稿

出来る範囲で気丈に振る舞いながら、街並みのガイドを続ける。

先輩のホテルは中心街の高級ホテル。

それまでの道はメインストリート。私の知識でも十分に見どころやエピソードを案内出来る。


「レミちゃん? そういえばなのだけど……」

「はい? 何でしょうか?」

「呼・び・方」

「あっ!」


そうだ、気を張っていたせいか、仕事モードだった。


「すみません、適切にガイドしようと、すっかり業務中の癖がでました! マリさん」

「良かった、覚えててくれたのね」


ついつい『先輩』呼びしてしまう。

それに、やはり名前で呼ぶのは気恥しい……。


「けど、ですね、私が先輩と呼ぶのもマリさんだけですよ?」

「それは分かっているのだけれど、何だかその他大勢みたいで嫌だわ」

「ほら、子どもがママって言うようなものです」

「そういえば、ママって呼ばれることで自分のアイデンティティを失うって話があったわね」

「あ、それ引き合いに出しちゃいます??」

「出しちゃうわよー。ママって言ったのレミちゃんだしー」

「これは手厳しい……」

「とにかく、マリって名前で呼んでくれてありがとうね」

「……こちらもお約束を破ったカタチになって申し訳ありません」


ここは素直に謝っておこう。

口では結局勝てそうにもないことだし。


「そういえばなんですが……」

「どうしたのレミちゃん?」

「この車両って空陸両用ですよね? 飛ばないんですか?」

「あら、飛んで良いの? 皇国だと航空規制がかかるのだけれど」

「申し訳ありません、私も失念しておりました。飛行可能であれば、そちらの方が早く目的地に到着致しますが」

「大丈夫ですよー。この車両よりも大きな魔族が空を飛んでいるわけですし。禁止区域以外は飛行可能です」

「では、そのように致しましょうか? お嬢様」

「お願いするわ。あと、お嬢様は止めて。それにしても魔界ってやっぱり自由度が高いのねぇ」

「そうですね、各種族のしきたりや掟なんかがあります。なので完璧なルール統制は無理があると判断した結果、個人個人のマナーで何とかしましょうって流れです」

「それって成り立つのかしら?」

「知能の高い種族は、地位も高くなります。なので、金持ち喧嘩せずを地で行きますね。反対に知能の低い種族に法やルールを教えても、理解出来ません」

「あ、そういえばそうね。下手に平等や公平にすると、それから外れたものは排除の流れになるし、平等にすれば権利を悪用するものも出てくるわね」

「そうなんです。地位の高い種族が下級種族に腹を立てても、器の小ささしか感じませんし。それに……」

「それに?」

「ルールや法を守る、って魔族っぽくないじゃないですか」

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