黄昏ガールズトーク2
「無理にねじ込まなくても、言えば来るわよレイなら。それこそ業務時間外でなくたって」
「ふむ、言われてみれば……」
「ですからー……うちの局の仕事を外部に晒すのはマズいんですってー」
「えっ? そうなの?」
「その張本人は先輩です」
先のやり取りを見れば分かるとおり、先輩はけっこう法律に触れそうなことをサクッとやってのける。
いや、実際触れていることもあるんだろうけども。
一応、移民局には特権として、超法規的な行動も許される。
暴力には暴力で対抗したり、銃火器を特に許可なく持ち出したりなどなどだ。
「え、そうなの?」
「はい、はばかりながら申し上げますと、そうなんです」
「私たちのやり方が過激すぎるとかって言われたことないですか、レミリアさん」
「ありまくりです、ヤスモトさん。……まあ私も人のこと言えた立場ではないですが」
「知ってます。……実は私もですが」
お互いに薄ら暗い笑顔を浮かべながら、私たちは目を見合わせる。
「……結局あなた達も同じじゃないの。ちなみに、今月始末書は何枚かしら?」
「五枚です」
「私は七枚。ヤスモトさん抑えましたねー」
ひと月で二桁に行かなければまぁ大丈夫。という感覚。
そもそも、確保するときに何を壊したとか、過ぎたダメージを与えてしまってごめんなさいとか、それぞれに対して書かなくてはいけないというは面倒くさいことこの上無い。
異世界から来る人が多すぎるっていうのもあるのですけども。
「一件一件がデカイっていうのはありましたからね」
「あー、そういえば、忙しそうにしていましたね。しばらく現場から外れていたこともありますもんね」
「そうなんです。なので、文章量としては多かったです」
「で」
「で」
「「本命がまだ残ってます!」」
「……十枚です」
消え入りそうな声をやっとのことでひねり出した。
何だ、予想よりは大分少ない。
いつも現場に出ては複数枚書いている印象がある。
「あれ、思ったより少ないですね先輩」
「二十枚よ!」
「今日、まだ二十日ですよ? 勤務は十七日しかありませんでしたよね?」
「だってぇぇぇ……仕方ないじゃないのぉぉぉ……。抵抗したり敵対したりするやつに周りに被害を出さないようにするのも大変なんですってぇ……」
珍しく敬語で話す先輩。
しおらしいと一層魅力的に見えるなぁ。
「先輩が強すぎるのもあるんですけどね」
「ちょっと蹴っ飛ばしたら吹っ飛ぶ相手もわるいし、簡単に亀裂が入る壁も悪い」
「今度から空中に蹴り上げたらどうです?」
「あ、それいいわね」
何故今まで気が付かなかったのですかね?
「で、話を戻しますと、マリさんを筆頭に私たちの活躍のせいで、移民局への風当たりは強いのです」
「確かにねー……」
「なので、外部の人に業務内容を見せると余計に心証が悪くなるかと……」
「ふむふむ、じゃあ下手にレイをねじ込んで、前例を作らせてしまうと、他の局からの視察が来たりするのね」
「恐らくそうなるかと……」
「なら、今回は控えますか?」
「いえ、ねじ込みはしないわ。『たまたま』そこに居合わせることにしましょう」
「えぇ……」
「レイなら移民局の実情も知っているし、心証も悪くはならないわ。それに、あの子はきっと仕事なんて手が付かなくなると思うの」
「あー、係長の前ならそうなるでしょうね」
「とにかく、これで参加の口実はバッチリね」
私も流石に冷静になってきて思うのだが、穴だらけなんですよね。
「で、問題は、現地でどうするか、ってところよ」
「―――いえ、仕事しましょう先輩」




