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「王女殿下、マール侯爵夫妻がお見えです」
ライアンがそう言うと、プリメラさまはにこりと微笑みました。
うーん今日も素晴らしい天使の微笑みィ!
「そう、お通しして」
ここは王女宮の中にある客間の一つ。
王女であるプリメラさまに謁見を申し込む方々が通される応接室は王女宮の中に三つあり、それぞれに花の名前を冠しています。
今回プリメラさまが彼らを通すように指示したのは、鈴蘭の部屋です。
絨毯に鈴蘭が刺繍されているなかなか可愛らしい部屋です!
この応接室はそれぞれの部屋でランク付けがされております。
ランク付け的にはプリメラさまの私室にある応接間が当然ながらトップで、続いて薔薇、鈴蘭、百合となります。
普段、ビアンカさまはプリメラさまの応接間に来る……って言えば、わかりやすいですかね。
その他にも……たとえば商人さんたちが通されるのは百合の間ですね。
最もランクが低く、王女宮の中でも一番外側の応接室です。
扉を出たら即王宮の外に出て行ける位置で、私の執務室もこちらにほど近いんですが……やはり王宮と王城を行き来するのに便利ですから。
執務室なんて利便性を選んでナンボですよ!
おっと、言葉遣い。
心の中とはいえ淑女たるもの気をつけたいものです。
(かつてはこの王女宮でも十人以上の姫が暮らしていた時期があると言うし、むしろ客間が三つしかないのは縮小された方よねえ……)
全盛期には来客数も馬鹿にならなかったと思います。
とっても面倒臭いように見えますが、きちんと理由はありますよ!
簡単に言えば『どれだけ重要な客として見ているのか、相手にも伝わる』って点と、今はプリメラさまお一人ですが複数の姫君がいらした際には最上級の客間は力ある方しか使えなかったので権威の象徴でもあったと言われています。
もうね、宮中の慣例とかそういうのってややこしくて大変なんですから!
(しかし鈴蘭か……)
まあそちらも割とね、高位の方をお迎えするのに相応しい誂えではありますから。
お茶とお茶菓子も用意するよう言われているので、歓迎は歓迎なのだと思います。
ただまあ、いうなれば『わあ嬉しい!』とまではいかないっていうか……まあそれもしょうがない話ですよね、先日のお茶会で初めてまともに挨拶したんですから。
これまで〝マール侯爵家〟として挨拶はしてもらっていたわけですが、それだけです。
ただあちらとしてはご息女と楽しく言葉を交わしたという点に期待をしているのでしょうが……。
「それじゃ行きましょう、ユリア」
「かしこまりました」
ライアンによって今頃応接間に通されたマール夫妻はどんな気持ちなんでしょうね……。
高位貴族なら、通された部屋の意味もきっとご存じでしょうし。
(まあ初めての訪いな上に謝罪なんだから、そんなもんだと思ってくれていればいいけど)
思って……くれているよな?
ふとそんなことを思ってしまいましたが、まあそこは今考えたってしょうがない話です!
今回はマール侯爵夫妻から謝罪を聞くだけなので、プリメラさまもこの後は神学の復習をするということで後は私に任せると仰ってくださいましたし……。
私としてもライアンに良い勉強をしてもらえるよう頑張ります!
うっかりマール侯爵夫妻登場まで届かなかった(作者ァ




