表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

661/663

658

「……ってことでどうしたらいいかと思って呼んだわけですよ、ハンスさま」


「いやあ、ははは。ってなんで俺?」


「発端と言いますか、今回の件に関してはあまり目立たせたくないからお手を借りようかと」


 にっこり笑ってそう言ってあげればハンスさんも黙りました。

 別に怒っているとかじゃないんですよ、ええ。


 でもほら、バルトチェッラ家の末っ子問題でハンスさんも関わっているわけですし、もう他人事というには……ね? そうでしょう?


「でもまあそれはいいとしてもなんでセバスチャン殿もいるんだ?」


「ああ、それはそれで別件です」


「え、一緒にいていいの」


 軽く驚いた様子のハンスさんに、セバスチャンさんはにっこり微笑みました。

 うーん、柔らかい笑みなのになんだかすごみがありますね!


「そちらについては是非レムレッドさまにご協力いただこうかと思いましてな」


「いやな予感しかしない!!」


「うふふ」


 いやだなあ、そんな無茶ぶりはいたしませんよ?


 というのもまず問題はヘンリー・エルロレム・フォン・バルトチェッラさまからのお手紙です。

 これがね、一週間に二、三通来るんですよ。

 ええ、ぶっちゃけ二日にいっぺん届くんですよ。迷惑です。


 変な噂になっても困るので郵便課で差し止めてもらってまとめて箱に入れてもらい、バルトチェッラ家には苦情を入れました。

 内容としては基本的に『スカーレットとの仲を取り持ってほしい』ですね。


 あれやこれや弟の無礼や王女宮に迷惑をかけたことに対する謝罪の言葉もありますが、基本的にはそれです。

 どうやらスカーレットと何かあったのか、彼女には直接送れない事情があるようで……だからってその上司に手紙送るとか普通じゃないですね!

 情熱的と言うには粘着質ですよ! ねっちゃねちゃです!!


 しかも便箋五枚びっしりですよ……?

 スカーレットのことが好きで必死なんだろうなって思ったのは最初の一通だけです。

 後は怖いって……さすがに……。


 まあそれほどまでに切羽詰まっているのでしょうが、こちらとしては対応に困るばかりですからね!

 一応手紙の量が多いってことでバルトチェッラ家には業務妨害になるからほどほどにしてねとお手紙を書かせていただきました。

 スカーレットの幼馴染みってことで手心は一度は加えた方がいいだろうというセバスチャンさんとの協議の上で決めたことです。


「まあそういうわけで、ハンスさんも幼馴染みなのでしょう? 一度そちらでも説得してくれないかしら。スカーレットにはそもそも縁談に対する気持ちもないようだし……」


「ああー……なるほど。わかりましたよ……っと。でも多分、ヘンリーのやつは俺の言葉は聞かないと思うんだよなあ~。……兄貴に相談するかあ」


 どうやらハンスさんと言えどもやはり上手くやれないことはある模様。

 まあそれはそうですよね、人間だもの。


「で? 他にセバスチャン殿が言う協力ってなんだい?」


「ああ、それなんですけれど」


 私はハンスさんに『王女宮に勤めると行き遅れる』という風評被害が出ないようにするため行動を起こすつもりだ、ということを明かしました。


 これまではね、私だけ(・・)が標的になって嫌味を受け取っていれば済んだので対処が楽だったんです。

 でもその私が既婚者になっちゃうから、今度は王女宮全体が標的になるってわけですよ。

 冗談抜きで〝行き遅れ集団〟なんて嫌味がそのうち出てくるのは目に見えております。


 目立つところでデボラさんとスカーレットの貴族組です。

 でも勿論メイナだって人気が出ているわけですから、ご令嬢たちの嫌味の対象になっちゃうかもしれないでしょう?


 そりゃね、貴族組は嫌味の一つや百個、慣れたもんでしょうとも。

 スカーレットに至っちゃ別の意味で噂が絶えなかった時期もありますし。


「……でもだからって傷つかないわけじゃないでしょ?」


「それは、まあ……」


「だから逆に噂を広めようと思って」


「噂を広めるゥ?」


「そう。王女宮で働くと、出世できる(・・・・・)ってね……!」


 下位貴族の令嬢だった私が王女の専属侍女になったように。


 デボラさんはまあ元々が公爵令嬢ですけど、この後王妃様付きの秘書官になる予定ですし?

 スカーレットもそういう意味では未来の筆頭侍女候補。

 メイナだって私についてきてくれるという話が有効ならば将来は子爵夫人の専属侍女になってもらいたい! ひいては伯爵夫人になった後もよろしくお願いします!!


 彼女たちは決してモテないわけじゃないので、悪意ある『行き遅れ』なんて言葉は彼女たちが選んでいないだけってすぐにわかる話ではあるんですけどね。

 でもこの国では行き遅れってかなり悪口の部類なので……表立って咎める程ではないんですけど。


(でも私だって言われていやな気分になることくらいはあったし、あの子たちにそんな思いをしてほしくないものね)


 今後盾になってあげられないのであれば、いっそ潔く〝働きたい女性の聖地〟になってやりゃあいいんですよ我が王女宮が!

 なんせ最高のプリンセスが公務を始める段階で忙しくなるのはわかってますしね!


 来たれ有望な若き侍女!!


「ええー、それ俺関係なくね?」


「まあまあ、それもこれもバルトチェッラ家の末っ子様が騒いだせいでスカーレットに注目が余計集まったからですので。是非同じ侯爵家の誼でよろしくお願いいたします」


 セバスチャンさんもそう言ってくれてますしね。


 ……まあ、最悪バルトチェッラ家の次男が暴走した場合のことを考えて今のうちからハンスさんを巻き込んでおいたらやりやすいかな、なんて思ってのことだなんて口が裂けても言えません。


 言えませんね!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもよろしくお願いします!

魔法使いの名付け親完結済
天涯孤独になったと思ったら、名付け親だと名乗る魔法使いが現れた。
魔法使いに吸血鬼、果てには片思いの彼まで実はあやかしで……!?

悪役令嬢、拾いました!~しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います~完結済
転生者である主人公が拾ったのは、前世見た漫画の『悪役令嬢』だった……!?
しかし、その悪役令嬢はまったくもって可愛くって仕方がないので、全力で甘やかしたいと思います!

あなたと、恋がしたいです。完結済
現代恋愛、高校生男児のちょっと不思議な恋模様。
優しい気持ちになれる作品を目指しております!

ゴブリンさんは助けて欲しい!完結済

最弱モンスターがまさかの男前!? 濃ゆいキャラが当たり前!?
ファンタジーコメディです。
― 新着の感想 ―
こういう粘着質な男は「俺のものにならないなら殺してしまえ」って殺人事件を起こす場合が多いですね。 地下牢に一生幽閉か精巣を取っちゃうのが良いと思います。 頭蓋骨に穴を開けて耳かきで脳みそを一回かき混ぜ…
いいぞ、もっとやれ!
ハンスがスカーレットを娶ればすむ話なんだよなぁ……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ