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フラグはフラグとして立っていたのかもしれませんが、私がそれに従ってあげる義理はないのでスルーですよ。
……ってことでレムレッド侯爵から『息子のやらかしに巻き込んでごめんね(要約)』ってお手紙をいただいてですね、そこに改めてお詫びしたいから時間を取ってくれたら……的なことも書かれていたので『大丈夫ですお気になさらず!(要約)』ってお手紙を返しておきました。
礼儀正しく返しておいたのでこれ以上は食い下がってきたら逆にあちらが失礼な態度ってことになりますからね!
私もやるときゃやるんですよ。
いいんですよ、お詫びなんて。
いずれハンスさんはミスルトゥ子爵家のために身を粉にして働いていただくつもりですのでね……。ふふふ。
まあレムレッド家のことはそれでいいんですが、ピジョット家に対しては少し考え物です。
スカーレットの件でご迷惑を……という内容に関しては上司として責任をもって彼女の指導にあたる立場ですから、お気になさらずって感じですよね。
実際スカーレットにそこまで罪があったか? っていうとそうでもありませんし。
言うなれば迂闊だからもうちょっと気をつけなさい、自分の身を大事になさい……ってくらいでしょうか。
ピジョット夫婦からも会ってお礼を……とは前々からご連絡いただいておりましたし、そろそろ一度、ゆっくりお話をする時間をとってもいいのかもしれません。
今後についての話もありますし……ね。
他のお子さんたちへの態度から考えても、スカーレットが今後も侍女を続けることに対してあれこれ口出しをしてくるタイプの親御さんじゃないことはわかっております。
むしろ子だくさんでちょっと変わり者がいたとしてもみんな真っ直ぐ育つってピジョット家の親御さんたちすごいな……って思っておりますもの。
スカーレットが暴れん坊だった時代?
うんうん、アレは表現の仕方を間違えていただけで、あっという間に真っ直ぐになりましたからね~。
いつか黒歴史に悶えることでしょう。いやもう悶えてるかも。
『あの頃のことは言わないでくださいまし!』
ってよくメイナに言っているものね。
思えばあの子たちも仲良くなったものです。
(……私の結婚式も近づいてくると思うと胃が痛いな……!)
この私が!
実家と同じ子爵家の夫人ですもんね……!
領地があるなしでかなり違いますが、子爵令嬢と子爵夫人じゃえらい違いですもの。
はー、責任の重さが今から怖い。
これもいい機会だからとキース・レッスさまや宰相さまが『貴族社会に早く慣れておくといい』なんて言って厄介な社交場に連れて行こうとかしないといいなとつくづく思っております。
ええ、思っているだけで、きっとそうなるだろうなという予想込みで。
そこは私もわかっておりますとも!
わかりたくないけどな!!
「スカーレット、ご両親と今度面談をしたいのだけれど……今後について、少し具体的な話をしたいと思うの。いいかしら」
「……かしこまりましたわ。あの、ユリアさま……」
「なあに?」
「お見合い、とかじゃ、ございませんわよね……?」
「大丈夫よそういうんじゃないから」
「でしたら! すぐにでも両親に伝えますわ! 万事このスカーレットにお任せくださいませね!!」
なんだろう。
そんなに張り切られると、逆に不安だなあ。




