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死闘!海軍急降下爆撃機!   作者: ヨシトミ セイリン


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ハンターキラー

「10時に航跡ウェーキ!」


 後席の相棒、ポートが叫ぶ。


 「よし、確認する」


 全席で操縦桿を握るヘンダーソンは素早く操縦して機を航跡へと導く。


 現在2人は潜水艦狩り(ハンターキラー)に従事している。そして現在2人の近くの海域を航行中の味方船舶は無い。どうやら敵艦を見つけたようである。


 目標が潜水艦であった場合、潜航して逃げる猶予を与えないために急降下で向かう。2人が乗っているのが急降下爆撃機だからできることだ。


 降下角40°。グングンと目標に接近。パイロットとして鍛えられたヘンダーソンの視力は明瞭に視線の先の船を識別した。


 「敵潜だ!」


 艦橋から艦内に飛び込んでいくように消える人影が見える。どうやら彼らもヘンダーソン機に気付いて急速潜航で逃げるつもりらしい。


 ヘンダーソンは急降下の勢いのまま機首の12.7mm機銃を浴びせた。「ズドドド」と発射音が響いて赤の曳光弾が飛んでいく。氷柱を上下逆にしたような水柱が海面に無数に立ち、潜水艦の艦体に無数に突き刺さる。炸裂弾が艦体表面でパッと炸裂するのも見えた。


 後席のポートが敵潜の位置を母艦に通報する。爆装した急降下爆撃機『ドーントレス』一個分隊3機が到着するまでおよそ40分。


 ヘンダーソンは旋回し敵潜の艦尾から艦首を縦断するように進入した。


 敵潜は艦橋に装備された遠隔操作式の機関砲で射撃を開始した。


 けれど狙いの甘いそれをヘンダーソンは一切無視して敵潜を縦断するように機銃掃射した。


 さらに反復。敵潜の機関砲は沈黙した。敵潜は艦尾、エンジンのある辺りから鼠色の煙が立ち昇る。どうやらエンジンに損傷を与えたよう。


 敵潜は都合3度の機銃掃射で潜航能力を失ったらしい。当たり前だ。100発以上の弾丸が艦体を貫通したのだ。


 機首の機銃は全弾撃ち尽くしたけれど、ヘンダーソンは満足していない。まだ後部席の7.62mm連装機銃がある。この連装機銃は機首の機銃より威力は落ちるが、それでも損害は与えられるだろう。


 この機銃は敵機から狙われた時に使うもので、下方向には指向できないし、そもそも後ろにしか射撃できない。けれどヘンダーソンは射撃する方法を咄嗟の閃きで考えついた。


 まず機銃を上一杯に向ける。次に上下を180°反転、ヘンダーソンの合図でポートが引き金を引く。


 「Ready(よーい)……、Fire(撃っ)!」


 艦尾から艦首へ縦断するように進入。「ダララララ」と射撃音。


 「当たった!当たったぞ!」


 ポートが快哉を叫び、ヘンダーソンは作戦が図に当たったことにほくそ笑んだ。


 これを3度繰り返して機首、後部席の機銃の両方を撃ち切った。


 敵潜は東へ針路を取った。母港へ向かっているのだろうが、四桁キロメートルは離れている。あまり虚しい努力と言えるだろう。


 触接を続け、とうとう友軍艦爆隊がやってきた。


 正に急降下に入る瞬間、敵潜水艦の機関砲が火を噴いた。射撃が止んでいたからとうに射撃不能に陥ったと思っていたが、どうやら復旧したらしい。


 そして真に忌まわしいことが起きた。


 急な機関砲の射撃に驚いたのか3機の艦爆があまりに過早に投弾したのだ。本来なら500メートルで投弾するところ、明らかに1,000メートル以上から投弾した。


 当然、命中するはずがない。ただ派手に水柱を出現させるだけに終わった。しかも機関砲の虚勢に追い立てられて急速避退する醜態。


 「あのクソッタレ共め!!」


 ヘンダーソンもポートも呪詛を吐き、盛大に罵倒し喚き散らした。


 結局、ヘンダーソン機は残弾無し、さらに燃料も無くなり眼前の酷く傷付いた敵潜を見逃すしかなかった。

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