閑話 うちの木の成長日記
〈1日目〉
私たちが最初にここを拠点にすると決めた時、神聖な空気を放っていた小さな木があった。
最初は、これから大きくなるのかなー、なんて思っていたけれど一向に大きくなる気配がないのだ。もしかしたら水や栄養分が足りないのかと思ったので、これからは思い出したときにでも水をあげようと思う。
そう思い立った日、善は急げというし早速、大きくなあれ~大きくなあれ~高く高く見上げるくらいに大きく育て~ついでに美味しい実がなるといいな〜、とかそんなことを呪文のように呟きながら念じながら、水をあげた。
〈2日目〉
今日は、特に変わったところはないよね、と思いながらも観察しに行った。そうしたら昨日までと見違えるほど、葉が青々としてみずみずしくなっていてとても驚いた。これ前と同じ木だよねとあたりを見回してしまったくらいだ。そして昨日と同じように水をあげた。
〈3日目〉
昨日まではさ、私のおなかくらいの背丈の低木だったわけよ。でも今日もまた見に行った時には、なーんかよくわからないけど肩の少し下くらいの大きさになってたの。ホント不思議な木よね。私があげたのはちゃんと普通の水だっていうのに。
あ、でも私が自分の魔法でつくった水だった。これが何か関係あるのかな。今日も魔法でつくった水をあげたからたくさん育ってたりするのかな。明日とかまた水をあげる時は近くの川から汲んできましょうかね。
〈5日目〉
危ない危ない、危うく三日坊主になるところだった。でもこの2日間色々忙しかったんだからしょうがないよね。今日やっと思い出して木を見に行ったらね、成長はしているのかもしれないけれど、あまり目に見えるほどは変化してなかったの。これは水をあげてないからなのか、最初だけたくさん育つのかとかは全然わからないからこれからいろいろと実験とかをしてみようと思う。
今日は前決めていた通り、川で水を汲んでその水をあげたよ。だから明日も見てみて、育ち方に変わりがあるか調べてみようと思うの。
〈6日目〉
なんとなんとなんと! 今日木を見たら、いつもみたいにぐーんと育ってなかったのよ! やっぱり水の質とかがかかわってくるのかも。って思ったからリルに聞いてみた。そうしたら自分の魔法で生み出した水には私の魔力が含まれているから、多分それで成長が促されたんだろう、ということらしい。でもリルもこんな例は聞いたことが無いって言ってたから、いろいろな事例を参考にした結果、そんな仮説を立てたそうだ。
私の魔力、その正体は!
これで論文が書けそうなくらいな気がする。いつか魔力の解明を進めてまとめてみようかな。




