表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
381/381

第381話 いかれてるわ

 



 待望の新居なんだけど、これはもう家と言うよりはマンションかホテルみたいな感じね。二階建てで二階が私達の居住フロアなんだけど、同じ大きさの部屋が廊下に面していくつも並んでるの。しかもうれしい事にはその部屋も王国のよりはるかに大きいのよ。しかもしかもさらにうれしい事にはその部屋は一人一部屋なんだって。やったー。待望の個室よ。それだけでもジパンに引っ越してきた甲斐があったわ。部屋の場所は抽選で決めたんだけど、ラッキーな事に一番奥の部屋をもらえたわ。入り口近くの部屋だとなにかとうるさくて落ち着かないものね。でもお隣さんは二号と言うか、アメリの部屋になっちゃった。アメリは基本的には一号の人格でいる事が多いんだけど、部屋でくつろいでたりする時は二号でいる事の方が多いみたいね。それで一号も二号もさすがは我が美少女戦隊のリーダー。どちらも同じようにみんなから慕われてるの。それでアメリの部屋はいつも訪問者が絶えないのよ。つまりみんなのたまり場になってるのよね。ちょっとだけやかましいかな。かく言う私もアメリの部屋にずっと入り浸ってるけどね。


 一階の方はと言うと食堂や応接室に会議室、トレーニングルームと言った大きな部屋がいくつもあるわ。あと、うれしい事に大浴場もあるわ。こんな立派な大浴場は王国ならお貴族様のお屋敷にしかないと思うけど、アメリを始めとする異世界転移者の皆さんは凄い潔癖症でお風呂にかける情熱は並々ならぬ物があるからね。おかげで私もお風呂大好きになっちゃったけどね。


 あと、特筆すべきは家も凄い大きいけど、庭の方も広大なのよ。建物の前が庭になっているんだけどとんでもなく広いのよ。たぶん訓練用に大きな庭にしたんだと思うけど、これだけ大きいと魔法も思いっきりぶっ放せるわ。後で一号アメリに聞いたけど、将来的には馬とか牛とかの家畜を飼いたいから広い庭にしたんだって。頭がいかれてるわね。これだけ大きな土地だとさすがに町の中では確保できないから、町の外にあるの。つまりは町の城壁の外ね。これもいかれてるわね。つまりは私達の家を守る城壁を早急に作る必要があるのよ。まあでも王国と違ってジパンでは魔物は基本的に山奥かダンジョンの近くにいてめったに人里に近づいて来ないみたいだからそんなに神経質になる事はないんだけどね。それにジパンは島国だから他の国に攻められる心配もなくて平和だからね。


 でも不便な事には何か町に用事があるたびに城門をいちいちくぐらないといけないけど、ジパンの英雄イサキのおかげで私達も関所をフリーパスで通れるの。まあ二回に一回くらいはチョンボしてサオリのワープで関所を通らずに行ってるけどね。


 そう言えばさあ、冒険者ランクなんだけど、私もセナもクロエも最低ランクのFランクからの仕切り直しになっちゃった。Fランクと言ってもこれまたイサキのおかげで特例でダンジョンとかも普通に潜れるから全く問題ないけどね。私達がFランクだからって舐めた態度取って来る奴がいたらとっちめてやるわよ。


 私達のクエストはと言うと、今の所は発見されたばかりのダンジョンの調査と魔物の間引きなんだけど、普通はCランク以上の冒険者に頼むよね。ところが私達のランクはS級のイサキ以外は、一号アメリ達だってE級の超初心者パーティなのよ。こんな低ランクパーティにこんな難しくて危険な事を依頼するなんてジパンの冒険者ギルドもいかれてるわね。


 それでダンジョンに入る時のチーム分けなんだけど、イサキ、サオリ、リオ、セナの一軍チーム、フローラ、トシコ、エリナ、ユウの新人チーム、アーリン、クロエ、ホノカの古参チームに分けたわ。まあホノカは新人だけど人数合わせね。肝心のリーダーのアメリはと言うと、その時の状況に応じて本体の二号アメリと式神の一号アメリで臨機応変にどっかのチームの補助をしてるわね。今の所だいたいは二号アメリが新人チーム、一号アメリが私達古参チームの補助に入ってるわ。イサキ達一軍チームがどんどん新しい階層を攻略して行って、その攻略マップに基づいて私達古参チームと新人チームが攻略を進めている形ね。新人チームのお世話は元々は一号アメリがしていたらしいんだけど、ダンジョンの中での失踪と言う不手際を起こしてしまったらしくて二号アメリと交代させられたみたいね。


 私達の今もう勉強しているジパン語なんだけど、元々はホノカ達異世界人の言葉を元にして作られた言葉らしいんだ。だからホノカ達異世界人にとって習得はそれほど難しい事じゃなかったみたいであっという間にマスターしていたわ。だけど私達王国人やイーラム人のクロエにとっては超難解な言葉なのよ。それで少しでも早くマスターするためにチーム内の会話は王国語禁止でジパン語でしようとか、一号アメリがまたとんでもない事を言い出したの。さすがに戦闘に関わる言葉は分かるわよ。命に関わるから必死で真っ先に覚えたからね。でも日常会話とか全然ダメなのよ。それはクロエも同じみたいで、私とクロエは無口になってしまったわ。だって話せないんだもの。一号アメリとホノカが楽しそうに談笑しているのにその輪に入って行けないもどかしさ。あと、今まであまり仲良くなかったホノカとクロエにこれを機会に親睦を深めようと思っていたのにできない悔しさ。おかげでダンジョンから家に帰った後での勉強会はこれまで以上に熱が入ったわ。だっておしゃべりな私に沈黙の時間は耐えられないもの。教室で習った単語と文法はノートに書き写し、寝る前に復習したし、遊びに行ったアメリの部屋でもイサキやアメリにどんどん質問したわ。おかげで王国組では一番のジパン語使いになれたわ。一号アメリとホノカの会話の輪にも入れるようになったし、クロエに教えられるまでになったわ。


 肝心な私達のチームの戦闘力の事を言うのを忘れてたわね。まずは一号アメリなんだけど、剣も魔法も格闘技もS級、総合力スーパーS級の我らが美少女戦隊のキングね。アーリンはと言うと剣はB級、魔法A級、格闘技C級で総合力B級と言うところかしら。クロエは剣も魔法も格闘技もC級の総合力C級ね。元イーラム人だから仕方ないんだけど、今まで魔道具に頼り過ぎていたツケであまり戦闘力は高くはないわね。現在、絶賛修行中て所かしら。最後にホノカなんだけど、しばらく会わなかったうちにけっこうな修羅場をくぐって来たみたいね。かって私の知ってたホノカは総合力D級の駆け出し冒険者に毛が生えた程度の実力だったのに、一気に全部の能力をC級まで上げてきてるわ。クロエと同レベルなのよ。でもホノカには魅了テンプテーションや召喚のチート能力もあるから総合力ではB級と言っても過言ではないわ。わたしもうかうかとはしていられなくなってきたわ。このままじゃ近い将来にホノカに抜かれるわ。頑張らないと。それでホノカの召喚獣の事なんだけど、一緒に戦えば本人も召喚獣もレベルアップして良い事ずくめみたいなんだけど、実際は召喚獣を出している間は魔力をずっと削られ続けるから今のホノカの少ない魔力量ではおいそれとは出せないのと、今の所ホノカ自身のレベルアップが急務だからあまり出していないんだって。召喚獣って便利そうだと思っていたけど、意外と不便ね。いつでも出しっぱなしの従魔の方が使えるじゃないの。その従魔と言えば、クロエが一号アメリの従魔なのよ。実は。巧妙に人間に化けているから普通の人には見抜けないわ。クロエ本人も人間のつもりでいるしね。まあ私のような実力者にはどんなに巧妙に隠してもお見通しなんだけどさ。だけどクロエやエイハブ、マームを魔物だとか言って差別するような者は、美少女戦隊には一人もいないわ。みんな、一人の人間として尊重して平等に接してるわ。


 それで私達が今潜ってるダンジョンなんだけど、比較的最近に発見されたもので、まだあまり人の手が入ってないんだって。それで私達美少女戦隊に調査の仕事が来たって訳。出て来る魔物はスライム、ゴブリンとオーソドックスな魔物が順番に出てくるごくオーソドックスなダンジョンだけど、注意すべき点は変異種がたまに現れる事らしい。最初の階でもスライムの変異種の黒スライムが出てきて苦労したとホノカが言ってたわ。まあ黒スライムなんて雑魚なんだけど、物理攻撃が効かないから初心者パーティには厳しい魔物かもしれないわね。


 そう言うわけで今日からオークの出る階層に、アーリン一号アメリ、クロエ、ホノカの古参チームは挑戦するんだけど、ホノカが随分と気合が入ってるみたいなんだ。なんでもオークにはダンジョンの外でずいぶんとやられたらしい。だからオークには並々ならぬ敵意があるらしい。借りを返さないといけないとか言ってるわ。


 私達美少女戦隊は魔法もできて剣もできる超一流の魔法剣士を全員で目指しているから、誰が魔法担当で誰が剣担当とかは基本的にはないんだけど、この階層はわたしが前に出るとホノカが言うもんだから、今日はホノカと私が前衛担当になったわ。前衛担当は敵に斬りこむのが主な仕事だから、魔法を使う事もあるけど主に剣を使った戦いをするの。私はどっちかと言うと魔法の方が得意なんだけど、剣だって一流の腕を持ってるんだから、まだまだホノカやクロエなんかには剣でも負けないわよ。まあ化け物の一号アメリには遠く及ばないけどね。彼女のレベルははっきり言って人間技じゃないからね。人間技レベルなら私も最強の剣使いの一人と言う事よ。ホノカのサポートはまかせて。後衛に一号アメリがいるから安心して背中をまかせられるしね。


 オークごときははっきり言って私や一号アメリの魔法で一網打尽にできるんだけど、そうするとホノカやクロエが成長できない事と高威力魔法は魔力をごっそりと取られるからさすがに魔法の連発は得策ではないわね。先に何があるか分からない、長い戦いになる恐れのあるダンジョンではなるべく高威力魔法は使わないで魔力を温存するのが基本だしね。


「みんな、聞いて。わたしは魔物の中でもオークが一番苦手で恐いの。今でもオークに襲われる夢をたまに見る事があるわ。だけど恐いままにしていたらいつまでたっても安心していい夢が見られないわ。そこで苦手意識を払拭するために今日はわたしに全力で行かせてもらいたいの。」


 オークのいる階層に来た途端にホノカが宣言した。


「え!そのつもりで今日はホノカとアーリンに前衛を任せてるんだけど。」


 一号アメリが言った。


「うん。だけどアーリンと二人だとどうしてもアーリンに頼ってしまうと思うの。」


「え!一人だけでやるの?私、いらない?」


 私が口を挟んだ。


「アーリンがいらないんじゃなくてアーリンの代わりをチビ太にやらせたいの。」


 そう言ってホノカはホブゴブリンのチビ太を召喚した。このチビ太もレベルが上がるとともに成長して人間らしさが増して、肌の色と耳の長さに注目しなければ、ほとんど人間の少女と変わらない。その上に兜やら鎧まで着込んでいるから見た目は完全に小さな少女騎士であった。まったくややこしい。


「アーリンはどう?」


「どう?ってホノカがそこまでやる気を出してるんだったら、わたしに異論はないわ。」


 一号アメリがわたしに聞いてきたけど、わたしにとったら前衛だろうと後衛だろうとどっちでも良い事だからホノカのやりたいようにさせるわよ。


「わかった。じゃあアーリンは後ろに廻って、みんなに補助魔法をかけてくれ。」


「了解。スクルトにバイキルトね。任せて。」


「あと、回復魔法も頼む。オレとクロエは攻撃魔法担当だ。」


「任せて。」


 クロエが答えた。


「基本はこの体制で行くけど、あくまでも基本だ。オレ達は元々剣士だから状況に応じて剣でも攻撃するように。」


 一号アメリの注意伝達が終わると、チビ太を先頭として私達は歩き出した。このチビ太であるがゴブリンの狂暴さと引き換えに知性を得ていて、非常に賢く私達が無理して話しているジパン語もいち早く理解していて、ホノカの命令のみならず私達の命令まで聞く事が出来た。しかも驚く事には単に命令された事をロボットのように実行するのでなく、自分で考えて嫌なら拒否する事もできた。つまりは外見のみならず中身も意思のある人間に近づきつつあった。さすがに人間とゴブリンでは声帯が違うために今の所自由に会話までできないが、もう片言であればしゃべれるようになってきているから、そのうちに会話も完璧になって自我も目覚め完全に人間になるであろうと思われた。新しく亜人の仲間が増えても今更驚かないけどね。骨やら幽霊やら先輩がいるからね。惜しむらくはチビ太が召喚獣である事ね。どんなに人間に近づいてもホノカが召喚しなければこの世に存在できないのよね。もしチビ太がもっと外の世界で活動したいと考えているならちょっとかわいそうよね。その時は今日みたいに魔力温存を捨てて出っ放しにしてもらわないといけないけど、そんな事はホノカとチビ太の問題だから余計なお世話よね。だけど私は小さな子が好きだから個人的にはチビ太推しなのよね。かわいくってぎゅっと抱きしめたい。だからもっと出して欲しい。今日はホノカも張り切っているかもしれないけど、実は私も密かに張り切ってるんだ。がんがんチビ太を支援するよ。



 *************************


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ