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田舎にしては、割りと大きい施設だ。

入ってすぐロビーがあって、一番目立つ扉の奥は割りと広いステージが広がっている。


あそこのステージで、劇や演奏会、年に一度ライブなんかも行われいる。

割りと印象強い施設



だけど今回の目的はステージじゃない

左端に置かれている図書館にオイラは用があるのだ



本を読むことに趣味を持たないオイラにとって、図書館なんて小学生の時以来だ



入ったら懐かしい、木の匂いがした。




受付にいる図書館のお姉さんに軽く挨拶して、右側の小説や資料集、新聞が置かれているスペースへ足を運ぶ。



因みにこの図書館の真ん中のスペースは青い絨毯が敷かれていて、小さな本棚には絵本や自由研究に役立ちそうな本が置かれていたりする。

オイラにとって懐かしいスペースだ。




さて、今日の待ち合わせ場所は窓際の大きなテーブル


オイラは勝手に昨日みたいに癒菜が先に来てテーブルに座っている姿を想像していた。


だけどテーブルには誰も座っていなくて、オイラはなんとなく拍子抜けしてしまった。



特別なにか身構えていたわけじゃないと思うけど



先に、宿題でもしていようかな



テーブルに座って、鞄から宿題と筆記用具、それに作文用紙を取り出してテーブルの上に置いた


とりあえず英語の宿題でもやっていようかな



「あれ、寿くん」


いざやりはじめようとした時に、横から聞き覚えのある声がオイラの耳に届いた。でもその声の持ち主は癒菜のものではない


「え、桜?」


垂れ目がちな目がオイラの姿を写し、優しく笑っている。


「図書館で宿題?」


「うん。まだ来てないみたいだけど、癒菜と宿題する約束してたんだ」



「あ、そうなんだ……」



「桜は?読書?」


「うん、夏休み中にいっぱい本読んどきたくて部活休みの日はほぼ毎日通ってるよ」


桜は分厚い夏目漱石の本を両手で持って、無邪気に笑う。

癒菜の明るく元気な笑顔と違い、清らかで暖かい笑顔だ。


後ろで束ねている三編みが少しだけ揺れる。


「ねぇ寿くん、隣でこの本読んでいい?」


「うん、どうぞ」


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