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「『貴方の香りはなんですか、作文用紙にまとめなさい期限:8月2日』考えてる暇ないじゃん!」


夏院先輩が先生から渡されたプリントを読んで、苦笑いする


「しかもこれ、先生も適当に考えたよねぇ

深い意味とかないよ絶対」


姉ちゃんがスポーツドリンクとアンパンを手にもって、呂律の回らない独特の口調でもっともな事を言う



桜がその横で何も言わずに夏院先輩の持っているプリントを覗いている



「寿くんは、月の匂いがするよ」


「月?」


桜が優しく、穏やかに笑う。部活後だから、後ろで結んである三編みが緩くなっている



「夜とか似合いそうだなって、何となく」

桜が『あはは』と小さく声を出して照れ笑いを見せた



「なんだそれっ」

照れ笑いを見せた桜の表情を見ていると体の熱が緩和して、柔らかくなるような気がする



「だったら癒菜ちゃんは太陽だねぇ!お空が似合うよぉ」



姉ちゃんが椅子に座った癒菜を後ろから抱きしめて言う。

運動した後なのに実に元気である



「ありがとうございますイブキ先輩!」



癒菜は姉ちゃんの小さい手を優しく握った


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