いざ最終決戦!絶望を打ち砕く最後の一撃!
魔物襲撃の原因を突き止めたユウリ達は、その原因である呪いの杖に誘き寄せられた魔物の襲撃を受けていた。
「全員戦闘態勢に着け!領民の非難を最優先に!避難誘導を終えた者は直ちに先頭に迎え!」
「「はっ!」」
バルドリックの指示で兵士たちは一斉に動き始める。
「ユウリ!俺達はどうする?」
「4人で手分けをして戦うしかないね。でも、さっきより断然魔物の数が多い、皆気を引き締めていこう」
「僕は上空のドラゴン達を相手にするよ」
「それがいいね、ケイン君はアルバートのサポートをお願い」
「はい!師匠!」
ユウリはテキパキと指示していく。
「ユウリ!俺はどうすればいい?」
「バルド君は僕と一緒に、領地を取り囲んでいる魔物達を相手にするよ」
「おう!」
ユウリの指示通り、アルバートとケインは上空を飛び回っているドラゴンの群れを討伐しに向かい、ユウリとバルドリックはルグナード領周辺の魔物討伐に向かった。
「凄い数だね、バルド君はその斧でできるだけ魔物を足止めしてくれる?その隙に僕が倒しちゃうから」
「了解だ!」
バルドリックが先行し、ユニーク武器『グラキエス』で敵を足止めする。
「『グラキエス』!能力開放!『フロストディザイア』!!」
辺り一面が氷へと変わり、魔物達を凍り付かせた。
「ユウリ!今だ!」
バルドリックの合図を受けて、背後からユウリが飛び出す。
「ほっ!」
バコっという鈍い音を立てながら、次々と魔物を叩き潰していく。
「こりゃあ凄ぇぜ!俺も負けてられねーな!」
バルドリックも負けじと魔物を薙ぎ払っていく。
「おやおや、大ボスのお出ましだね」
ユウリの目線の先には息を荒らげて興奮しているミノタウロスがいた。
「ユウリ!」
「うん、わかってる!バルド君は他の魔物に集中して!」
ユウリとミノタウロスが対立すると、ミノタウロスは大きな雄たけびと共に斧を振り下ろした。
「おおっと!」
ユウリはひらりと攻撃をかわす。
「次はこっちの番だよ!」
ユウリは飛び上がり、ハンマーを勢いよく振り下ろす。
しかし、ミノタウロスは斧で攻撃を防いだ。
「やるじゃん!」
ミノタウロスが斧を振り払い、ユウリは飛ばされてしまう。
「うわっ!」
ユウリが森へ飛ばされそうになった時、フードに入っていたモコが飛び出し、木と木の間に蜘蛛の巣を張った。
ユウリは蜘蛛の巣に引っかかり、地面に叩きつけられずにすんだ。
「ありがとうモコ!さあ、反撃だよ!」
ユウリは立ち上がり、蜘蛛の巣をネット替わりにし、バウンドをつけて飛び上がった。
ユウリはミノタウロス一直線に飛んでいき、ハンマーを構える。
「そーれ!」
ユウリはミノタウロスの頭にハンマーを振り下ろす。
直撃したミノタウロスは、角が折れ、ゆっくりと倒れた。
「ふぅ、どんどん行くよ!」
ミノタウロスを倒したユウリは、再び飛び上がった。
一方アルバートとケインは、上空を飛び回るドラゴンを討伐するため、高台に上がっていた。
「ケイン、君、空は飛べるの?」
「スキルは持っていないが、風魔法を使えば何とかなる」
「そう、この数のドラゴンを一匹ずつ倒していたら埒が明かないから、一気に片づける」
「僕は何をすればいい」
「話がはやくて助かるよ。君は上空を飛び回って、ドラゴン達を僕のところに集めてくれる?」
「それで全てのドラゴンを倒しきれるのか?」
「わからない。僕のユニーク武器『ドラグレイヴ』の能力開放は一度に凄い量の魔力を消費するけど、ドラゴンを木っ端微塵にするほどの力を得ることができる。ブレスで領地を焼かれる前に、一気に仕留めないと」
「わかった。では行くぞ!」
ケインは風魔法を使い、空へと飛び上がった。
1匹のドラゴンの前へ立ちはだかると、ドラゴンを煽るような素振りを見せる。
「ついてこい、デカブツ!」
そう言うと、ケインは上空を飛び回り始めた。
激高したドラゴンがケインの後を追って飛び始める。
他のドラゴン達もつられて列をなして飛び始めた。
ケインはドラゴンを引き付けている間、飛ぶ直前にアルバートが言った言葉を思い出していた。
「能力解放には時間がかかる。2分だ。2分だけ耐えてほしい。その後は僕に任せろ」
(後、1分)
ケインは飛び続け、時間が経過するのを待つ。
ケインが大きく旋回した時、一匹のドラゴンが尻尾で攻撃を仕掛けてきた。
「うおっ!」
ケインは間一髪避けることができたが、風圧で体制を崩す。
なんとか踏ん張り、体制を立て直すと、ドラゴンに追いつかれないよう距離を保ちながら飛び続けた。
(後、20秒)
ケインはアルバートの方へと向きを変え、スピードを上げた。
(後、10秒!)
アルバートへと一直線に向かう。
(5、4、3、2、1!)
ケインはアルバートの横を通り抜ける。
「時間ピッタリだ!」
アルバートは大剣を構え、しっかりと足を地につけ、ドラゴン達と対峙する。
「『ドラグレイヴ』能力解放『ラグナロク』!」
大剣に込めた魔力をドラゴンの大群に向けて解き放った。
あまりの衝撃に大地は揺れ、アルバートの足元は窪み、ミシミシを音を立ててヒビ割れる。
解き放たれた魔力によってドラゴンの群れはたちまち粉々になった。
全ての魔力を解き放ったアルバートは地面に膝をついた。
「大丈夫か!」
ケインはアルバートに駆け寄り、肩を貸す。
「僕は平気。それより、ドラゴンは」
「心配するな、全滅だ」
ケインがアルバートを支えながら、その場を立ち去ろうとした時、2人を大きな影が包み込んだ。
「何故お前がここにいる、アビスドラゴン」
ケインとアルバートの前に現れたのは、地底に住むと言われているアビスドラゴンだった。
アビスドラゴンは大きく口を開け、ブレスを放とうとしている。
「クソ!」
ケインは動けないアルバートの前に立ち、ブレスを受け止めようとした。
「馬鹿!お前じゃ受け止めきれない!僕を置いて逃げろ!」
アルバートが逃げるように言うが、ケインは動こうとしない。
「僕は師匠の弟子であり、友だ。師匠は決して仲間を置いて逃げたりしない!」
ケインは剣を構えたまま、アビスドラゴンを睨みつける。
アビスドラゴンがブレスを放とうとしたとき、どこからともなく大きな岩が飛んできて、アビスドラゴンの頭に当たった。
ケインとアルバートは驚いて、大岩が飛んできた方を見ると、そこにはハンマーを振り回し大岩を飛ばすユウリの姿があった。
「師匠!」
「ユウリ!」
「2人とも無事!」
ユウリは2人に駆け寄り、無事を確かめる。
「どうしてここに?」
ケインがユウリに質問を投げかけたとき、アビスドラゴンが再び飛び上がり唸りを上げた。
「話は後だよ、まずはこの子をどうにかしなくちゃね」
アビスドラゴンは再び大きく口を開け、ブレスを放とうとした。
「ケイン君、アルをお願い。さて、ドラゴン君、君に割いている時間はないからね。一気に方をつけるよ!」
ユウリはドラゴンと対峙し、ルーンバスターを構えた。
「『ルーンバスター』能力解放」
ルーンバスターに刻まれた文字が青く光り始め、どんどん長く、大きくなっていく。
全ての文字が青く光り終えると、ユウリはアビスドラゴンの横に一瞬にして移動した。
「『アルカナ・バースト』」
ユウリは振りかぶったルーンバスターをアビスドラゴンの脇腹目掛けて一気に振り下ろした。
ユウリの攻撃を受けたアビスドラゴンはミシミシを音を立てながら、何底へと落ちていった。
「ふぅ、これでもう大丈夫!」
アビスドラゴンが吹き飛ばされ、全ての魔物が討伐された。
兵士たちは歓喜の声を上げ、抱きしめ合っている。
「喜ぶのはまだ早いよ」
ユウリの一言で我に返った兵士たちは、屋敷へと戻り元凶である杖の元へと向かった。
杖は相変わらず奇妙な光を放っており、戦いが終わりではないことをその姿で物語っていた。
「この杖をどうにかしないとこの戦いは終わらない。アルバートが倒れた今、これ以上の戦闘は避けたい」
「この杖を壊すしかないけど、呪いがかかっているからね、むやみに手を出すのは危険だよ」
杖の破壊に頭を悩ませていると、ケインが口を開いた。
「その杖、僕に任せてもらえませんか」
「ケイン君、この杖は呪われているんだよ?むやみに破壊するのは」
「わかっています。ですが、僕のユニーク武器『ヴァリアント』は、使用者の潜在能力を引き出すだけでなく、呪いを無効かさせる能力があるんです」
「呪いを無効かだと!」
その場にいた全員が驚き、声を上げた。
「本当なのレイン君!」
「はい、使ったことはないのですが、試す価値はあると思います」
レインは杖の前へと行き、剣を構え、ゆっくりと唱え始めた。
「『ヴァリアント』能力解放『セイクリッド・レイ』」
ケインの持つ剣から眩い光が放たれ、杖を包み込んだ。
光は杖を包み込んだ後、しばらく光り続け、一際眩しい光を放った。
あまりの眩しさにその場にいた全員が目をつむり、次に目を開けたときには、光は無くなっていた。
「どうなったんだ?」
杖のあった方を見ると、禍々しい光は消え、ピキピキと音を立て、砕け散った。
その瞬間あたりに漂っていた不穏な魔力が消え去り、空気が澄んだ。
「終わったのか?」
一人の兵士が口を開いた途端、他の兵士たちも次々と歓喜の声を上げ始めた。
「やったね!ケイン君!お手柄だよ!」
ユウリも喜び、ケインに抱きついた。
「本当に感謝する!ユウリ!ケイン!」
バルドリックも2人と熱く握手を交わす。
「それじゃあ、お前達、町の人々の手当と、領地の復興に向かうぞ!」
喜びもつかの間、バルドリック達は被害を受けたルグナード領の復興に取り掛かった。
ユウリとケインも復興を手伝っていると、ワープ装置を使ってケスティアからギルド長と冒険者たちが手伝いに来てくれた。
「ユウリ!ケイン!よくやったな!」
「アーノルドさん!」
「クエスト成功の知らせが届いてな、復興作業を手伝いに来たのだ。アルバートは?」
「魔力切れでまだ寝てるよ」
「そうか、無事でよかった。お前たちもな」
そう言ってユウリの頭をガシャガシャと撫でた。
アルバートと他の冒険者たちのおかげで復興は進み、日が暮れる頃には瓦礫や倒木は全て片付け終え、祝勝会が開かれた。
「今日という日に感謝し!乾杯!」
「「かんぱ~い!」」
バルドリックの音戸で祝勝会が始まった。
料理や酒が振る舞われ、ルグナード領の領民全員が喜びを分かち合った。
「ユウリ!楽しんでるか!」
バルドリックがジュースの入ったグラスを持って、ユウリに話しかける。
「もちろん!」
「お前達のおかげで、被害も最小に抑えることができた。本当に感謝している」
「壊れた家や、領地周辺の復興にはまだまだ時間がかかるだろうけど、僕もできる限りサポートするよ」
ユウリは優しく笑いかける。
「お前は本当に不思議な奴だな。国唯一のSランク冒険者はどんなスカした奴かと思ってたが、まさかこんなにいい奴だったとはな!」
バルドリックは笑いながら、バシバシとユウリの背中を叩く。
「はは、確かに僕はSランク冒険者だけど、ただのしがないブロンズコレクターだよ?」
「しがない?お前には不釣り合いな言葉だと思うが」
「そうかな~」
ユウリとバルドリックはその後も雑談をしながら祝勝会を楽しんだ。
ルグナード領は平和が戻り、暖かい光に包まれていた。




