第十九話 絶望的な戦い
箱根駅伝往路、当日。
往路メンバーの内、流行病に感染しなかった
三年生エースの竹村以外は、全員が病み上がりである。
医師とのアドバイスをもとに、なんとか
調整を試みたが、ほとんどの選手は本調子を
とり戻せないまま、本番に挑むことになった。
調整が完全に失敗で終わってしまい、
城西拓翼大学は、スタート前から
すでに敗北必至であった。
もはや、シード権争いどころではない。
最悪、途中棄権もあり得る。
「こんな状況だが、なんとか
襷だけでも繋げてほしい。」
平林監督は切実にそう願った。
第十九話 絶望的な戦い
パァン、というピストルの音で1区の選手たちが
一斉にスタートを切る。
他校の選手がハツラツと箱根路をかける中、
城西拓翼大学の選手の顔は青白く、
すぐに苦悶の表情を見せた。
開始3キロメートルで、集団から置いていかれ、
一人、フラフラになりながら何とか走り切った。
ダントツの最下位だった。
しかし、二区のエース竹村に襷がわたると、
これが男の意地だと言わんばかりに、
前方を猛追する。
結果、区間五位の好走をみせたが、
一区でのブレーキがひびき、
順位を二つ上げるのが精一杯であった。
残りの三区から五区のランナーも、
最後はフラフラであったが、
根性で走り切り、
なんとか襷をつないだ。
しかしながら、城西拓翼大学は、
先頭の早稲田学院大学と25分離されており、
誰もが、翌日復路での逆転劇などありえないと
思わずにはいられなかった。
監督の平林も、心身ともに限界であったのだろう。
往路が終わり、監督車から降りると、
急に内臓に激痛が走り、
その場に倒れ込んだ。




