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その後7人が滑り、俺はなんとか3位を守り続けた。
もっと多くの選手が抜いてくると思ったのだが、彼らも大なり小なりのミスを犯したのだ。
そして、最終滑走者がリンクに姿を現す。
【リプレゼンティングジャパン! ユウト・シラカワ!】
今季最も勢いがある選手の登場に、会場の歓声はひと際大きくなる。
さっきは日本代表のウェアを着ていたので気が付かなかったが、白河は四大陸選手権までと違う衣装をまとっていた。
白を基調にしているのは同じ。だが、よく見ると随所に金色の輝きが見て取れる。それは、きっと彼なりの金メダルへの思いなのだろう。
フルートの旋律から彼の『白鳥の湖』が始まる。静まり返った会場に、彼のブレードが氷を削る繊細な音が響く。
――最初のジャンプ。トリプルアクセル。この高難度のジャンプを、しかし涼しい顔で決めてみせる。まるで水が流れるようなテイクオフ、回転、そしてランディングだった。俺のジャンプが剛だとするなら、やつのジャンプはまさに柔。
このジャンプ一つで、彼は会場を虜にする。今、世界が、彼というスケーターの存在に気が付いたのだ。
続いて、得意のトリプルフリップ+トリプルトウ。
さらにフリップとは反対のエッジを使うルッツも正確に跳び分ける。
ジャンプは3つとも完璧。
そしてジャンプという重圧から開放された彼は、ますます伸びやかに、自慢のスケーティングを披露する。
会場のボルテージも徐々に上がっていき――
最後にスピンが2つ。
バックエントランスの難しい入り方から、美しいシットスピン。スタンドスピン以外ででスピードを出すのは難しいが、彼はこのシットポジションで、他の選手のスタンドスピン以上の速度を出すことができる。
そして美しいレイバックスピンからビールマン、そして足を変えて、高速スタンドスピン。
思わず笑ってしまうほどの速度。その高速回転を解くとともに、歓声も弾け飛んだ。
……ここ一番で、この最高の演技。
確かに、四回転は無い。だがしかし、それでも完成度という意味で、今日一番だと認めざるを得ない。
白河は会心の演技に対する嬉しさを表す前に、まずは安堵の表情を浮かべた。
だが、観客にお辞儀をして、キスアンドクライに入るころには、その表情も堂々としたものに変わっていた。
【ザマークスフォ……】
彼の素晴らしい演技に相応しい、そして観客が望む通りの、高得点が出る。
当然のように、全ての選手を抜き去って1位。
これで俺は3位まで後退。
「大丈夫。3点差だ。四回転一つでひっくり返せる」
コーチはそう言った。
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