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泡雪物語  作者: 稚児嬰児
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序章

序章


君はその白羽根色のなかで嗤っていた。


このとめどない花弁はどこからあふれているのだろうか。


そもそもこれは花弁なのだろうか。


もしかすると、泡かもしれぬ。


僕はてのひらに鈴をもっていた。


ちりゝ、と鳴らす。


はっと、君の瞳が音を捉えた。


その瞳はいっぱいに見開かれて、


白く濁った強膜の大海に、


黒い点がぽつんと浮かんでいた。


君の悲鳴は、


花弁がしんしんと舞い落ちる静けさに掻き消される。


はた、とまばたきし終えると、君はとうの昔に、


花弁の群れに攫われたようにいなくなっていた。


これは夢現の底、僕に、何がわかることがあろうか。


そっと僕も、泡の中に呑まれる。

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