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妥協点

「で、セキバの国の調査結果だけど」

 一週間ほどで芽久琉は帰ってきました。

 どどどどどん、とテーブルの上に置かれていくのは、醤油、料理酒、みりん、味噌、米などでした。

「セキバはバッチリ日本っぽかった。家の様子も街並みもね。ただし江戸時代風って感じかな。現代っぽいビル建築は全くなかったよ。その代わり食生活は限りなくあたし達に近い。調味料もホラこの通り」

「ぶらぼーっ!」

「わーいわーい!」

 これで色々料理が出来ます。

「ふむふむ。この調味料に準じた料理を作ってもらうならやっぱりお手伝いさんもセキバから選んだ方がいいかな」

 桐羽は考え込みます。

「お手伝いを雇うのか?」

「うん。だって僕たちって家事能力はあんまり高くないし。食べ盛りの幼女が二匹いるんだからちゃんと料理が出来る人が必要かなと思って」

「二匹って言うの禁止~!」

「ぎゃーっす!」

 ぱんちを喰らいました。

 とても痛いです。

「お手伝いは賛成だけど。そうだ、それもあたしがもう一回セキバに行って見つけてきてやろうか?」

「嫌だ!」

 芽久琉は純粋な厚意からそう言ったのですが、桐羽は断固として拒否しました。

 その様子に芽久琉がちょとだけ傷つきます。

 セキバには一度行ったので道順は覚えているし、一人で行った方が早く帰ってこられるという効率の問題からの提案だったのですが。

「キリ?」

「僕は今度こそ若くて綺麗なメイド……じゃなくてお手伝いさんを雇うんだ! この際メイドじゃなくても割烹着お姉さんとかでもオッケー! あと出来れば夜のお相手を!」

「………………」

「………………」

 幼女ツインズに白い目で見られました。

 夜のお相手とか幼女の前で堂々と言わないでほしいですね。

「んー。まあ広い家だし掃除も考えるとお手伝いが必要なのは確かだな。料理だけじゃなくて色々大変だし」

「そうだね~。でも美人さんを雇われると悔しくない~?」

「そこはあたし達で牽制すればいいかも。男の手伝いとか絶対に雇わないだろうし」

「嫌だー! 男はいやだぁぁぁぁぁ!」

「ほらな」

「お兄ちゃんにも困ったものだね~」

「病気だな、ありゃ」

「男としては健全かもしれないけど人間としてはすっかり病んでるよね~」

 幼女ツインズに言われ放題ですが桐羽は気にしません。

 男をこの家で雇うぐらいなら病んでいると言われた方が遥かにマシです。

「でも執事も捨てがたいよ~」

「言うな。あたしも捨てがたい。でもここはキリの意見を尊重した方がいい。あたし達の要望を聞き入れさせたら自分の要望もぶっちぎりで叶えるだろうからな。何が何でも夜のお相手をしてくれそうなお手伝いを雇わせないためにもこのあたりが妥協点だろ」

「だね~」

 しょうもない妥協点ですが。

 こんな感じでお手伝いさんを雇うべく今度は三人でセキバまで旅立つことになりました。


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