第八話
そこは活気に満ち溢れていた。
その町に近づくと、人々の喧騒にも似た話し声が聞こえてきた。
「ここが三大大陸の一つ、ファルナ大陸の重要な世界都市ランキング35位ダリスよ。えーとまず何から説明すればいいかな……」
彼女はそう言うと少し考える様子を見せ、そして話しかけてきた。
「そうだね~。じゃあまず先に武器を新しく買わなきゃね!今カイト君、何も武器を持ってないでしょ?」
「武器ですか……?」
俺はいまさらながらに自分の姿を確認した。
俺が今見につけている服は現実で着ていた服ではなく、フードつきのローブを着ており、いかにも旅人然とした服装をしていた。確かにどこにも武器を持っていない。
「ハイ、確かに持ってません」
「じゃ、武器屋に行きましょう!この奥にいい腕の店があるのよ」
彼女は町に入っていった。俺も彼女に続き、町に入っていった。
その町は入り組んだ迷宮のような構造をしていた。町の全体の雰囲気はヨーロッパあたりの都市に似ている。
しばらくマナについていくと、一つの看板の掲げた店の前に止まった。
「ここが紹介した武器屋、ニーナ式武器流通職人兼鍛冶職人屋だよ」
……長いな、店の名前。
半眼でそう思ったが、もちろん口には出さない。
木製のドアを開けて中に入ると、ちりーんというベルの鳴る音がした。
すると奥のほうのドアが開き、ツインテールで赤髪の小柄な少女が中から出てきた。
「いらっしゃいませ~!ニーナ式武器流ちゅう……ニーナ式武器流通職人兼鍛冶職人屋へようこそ!」
……噛んだ。今絶対噛んだ。
半眼でそう思ったが、もちろん口には出さない。(これ思うの二度目じゃないか?気のせいかな)
少し頬を染めている様子を見ると、恥ずかしいと思っているようだ。
「ってあれぇ?マナじゃん!ひさ……し……ぶり……。……あのマナに男が出来たなんて」
「違うからね!?誤解しないでよ、ニーナ!!」
……男って俺のこと?いやいや俺なんかマナさんにどう考えたって吊りあわねえだろ。
半眼でそう思ったが、もちろん口には出さない。(……三度目だこれ)
誤解が解けたのか、マナさんは少し頬を赤く染めながら言った。
「この子がこの世界の新入りのカナタ君」
「へえ~、新入り君か~。……顔はなかなか……」(ちらっ)
「……何でこっち見るの、ミーナ?」
「い~え~、べっつに~」
「むぅ……」
唇を尖らせるマナさん。……ちょっとかわいいと思った。
俺の視線に気づき、首をちょこんと横にかしげた。
「なに?」
「い、いえ何も!」
マナさんはしばらく不思議そうな顔をしていた。
「……お二人さん、見つめあうのはいいけどそろそろ本題に入ったらどう?」
『見つめあってない(です)!!』
……その後も一悶着あったが、何とか本題に入った。
「この子の武器か~~。カナタ君、何か希望ある?こんな武器がいい!みたいな」
「あ、種類はもう決まってますから。小太刀でお願いします」
「小太刀?たしかにあるけど……。どうして?君の体格ならクレイモアとかでも……」
ニーナさんは怪訝そうな顔で聞いてきたが、俺の考えは変わらない。
「いえ、木立のほうが扱いやすいので。お願いします」
「まあ、武器流通職人としてはお客の意見が第一だから、用意するよ」
ニーナが奥の部屋に向かった。どうやら持ってきてくれるらしい。
「ねえ、なんで小太刀なの?」
マナさんが話しかけてきた。
「君ならもっと似合う武器があるでしょ」
「俺は過去に……」
そこにニーナが戻ってきた。話しをやめ彼女のほうに向かった。
マナさんはまだ話を聞きたそうにしていたが、俺はあまり話したくなかったことなのでほっとした。
「これでいい?小太刀《時雨椿》。あなたの身体能力を見てみるとこの武器が一番似合うと思うんだけど」
「身体能力……?どうやって……」
「ああ、そっか。新入りだからわかんないか。魔法の一種であるのよ。解析魔法っていうんだけどね」
ニーナは失念していたと思っているようだ。
「そんな魔法が……」
「ま、そうだよね~。普通びっくりするか。正直言うと魔法って何でもありだからね。で、どうかな?それで大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。まるで昔から持っていたかのようにしっくりします」
「そう、それはよかった♪」
ニーナは嬉しそうに微笑んだ。それを見ているとなんだかこっちも嬉しくなってくる。
「……お二人さん、見つめあうのはいいけどそろそろ本題に入ったらどう?」
「なっ!?見つめあってなんかない!てか私の言葉パクらないでよ!!」
その後三人で少しばかり他愛ない話をして、店を出た。
「また来てね~!」
ニーナさんは俺とマナさんに手を振りそう言った。
俺とマナさんも手をふり、店を後にした。
「えーと、じゃあ次は……」
マナさんが言葉を口にした時、後ろから声がした。
「マっナさんー!」
手を振りながらこちらに男がちかづいてくる。
そこそこの身長で少しきざそうな雰囲気を醸し出している。
マナさんは少し複雑そうな笑みで彼のほうに振り返った。
「久しぶりね、|マヒト君」
「はい、お久しぶりです!ってなんすか、この男!」
「この世界に始めてきた新入りでね、ちょっと町案内しようと思って一緒に行動してるのよ」
「新入り~?」
彼――マヒトはこちらを見て値踏みするような目線で俺のほうを見てくる。やがて、マナさんのほうを向いて、言った。
「こんなやつと一緒にいなくていいっしょ!俺らのチームに入ってくださいよ~」
「いや、それは……」
「大体こんなやつどうせ弱いままですって!だから――」
「カナタ君は弱くなんかないっ!!マヒト君だってカナタ君に勝てはしないっ!!」
いや、それはいいすぎじゃないですか?
俺があわててフォローに入ろうとした。が、マヒトがそこできれてしまった。
「そこまでいうなら、俺と決闘しろよ、新入り」
そこでマナさんは自分が何を言ってしまったか理解したようだ。彼女は止めに入ろうとしたが
「……わかりました。受けてたちましょう」
俺は少し考え込み、そう言い放った。
「だめよ!?カナタ君は新入りなんだから――」
「マナさんは引っ込んどいてくださいよ。本人がいいって言ったんだ。そうだよな!?」
「そうですね。二言はありません」
「じゃあ、4時30分この町の広場だ!!……ちっ!なめやがって!!」
マヒトはそう言って去っていった。
次回はマヒトとカナタの決闘です!
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