表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
芯界  作者: カレーアイス
第三章 鉄の意思と魂の魔王
21/72

二人は竜使い

Firester(ファイアスター) Dragavolc(ドラガボルク)


 一面に火山の世界が広がる。

 しかし、前とは少し様子が違う。

 焼野原ではなく、火山の(ふもと)には草花が生えており、豊かな緑が感じられる。

 ドラゴンもどこか生き生きとしており、前より強くなっているように見えた。


「……結構変わったな」

「思想が百八十度変わったからね」


 とはいえ、強くなったとは言い切れない。

 ドラゴンが復活できなくなってしまい、捨て身の戦法が使いにくくなった。

 これは、今までの戦い方が、ほぼ出来なくなるくらいの変化だ。


「ということで、アナタが私の芯界に慣れるのも兼ねて、練習台に――練習相手になってもらうわ」

「今練習台って言わなかった?」

「言ってないわ」

「ハァ……」


 溜息をついて、胸に手を当て、芯界の現状を把握する。

 今は、普通にアメの世界だ。

 そこから、シュヴァリィのことを考え、シュヴァリィにことを思い、どこかに保管されている赤いインクで、アメを火山に塗り替えた。

 インクは……あと一回か二回分。

 安定を取るなら、二回ごとにキスすることになるのか……。

 

「まだ?」

「今用意できた所だ。Firester(ファイアスター) Dragavolc(ドラガボルク)!」


 掛け声と同時に火山が広がっていき、鏡映しのような世界が広がった。

 火山の至る所から、俺に従うドラゴンが飛び出す。

 ただ、俺の方が緑が多かったりと、少し差異はあり、何より二本尾のドラゴンがいない。


「あの、駒に差があるんですけど」

「まず陣形を組みなさい」

「無視かよ」


 見よう見まねで、シュヴァリィと同じように陣を組む。

 よく観察すると……その陣は、一匹のドラゴンの形になっていた。


(えっと、胴体を作って、頭を作って、自分は普通に騎乗するくらいの背中に置いて)


 ドラゴンというよりは、翼付きのワニの方が近い。

 

「こんなものかな?」

「……じゃあ、一回やってみましょうか」


 二人のドラゴンが身構える。

 うちのドラゴンが、一匹飛び出したのを皮切りに、戦争が始まり――三秒で終わった。


 開始と同時に、シュヴァリィの前衛ドラゴンが突っ込んできたかと思うと、あっという間にこっちのドラゴンを蹴散らし、接近して丸焦げにされた。

 この服割と気に入ってたのに……。


「なんかスペックに差がありません?」

「陣形が悪いのよ。一匹一匹のドラゴンをしっかり見なさい」

「はーい」


 ドラゴンをよく観察。

 すると、ドラゴンの特徴が見えてきた。

 腕が大きいヤツ、尾が長いヤツ、牙が鋭いヤツ。

 一匹一匹に個性があった。


「……まさか」

「ドラゴンごとに個性があって、前衛向けと後衛向き、噴火工作向きとかがいるのよ。さっきのあなたは、それがグッチャグチャだったから、一瞬で瓦解したの」

「えぇ……」

「三秒で最適な編成を組めるようになりなさい」

「三秒は無理じゃない?」

「大丈夫よ。組みやすい配置で、出て来るようにしてるから」


 確かに、境界側から順に、頭、胴体、腕――と並んでいるので、最速で組むようにすれば、自動的に正解になるだろう。


「むしろ、私にはどうしてそんなにチグハグになるのかが、分からないのだけれど」

「なんかテンパって」

「そういう人は癖になるまで組むことね」

「……頑張りまーす」



 それから数時間、ただ陣形を組んでは戻すという作業を繰り返した。

 もちろん、完成に手こずったり、陣形が間違っていたりすると、容赦なくシュヴァリィが陣を壊滅させる。

 気づくと、あと二回分あったシュヴァリィのインクが尽きかけていた。


「あのー、そろそろインクが尽きるんですけど?」

「インク?」

「他人の芯界を使うには、インクが必要なんだよ。……使ってると段々減っていって、キスすると補充されるの」


 インクとは、「それっぽいな」と思った俺が適当に付けた名称だが、それなりに正しいと思っている。

 俺の中のどこかに、キスした人の色のインクがあり、それを使うことで、芯界を変化させられる。

 完全に塗り替える時に、かなりの量を使い、それ以外にも芯界を万全に使い続けるには、インクで綻びを修正し続けなくてはならない。

 何の制約も無しに使えるのは、アメの芯界だけだ。


「つまり……キスしたいってことね」

「いや、今日はもう終わりにしないかというこt……ちょまって、何回やっても……最大量は変わんないから!」



「二人とも、ご飯できたよーって、どうしたの!?」


 芯界に入って来たイースが、倒れた俺に駆け寄り、声を掛ける。


「だ、大丈夫……じゃなさそうだね」

「シュヴァリィが……シュヴァリィが……」 

「何したのシュヴァリィ!?」

「ちょっと、サキュバス並みのキスをかましただけよ」

「何してるの!?」


 シュヴァリィは、手で唇を弄り、乱れた口紅を整えた。


「そんなことより、ご飯よ。冷める前に頂きましょう」

「う、うん。今日はハンバーグだよ」

「そう、楽しみね」


 火山の世界がバラバラに崩壊していき、元居たリビングの部屋に戻った。

 部屋のテーブルでは、ハンバーグが湯気を上げている。


「……ごめんなさいね。最近は夕食を、アナタに任せきりにしてしまって」

「仕方ないよ、大会の準備中なんでしょ?」

「親睦会の意味も込めて、明日、三人でショッピングにでも行きましょうか。何か買ってあげるわ」

「本当? やった!」


 こうして、ヌルっと女子二人とのショッピングが決まった。


 芯界を絵画に例えて、インクを使って塗り替える。

 イメージそんな感じ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ