気ままにキャラ語り その6 『いろんなロボットたち』
本編には、いろんなロボットたちが登場します。名前の出ないロボットも。名前の出てくるロボットも。名前の出てくるロボットたちは、ロボットという単語を生み出したカレル・チャペックや、ロボット三原則の生みの親アイザック・アシモフの作品に出てくるロボットたちの名前を使わせてもらいました。
彼らについて、ご紹介します。
(1) VII-07-27-ROBY
クリス君のお友達ロボVII-07-27-ROBY。1977年に製造承認が下りた、小児用玩具。追跡端末実装ロボットです。もそもそ動く、可愛いロボット。おちゃのお気に入りです。
本編では、意外なところで大活躍してくれました(Section 59)。マンホールの上でうろうろしていたロビィはその後、無事にクリスの下に帰れたようで良かったです。
このロビィという名前は、アイザック・アシモフ短編集『われはロボット』に出てくる育児用ロボットでした。
余談ですが、本編のロビィくんは、当初は顔が面長でした。面長? というか、真横にびろ~っと長い楕円形でした。あんま可愛くないから、『ジャガイモ頭とグリーンピースの目』に変更。こっちのほうが可愛いです。
(2) III-08-29-SULLA
シュルツの暮らす第六検死研究所に備え付けられている、給仕ロボットIII-08-29-SULLA。お料理お掃除お洗濯、なんでもやります(ここでいう給仕っていうのは、食事に限らず雑用全般を示す広義の『給仕』です)。キャタピラの足は不便だろうけど、がんばってお仕事してました。
序盤、マリアにうっかり壊されました。直後、すぐにマリアに修理されます。マッチポンプ。
Section54でPRIMUSたちに壊されちゃうけど、Epilogueではまた出てきます。シュルツが直してあげたみたいです。
シュルツにとっては、SULLAもまたマリアとの思い出の詰まったロボットだったのだと思います。
このスラは、カレル・チャペックの『RUR』に出てくる女性型ロボットの名前でした。
(3) IX-01-09-MARIUS
一瞬しか出てこないけど。Section 13の新市街で人間のふりして過ごしてたヒューマノイドです。シュルツに捕まって、すぐにキャッチ&リリースされた。
『人間がロボットに対して【三原則強調言語+製造コード】で命令すると、強制効果がUPする』という情報が提示されるシーンです。“真名支配”的な感じですね。(ちなみにSection 2で、マリアにシュルツが『死ぬな』と命じているのですが、それもこのマリウス君に対する命令と同じで、【三原則強調言語+製造コード】による強力な命令でした。)
このマリウスも、カレル・チャペックの『RUR』に出てくるのです。
* さて。ちょうど良い機会ですから、この世界におけるヒューマノイドの特徴についても語ってみたいと思います。
彼らは、基本的に笑っています(満面の笑みではなく、微笑み程度)。Section 13でシュルツにとっ捕まってしまったこのMARIUSも、『穏やかな顔にためらいの笑みを浮かべている』というのが基本の表情でした。ヒューマノイド狩りで処分施設に収容されてしまったヒューマノイドたちも、死を待つ期間にも基本的には微笑でした。……それは、ヒューマノイドという存在自体が『人間がロボットへの嫌悪を払拭し、協調的労働を受け入れるようになるため』に造られたロボットだからです。人間に敵対心ではなく、親近感を抱いてもらいたい(意識的にそう思っているわけではなく、無意識レベルです)。だからほほえみが彼らの根底にあります。マリアもトマス先生も、基本的には柔和で笑顔です。攻撃的でツンツンしているヒューマノイドというのは、本編では出てきません。
また、すべてのヒューマノイドがマリアのように飲んだり食べたりできるわけではありません。摂食機能を搭載するかどうかは、製造依頼者の判断次第です。たとえば形見ロボット(メメントイド)なんかは、故人の代替物として一緒に生活する目的で造られるわけですから、摂食機能の付与が一般的なはずです。疑似呼吸や性行能力についても、同じことが言えます。(安価なヒューマノイドは、そういう細かい作りこみが甘いから、よくよく行動を見ていると人間との差異が目立ってくるのです。)
ヒューマノイドは外見上はみな人間の形をしていますが、何を目的として造られたかによって、身体に備えられている機能が異なってきます。トマス先生が食事をしたり汗を流したりできるのは、『影武者』として完全な人間を演じる必要があったからです。
IV-11-01-MARIAは、食事をします。涙も流します。おそらくはセクサロイド的な能力も備わっているのではないでしょうか(Section 2でトマス先生は『二十歳の女性に為しうることのほぼ全てを、IV-11-01 MARIAも為すことができる』と言っています)。彼女の機能を考えると、トマス先生が彼女をシュルツに預けた理由……というか先生の“計画”の具体的な道筋が見えてくるかもしれません。
(4) IX-02-27-HELENA
これも一瞬。壊れた状態で第六検死研究所に運ばれて、検死された『典型的な死亡症例』です(Section 10)。
ヘレナも、カレル・チャペックの『RUR』登場です。『RUR』のヘレナは、もっと情緒的で、重要なロボットです。名前だけ頂いた。
(5) I-05-31-PRIMUS
当局専用業務補佐ロボット、プライマス。結構重要なロボットです。見た目甲冑みたいだけど、ヒューマノイドと同じレベルの頭脳と身体能力を持っている。
当局には、PRIMUSたちがたくさんいます。彼らには一体ずつ個別コードが存在しますが、普段はわざわざ個別コードでは呼ばれません。没個性の代表みたいなロボットです。
物語の最後には、マリアの波及性灼血で壊されてしまいました。かわいそう。
作中、ブラジウス・ベイカー捜査官の下僕PRIMUSが、ベイカーのことを『パートナー・ブラジウス』って呼びます。それは、アイザック・アシモフの『鋼鉄都市』に出てくるR・ダニール・オリヴォーというロボットが、パートナーの刑事イライジャ・ベイリのことを『パートナー・イライジャ』って呼びかけるシーンを参考にしました。ちなみにR・ダニールは、亜ヒト型じゃなくってイケメンヒューマノイドです。
PRIMUSという名は、カレル・チャペック『RUR』のプリムスから取りました。そのまんま『プリムス』って名前にしても良かったんですが、トヨタの車を彷彿とさせる響きだから何か気になっちゃって。読み方微妙に変えてみました。








