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理系で制御オタの俺に彼女ができると思っているのか――GWに連れてくると約束したら、なぜか本物みたいになってきた  作者: ZERO POINT


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23/23

第23話 午前0時の制御崩壊

「終わったね」


「ああ」


「ありがとう。本当に助かった」


「すごくいい彼女でした」


「もう……終わりだな」


「うん」


「あのさ……もう終わりだけど、まだ手を繋いでていいか?」


「今日まで、偽彼女で」


「うん」


「明日から……違うから」


「うん」


「楽しかった。少なくとも俺は」


「うん」


「私も楽しかった」


「あのさ……お礼したい」


「本当は今日、お礼しようって思ってたんだけど」


「日を変えていいかな」


「……いいよ」


「あの……偽彼女じゃないけど、連絡していいですか?」


「いいよ」


 言葉数は少なかった。


 でも――不思議なくらい、沈黙は苦しくなかった。


「私……偽彼女になれて良かった」


「俺も、由衣ちゃんへ偽彼女を頼んで良かったよ」


「っていうかさ……俺、挙動不審じゃなかった?」


「ちょっと怪しい時あったよ」


「やっぱり」


「ごめん」


「っていうかさ……体調悪かったの?」


「電話きてから変だったから」


「いや……踏み込んじゃいけないのかもしれないけど」


「ここまで来たら、秘密はなしだよな」


「あのさ……元カノから連絡があったんだ」


「あ……」


「でも、もう終わってるから」


「それに、着信拒否してたはずなのに、何故か来ちゃって意味わからなくてさ」


「昔のこと、ちょっと思い出しちゃって」


「少し不安だったんだ」


「それだけ」


「でも……終わってる」


「あいつのことは、もう好きじゃないんだ」


「ただ、少しだけもやっとしてさ」


「今さらかよって、自分でも思った」


「結構、その時反省会しまくってたから」


「それだけ」


 そう言って、俺は笑った。


「でも、由衣ちゃんの手を握ってたら、少し安心してきて……頼っちゃったよ」


「それで安心できるなら、いくらでも」


「何もできなくて、ごめんね」


「いや」


 やべぇだろ。


 そんな顔するなよ。


 由衣ちゃんは、すごく切なそうな顔をしていた。


「……とりあえず、明日から友達で」


「俺からも……連絡していい?」


「うん」


「連絡いっぱいしてきていいよ」


「由衣ちゃんも」


「えっと……今度の週末は、大輝と会うことになってて、多分それが土曜日」


「そうすると、お礼のデートはその後でもいい?」


 しまった。


 デートって言ってしまった。


 由衣ちゃんが、少し赤くなる。


「それと、頭の中整理したいからさ」


「うん」


「今日、色々ごちゃごちゃしてて」


「ああ……電話あったしね」


「それ」


「さすがに外乱がでかすぎた」


「助けてって感じ」


 そう言って、少し笑った。


 由衣ちゃんが、俺の頭を撫でてくれた。


 俺は、一気に真っ赤になる。


「由衣ちゃん!」


「ん?」


「やっぱり俺、明日も連絡する」


「さっきも、連絡するって言ってくれたよ」


「いいんだよ」


 俺たちは、終わるってわかってるのに。


 何故か、まだ続いていくみたいな関係になっていた。


 わかってるだろ。


 終わらせるって。


 お互いに。


 目を見れば、わかる。


 俺が踏み込めば、何とかなるのかもしれない。


 でも――言えるわけがない。


 今の俺では、駄目だから。


 この関係は、道みたいだった。


 俺のモデルは、まだくるくる回っている。


 しかも、今日に限って少し甘えてきてる気もするし。


 最後だからか?


 こんなの、無理だろ。


 そう思ってしまう。


 いやいやいや。


 俺は、蓋をするって決めただろ。


 だって――制御オタだぞ?


 俺は、こんなだぞ?


 こんないい子が、俺の彼女でずっといてくれるわけないだろ。


 そんな思いが、どんどん募っていく。


 俺の頭の中は、ノイズだらけだった。


 やっぱり。


 俺は、まだ決められない。


 それに――楓のことがある。


 楓を、きちんと終わらせないと前に進めない。


 由衣ちゃんを選ぶにしても。


 俺なんかで、本当にいいのかがわからない。


 制御オタに、彼女なんてできるわけがない。


 だから――俺は午前0時に制御崩壊を起こして、モデルを破壊した。


 そう。


 俺たちの関係は、一度終わりを告げた。


 俺は、もう一度モデルを構築する。


あとがき


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。


『制御オタの俺に彼女ができると思っているのか』第一部、これにて一区切りです。


偽彼女から始まった関係でしたが、結局一番制御できていなかったのは、主人公自身の感情だった気がします。


整理しようとして。

理屈で考えようとして。

最適解を探そうとして。


でも、感情ってそんなに綺麗に収束しないんですよね。


外乱が入れば乱れるし、ノイズも乗るし、時々制御崩壊も起こす。


多分、この作品はずっとそんな話だったんだと思います。


そして、由衣ちゃんが本当にいい子でした。


優しくて。

空気を読めて。

でも、踏み込みすぎない。


だからこそ、主人公は逆に怖くなってしまったのかもしれません。


「こんないい子が、自分を選ぶわけがない」


その自己否定込みで、彼はまだ迷走中です。


ただ――偽彼女は終わりました。


でも、多分ここからが本番です。


また続きを更新した時は、再構築後の二人を書いていけたらと思っています。


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。


もし面白かったと思っていただけたら、感想や評価などいただけると嬉しいです。


制御オタは褒められると、調子に乗ってモデルを増築します。


Kindle版『制御オタの俺に彼女ができると思っているのか2』も公開中です。

こちらもよろしくお願いします。

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