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第56話 主人公の覚醒の瞬間が一番生を実感する。

 一夜城の屋根の上から豊臣秀吉が戦いの様子を眺めていた。

 その後ろから声が聞こえた。


「やはり、あなたでしたか。」

「この声、久しぶりじゃな、明智光秀。」


 生徒会に報告が入り、会長様から命令があったので、風紀委員活動室にやって来たところ、なんだかんだあって一夜城までやって来てしまった。

 そしたら、豊臣秀吉と偶然の再会してしまった。


「高みの見物ですか?」

「どうだろうな、儂的にはあの結衣ちゃんには生きてて欲しいんじゃが。」

「信長様のことはどうでもいいんですか?」

「まぁ、儂はあの"第六天魔王"のことなんて知らないから、どうでも良いんじゃ。」

「なに?」


 どういうことなんだ。

 秀吉様が、信長様のことを知らない?

 何かがおかしい。


「それよりも明智光秀よ、1つ提案したいことがあるんじゃ。」

「なんですか?」

「お前も家康殿の所で共に戦わないか?」

「どういう、事ですか?」

「おかしいとは思わなかったか?」

「何がですか?」

「勝手にこの世界に呼ばれ、そして駒として扱われる毎日。いつから、自分たちが主導権を握れていると思っているのだか。儂は不思議でならなかった。

 だからこそ、儂たちはこのふざけた世界に1発博打を打とうと考えたのだ。」


 その時だった。

 光秀の後ろから更に人がやって来た。


「このふざけた世界を、ぶっ壊してやるのさ。」

「徳川、家康!?」

「明智光秀、素晴らしい提案をしよう。お前も一緒にこの世界を壊さないか?」

「私はそんな事、絶対にしない!」

「俺たちの一派に入らないというなら、殺す。」

「ッ!?」

「やれ、秀吉。」




――――――――――




「はァァァァァァァ!」


 鉄と鉄がぶつかる音がする。

 前みたいな派手な炎はない。


「舐めてんじゃねぇぞ! 織田信長!!」


 蒼月華が更に襲いかかる。

 使用者の感情を表すかのように、蒼月華は更にデカくなっていく。


「信長! 危ない!!」

「まだ、だぁぁぁ!」


 蒼月華はデカくなる。だが、強くなってるわけではない。

 おかしい。なんで?


「身体が追いつかない!?」


 ラワが呟いた。

 ラワの身体がとっくに許容量を超えたのだ。

 それでも、蒼月華は更に大きくなっていく。


「今のうちだな!」


 信長は剣を振るう。

 ただ、仲間のために、自分のために。


「信長!」


 結衣は叫ぶ。デカくなった蒼月華を危険だと判断したからだ。


「信長ァァァ!」


 その時、蒼月華の影からツルが伸び、使用者であるラワを遠くへ吹き飛ばした。


「どう、なってるの。」


 と、結衣は呟いた。

 一方、その様子を屋根から見ていた家康は、呟く。


「おぉ、遂に蒼月華が真の姿になったのか。」

「あれが、蒼月華の最終形態!?」


 光秀も呟いた。


 そう、完全に自我を持った蒼月華は使用者を拒絶し、自ら破壊の刀となる。

 この姿こそが、蒼月華の真の姿なのだ!


 信長たちが立っている地面が、蒼く輝く。


「不味いよ、信長。早く、逃げないと!!」


 だが、信長は立ち向かった。



「まさか、織田信長。」


 家康は呟いた。


「蒼月華と戦う中で、戦いの記憶を呼び覚まし、"第六天魔王"を呼び起こしているのか。

 自ら、呼び起こすのか!?」


 ドン! という音ともに、巨大な風が発生した。


「はァ!」


 国を滅ぼせる力を持つ蒼月華の真の姿に、生身の人間である信長が対等にやり合う。

 いや、信長の実力はそれ以上なのかもしれない。


 信長は刀で蒼月華を弾き、回し蹴りで蒼月華から距離をとった。

 その隙に、信長は構えた。

 蒼月華が体勢を整えた時。


「【発射(ショット)】!!」


 信長の背後から【火球(ファイヤーボール)】が信長の刀に発射された。

 刀に当たった【火球(ファイヤーボール)】は、刀全体を包み込み、そして信長の使った【獄炎】を擬似的に作り出した。


「今だよ、信長!!」

「任せておけ、結衣!!」


 燃えた刀を持ち、信長は走り出した。


「はァァァァァァァァァァァ!!」


 信長の赫の刀と、蒼月華の蒼の刀がぶつかり合った。


 キン! という金属音だけが響いた。

 そして、蒼月華の折れた刃が地面に刺さっていた。




――――――――――




「大丈夫かい! 信長くん! 結衣くん!!」


 遅れてやって来たミラン先輩だったが、折れた蒼月華を見て驚く。


「誰がやったの?」

「信長!」


 結衣が食いつき気味に答える。


「やっぱり、信長くんは凄いんだね!」

「ま、まぁな。やる時はやるからな!」


 信長自身、なんでここまで戦うつもりになれたのか分からなかった。

 でも、戦って勝てたのだから良しとしよう!


「さぁ、帰ることにしよう! 信長くん! 結衣くん!!」

「はい!」


 その時、信長がミラン先輩の背負っていたリュックサックを漁った。

 そして、1本の酒を取り出し飲み始めた。


「の、信長?」


 と、結衣が言う。


「いやぁ、これがないとやっていけないのだな!」

「そ、そうなんだね。」

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