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第55話 仲間が辛そうだったら戦うべきだ。

「ミラン先輩……、信長。」

「助けにきたよ、結衣くん。」


 信長が結衣の近くに走って来た。


「大丈夫か? 結衣。」

「うん、大丈夫。」

「共に逃げようか。」


 信長は結衣を支えて歩き出した。


「さて、今度はボクが相手になるわけだけど。」


 と、ミラン先輩はラワに言う。


「生憎、ボクには戦闘できる力を持っていないんだ。」

「じゃあ、どうするんだ?」

「逃げるんだよ、全力で。」


 信長と結衣の足元、そしてミラン先輩の足元に魔法陣が現れた。

 そして、ミラン先輩は3人を転移させた。


「さて、大丈夫かい? 信長くん! 結衣くん!」


 転移した先で、ミラン先輩は結衣くんたちの心配をした。

 だが。


「あれ、信長くん? 結衣くん?」


 そこには、信長も結衣もいなかった。


「転移が失敗してる! そんな馬鹿な!」


 ミラン先輩はもう一度、一夜城に転移しようとする。

 だが。


「転移が出来ない! 邪魔されてる!!」


 嫌な予感がする。

 すぐに一夜城に行かないと!




――――――――――




「ありゃ? 予定と違うぞ。」

「信長、魔法妨害がされてる。」

「マジですか!?」

「マジです。」

「ドドドドドドドドドド、どうするんですかァァァァァァァァァァァァァ!?」


 結衣は、ゆっくりと来た道を戻った。

 つまり、ラワへ向かって歩き出した。


「信長は、逃げて。私が、時間を稼ぐから。」

「何を言っておるのだ!」

「早く、逃げて。」


 結衣はそれだけを信長に伝えると、ラワへ向けて走り出した。


「覚悟しろ、ラワァァァァァァァァァァァァ!!」


 だが、無慈悲にも蒼月華の影から発生するツルが結衣を襲った。

 信長は、ただそれを見ることしか出来なかった。




――――――――――




 いつものように信長の父親である信秀が素振りをしていた。

 元の世界での記憶だ。

 

「はぁぁぁぁ……」


 信長がいつもより大きいあくびをした。


「なんだ信長、お前も素振りしてみるか?」

「嫌だね、汗だくになってしまうでは無いか。」

「でも、お前が戦う時になったらどうするんだよ。」

「戦わないもんね。」


 それを聞くと信秀は素振りをやめて、信長の隣に座った。


「お前、かなり優秀な家臣がいるもんな。」

「その通りだ、我の仲間はみな優秀なのだ!」

「お前よりも優秀かもな。」

「当たり前ではないか!」

「じゃあ聞くけどよ、そんな優秀な仲間がやられたらお前はどうする?」

「逃げる! 我より優秀な仲間がやられたんだ。我が勝てるわけないだろ!」


 はぁ、とため息をすると信秀は自室へと行き、そしてとある1つの刀を持ってきた。


「是非、戦ってくれ。」

「なぜだ!」

「仲間のためだよ。仲間はお前のためにやられたんだ。

 お前も仲間の期待に応えてあげないとな。」

「でも、我は戦えないぞ!」

「戦えるさ、その時になれば。」


 信長は、信秀の顔を見た。


「戦えるのか? 我も。」

「戦えるとも。」


 そして、信秀は刀を信長に渡した。


「ん? これは?」

「俺の大事にしてた刀だ。」

「え、くれるのか!?」

「あげるよ。だが、約束してくれ。」

「なんだ?」

「もし、仲間がやられて仲間がピンチになったとしたら、お前は逃げるな。戦え。」

「逃げたっていいって言っていなかったか?」

「あれは、自分が辛い時だ。そして、今俺が話しているのは、自分が辛い時じゃなく、仲間が辛い時だ。」

「仲間が辛い時。」

「いいか? その刀ならお前でも戦える。いざという時に力を貸してくれる。お前を導いてくれる。

 戦え、仲間のために。自分のために。」




――――――――――




――戦え、仲間のために。自分のために。


 きっと、ここで逃げて、後で結衣がやられた事を知った時、我は後悔する。

 あの時、イリスを病室で見た時と同じ感情になる。


 信長は、信秀から渡された刀を見た。


「親父、我に力を貸してくれるのか。いや……、」


 信長は、刀を強く握った。


「親父、我に力を貸してくれ!!」


 そして、信長は刀を抜いた。


「結衣よ! そこをどけ!」


 そして、信長はラワへ向けて刀を振り下ろした。

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