表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/45

#042「ロードの先には」

「お父ちゃん。右足出したら左足を揃える。左足出したら右足を揃える。その繰り返しやからね」

「何度も言わんでよろしい。茜こそ、慣れへんヒールで裾踏んで、蹴躓かんようにせぇよ」

「うちは、そんな体当たりなギャグせぇへん」

「笑いの神は、突然降りてくるモンやからな。気ぃ付けな」

「怪我だけはせぇへんよう祈っとくわ。……お父ちゃん」

「何や、茜?」

「嫌なこともあったけど、うち、お父ちゃんの娘に生まれて正解やったわ。おおきに」

「そうか。間違うてなかったか。……幸せにな」

  *

「この教会、一時間でナンボなんやと思う、薫ちゃん?」

「ホテル内にありますから、それほど高くないと思いますよ、蘭さん」

「そうかしら? あたしとしては、結構、内装や調度に趣向が凝らされてるから、そこそこ値が張りそうに思うんだけど。それにしても。あたしたち、さっきからお金の話ばかりね」

「せやね、繭美さん。ご祝儀の金額やら、指輪の値段やら」

「神聖な場には、相応しくないかもしれませんね」

「そうね。世俗的過ぎるわ」

  *

「茜さんに横取りされるとは思いませんでしたわ。葵様は、わたくしのフィアンセでしたのに。酷いと思いませんこと、若松さん」

「そうですね、芽衣さん。僕も葉山さんには、先を越された思いですよ。これがジェラシーというものなのでしょうね」

「しかし、ここまで来てしまっては、せいぜい、お幸せに、としか言えませんわね。心の声は長谷川辰之助ですけど」

「なるほど。二葉亭四迷ですか」

  *

「花嫁のブーケは、荀也が贈ったそうね」

「茎子。他人様のいる場所では茉莉と呼んでちょうだい」

「誰も聞いてやしないわよ。それより、何色で何の花に、どういう思いを込めたのよ」

「ピンクのチューリップに、永遠の愛を込めたわ。薔薇でも良かったんだけど、華やかさより、誠実さや優しさを出したほうが良いと思って」

  *

「なぁ、蒼太。あの塔みたいなケーキは、どこに隠してあるんだ? あと、食事する気配もないな」

「ウエディング・ケーキのことか? 何にせよ、ここに食べ物はねぇよ」

「えぇ! 入刀しないのか? ご馳走は?」

「どっちも、この挙式が終わったあとの披露宴で出される物だ」

  *

「純白のドレスが、よく似合いますね、茜さん。高貴なお姫様のようです」

「葉山さんのほうこそ、真っ白な燕尾服が似合てるわ。お城の王子様みたいや」

「ありがとう。ただ、一点だけ注意しておきたいのですが」

「何?」

「茜さんも、葉山さんなんですよ? 僕のことは名前で呼んでください」

「せやったね。うっかりしとったわ」

「茜さん」

「葵さん」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ