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お と  作者: 木戸口一寸


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最高の6人

「お前ら、俺の足を引っ張んなよ」

上機嫌で声高にそう言い放ったのは、キャプテンの高山翔だ。

短髪で整った顔立ちの彼は、熊本県で超がつくほど有名なインターハイ常連校の出身で、3学年の時にキャプテンとしてインターハイ優勝の経歴を持ち、大学では他の同学年選手に先んじて、2学年の頃からレギュラーの座を獲得している、まさに将来を有望視された注目株のスター選手だ。彼見たさに会場に足を運ぶ女性ファンも少なくない。

「あいつまた言っとんで」

隼人が膝にサポーターを付けながら、苦笑気味に言った。昨年までにインカレ3連覇を達成し、今年前人未到の4連覇を目指しているのは、翔率いるT大の男子バレーボール部だ。毎年、各県のエース級の選手がここT大に集まってくる。これまでも多くの全日本選手を輩出しており、今年は中でも史上最高との呼び声が高い。

今年のメンバーは、バレーセンス抜群の、WS 高山翔・大地兄弟、打点が高く稲妻のごとく強烈なスパイクが持ち味の、OH 伊本謙太郎、高校時スポーツテスト全国1 位の身体能力の高さを持つ、S 乙竹一馬、今大会最高身長を誇る、MB 瀬尾亨、躍動感溢れる守備が売りの、L 緒川隼人が名を連ねている。彼らは、一人一人が地元では『10年に1人出るかどうかの逸材』と言われるほどの選手であった。

「みんな準備はいい?」

マネージャーの金井詩音が問いかけた。

「あったりまえっすよ。今日も朝から腹筋と腕立て伏せを100セットやってきましたからね。もう待ちきれねぇっす」

柔軟体操を念入りに行いながら大地はこたえた。既に臨戦体制といったところだろうか。

「おいおい、試合前からそんな調子でどうすんだ?」

頭を掻きながら亨がいう。

「てっぺんから見る景色は何度味わっても気持ちいいよな。優勝旗を掲げる瞬間はほんっと最高。最後の年も俺たちがナンバーワンになろうぜ」

翔がいうと

「・・・」

指にテーピングを巻きながら、無言のまま一馬は親指を立てた。

「とにかく悔いの残らない大会にしよう」

最後は副キャプテンの謙太郎が、短い言葉で締め括り、ベンチ前で円陣が組まれた。

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