千尋と変態と逆効果
◆高槻視点◆
俺と委員長は一瞬ぽかんとしてしまった。すぐにハッとして
「千尋。大丈夫か!?」
急いで駆け寄り、千尋とそいつを引き離した。
「このクソガキ。何してやがった!?」
委員長がその生徒を持ち上げて立たせ、大外刈りで投げ飛ばした。
「・・・がッ!!」
したたかに背中を打ち付けて、そいつはガクリと失神したようだ。
「千尋!大丈夫か!?いったい何が・・・!?」
千尋がガバッと飛びついてきた。俺の首に両腕を回して抱きつき、両脚を腰に絡めてしがみついた。俺は思わず両手で千尋の腰を抱いて支えた。
「ち、千尋!?」
「俺、あの変態やっつけたよ!すごくない!?」
テンションの上がった千尋が満面の笑みで俺を見た。こんな時なのに、その笑顔にドキリとしてしまう。
千尋はアハハと笑って、ぎゅっと俺にしがみついた安堵のため息を吐いて、思わず俺も強く抱きしめた。
「無事でよかった・・・!」
「コラ。駅弁ファックでイチャつくんじゃない。」
委員長が千尋の脇に手を入れて、抱き上げて俺から離して地面に降ろした。
「だって、俺って意外と強いのかも!」
千尋が委員長を見上げて、子供みたいに笑って言った。
「お前なぁ。あいつお前の言葉責めで喜んでたじゃねぇか。腕ひしぎで丁度お前のちんこが腕に当たっ・・・もが。」
俺は慌てて委員長の口を塞いだ。こんなに嬉しそうに笑ってる千尋に、聞かせる言葉じゃない。
「委員長!」
「・・・。」
委員長がジト目で俺を見ている。
「なに?」
「なんでも無い。千尋、よく頑張ったな。」
俺は千尋の頭を撫でて言った。千尋はえへへと照れたように笑った。
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◆千尋視点◆
俺はギリギリと変態を腕ひしぎ十字固めで絞め続けた。
「この野郎!ギブアップか!?」
「まだまだぁ~。あぁあ!もっとくださいぃ!」
くっそ!なかなかギブアップしないな。
「黙れ!変態!お前、平野に何しようとしてやがったんだ!?」
「はい。変態です~!」
認めた。認めやがったよ!こいつ。
「千尋ッ!」
高槻先輩の声がして、変態から引き剥がされた。庇うように高槻先輩の腕に抱き寄せられる。
「このクソガキ!なにしてやがったんだ!?」
委員長が軽々と変態を持ち上げて、バーン!と放り投げた。
すっげぇ!さすがハリウッド筋肉!
「千尋!大丈夫か?」
俺は高槻先輩にコアラみたいにピョンっと抱きついた。
ちょっとテンション上がってて、フットサルでゴールが決まったときみたいに、高槻先輩にガシッとしがみついた。
「やっつけたよ!すごくない?」
だって、ずっと女みたいに守ってやるだのなんだの言われてたんだ。
確かに有栖川千尋の体は華奢だし軟弱だ。でも俺だって男で、ちゃんと自分の身は自分で守れるって思えて嬉しくなった。
「駅弁ファックでイチャつくんじゃない。」
委員長が下ネタ言いながら、ベリッと俺を高槻先輩から剥がした。
「だって、俺って意外と強いのかも!」
委員長を見上げて言ったら
「お前なぁ。あいつお前の言葉責めで喜んでたじゃねぇか。腕ひしぎで丁度お前のちんこが腕に当たっ・・・もが。」
何か引っかかるような事を委員長が言いかけたが、高槻先輩が止めた。
「千尋。頑張ったな。」
高槻先輩がヨシヨシと俺の頭を撫でた。子供扱いだが、まぁいいか。
「だが、千尋。無茶はするなと言っているだろう。なぜすぐに俺を呼ばなかった。」
高槻仏陀のお説教タイムだ。
「おい。後にしろ。行くぞ。」
委員長が変態を米俵みたいに担いで言った。
「その変態どうするんです。」
「この『変態』は反省部屋に一旦隔離だ。その後、尋問する。」
げぇ。反省部屋なんてあんのかよ!?おっそろしいな。ホモの巣窟学園は。
「まずはお前と平野だ。」
「平野は大丈夫!?」
「ああ。西宮達と風紀室にいる。」
そう言って委員長は歩いてった。俺は高槻先輩に肩を抱かれるようにして委員長について行った。




