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千尋とオールスター祭

「ひぃ!?」


「可愛い顔して、ひぃって。」


チャラ男会計が俺を見てニヤニヤ笑ってる。なんでこいつまでいるんだ!


「楽しそうなコトしてたね。」


会計の指が俺のアゴをクイっと持ち上げた。


「オレも~♪」


「させるか!」


ーーーゴチッ!!


「ーーーッッ!!!」


チャラ男会計のニヤケ面に思いっきり頭突きしてやった。

アゴを押さえて呻いてるうちに、コンビニの外へ逃げる。


「ちょっ・・・待てよ!」


ーーーげぇ!もう復活しやがった。


俺が焦って走ろうとしたとき・・・


「うぎゃ・・ッ!!」


コンビニを出た所で会計が思いっきり転けた。


「あ!中津先輩!」


「どーも。」


コンビニの入り口で、会計に足を引っかけて転ばせたのは高槻先輩の同級生で風紀の外ハネ茶髪ヤンチャ系、中津先輩だった。


「ひっ!中津!!」


「よぉ・・・お前、うちのお姫さんに何してんだよ?」


中津先輩は猫目を細めながら、会計の顔を鷲掴んで立たせた。

アイアンクローでがっちり掴んだ会計の顔を指でギリギリ締め上げてる。


「痛い!痛い!中津っ!!」


「チヒロちゃん。もうすぐ高槻も来るから行きな。難波。お前は俺と久々に仲良くプロレスごっこしよおぜぇ。」


「いやーッ!」


俺はぺこりと中津先輩にお辞儀をして、コンビニから離れた。けど、会計の悲鳴が気になって、逃げつつ振り返った。


「ギブアップ!ギブアップだってば、中津!」


中津先輩がチャラ男会計にがっつりコブラツイストをかけていた。

おお、かっけぇ!中津先輩とは仲良くなれそうだ。


よそ見しながら歩いてたから、ドンっと誰かにぶつかった。


「わっ!ごめ・・・ぎゃあ!!」


謝ろうと、そいつを見上げてフリーズした。


+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+ 


俺がぶつかったのは、金髪に緑の瞳の生徒会副会長だった。

お綺麗な顔に不気味な微笑みを浮かべて言った。


「また君か。」


ーーーなんで、こいつまでいるんだよ!?


「き、金髪変態男!」


やべぇ。心の声が出た。

副会長がピリリと眉を顰めた。


「・・・ちょっと、君の言葉使いについて話そうか。」


ガシッと腕を掴まれた。


「何を!?」


「教育的指導ですよ。」


そう言って、薄っすら笑った。でも、目が全然笑ってない。超怖いんですけど!


「やっ!離せよッ。」


こいつ。力強い!俺は副会長に引っ張られて、連れていかれそうになる。


「手を離せ!瀧山!」


凛とした声が響いて、副会長の手が緩んだ。俺はバッと手を振りほどいて、声がした方へ走る。


「高槻先輩!」


俺は高槻先輩の背後に回って、先輩の腰にしがみついて金髪変態男から隠れた。


「ち、千尋!?」


俺はコアラみたいに高槻先輩に抱きついて、先輩を盾にした。


「さっさとどっか行け!金髪変態男!帰れ帰れ!」


高槻(ムエタイ)先輩をゲットして強気になった俺は、副会長にバッサリ言ってやった。


「・・・なんだと?」


地を這うような声に、おそるおそる高槻先輩越しに副会長を見る。


ーーーめっちゃ怖い顔してるぅ!


なまじ美形で外人みたいな顔だから、怒った顔が超怖い。俺はビビって、ひゃっと高槻先輩の背後に隠れた。


「う、嘘です。言い過ぎましたー!」


俺は高槻先輩越しに前言撤回した。


「でも、ぜひどこかへ行ってくださいー。」


「・・・瀧山。千尋に近付くな。」


高槻先輩が副会長に低い声で言った。もっと言ったれ!高槻先輩。


「高槻。その子に口の利き方を教えた方がいいんじゃないか?」


「千尋はこのままでいい。」


高槻先輩と副会長が睨み合っていると・・・パンッ! と、手を叩く音がして


「そこまで!」


と、2人の間のトゲトゲした空気を遮断した。


+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+ 


「瀧山君。顔に出てるよ。」


「・・・西宮。」


「腹黒さが滲み出てる。」


眼鏡のクール系、西宮副委員長だ。


「ランク下が僕に気安く話しかけないでくれる?」


「親の財力以外で君に劣ることは何一つ無いと思うけど。」


西宮副委員長が、薄い唇に微笑を浮かべて言った。

ブリザードだ。冷戦だ。アメリカ対ソビエト時代の再来だ。

西宮副委員長が氷のような視線で副会長を見据えた。副会長は少し苛立った様子だ。


「高槻。有栖川を連れて寮に帰れ。野次馬が増えた。瀧山君、君もね。その性根の悪い顔、見られたくないだろう?」


わらわらと野次馬が集まってきてる。

副会長は忌々しげに俺たちを見て、


「・・・覚えておけよ。」


すれ違いざまに、西宮副委員長に低く言って歩いてった。やっぱ怖ぇわ。


「ごめん。すぐ忘れるよ。」


西宮副委員長が副会長の背中に向けて言った。

副委員長も負けてないし!


「すまん。西宮。」


「いいから。早く寮に戻った方がいいよ。」


「ああ。」


俺はぺこりと西宮副委員長に頭を下げて、高槻先輩の後ろについて歩いた。


「わぷっ。」


高槻先輩が急に立ち止まって、俺は先輩の背中にぶつかった。


「高槻先輩?」


高槻先輩がまた険しい顔で前を見てる。俺は先輩越しに前を見た。


「あ!」


ナウシカ兄さんが立ってた。


+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+ 


高槻先輩がぐいっと俺を後ろに下がらせた。


「生徒会の人間が千尋に近付くな。」


高槻先輩が威嚇するように、ナウシカ兄さんに言った。

ナウシカ兄さんが傷付いたような顔をしたのが見えた。


「待って!ナウシ・・・じゃなかった。蓮はあいつらとは違うって!」


高槻先輩がピクリと眉を顰めて聞き返した。


「・・・蓮?」


「蓮は優しいし、いい奴ですって。高槻先輩。」


俺は必死でフォローした。ますます高槻先輩の眉間のシワが深くなる。

俺は焦って、高槻先輩に説明しようとして


「だから、蓮は・・・わぁっ!?」


米俵みたいに、高槻先輩の肩に担がれた。


「どけ。お前も生徒会の人間なら、自分の影響力を考えろ。千尋に近付くな。」


「・・・ッ!」


「ちょっ!高槻先輩!!」


俺を担いだまま、高槻先輩は蓮の横を通り過ぎる。


「・・・あっ。」


俺は思わず蓮の腕を掴んだ。


「蓮。ごめんっ!」


「千尋・・・。」


高槻先輩が苛立ったように、ぐいっと引いて歩きだした。俺の手が蓮から離れる。


ぽつんと立ってる蓮を見て、なんか胸が痛んだ。


俺は高槻先輩に担がれたまま、両手を合わせて「ごめん」と言った。



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