千尋と黒い稲妻
【千尋視点】
俺は高槻先輩に送られて寮に帰った。高槻先輩は風紀室に戻っていった。
忙しいならいいのにって思ったんだけど、髪切って可愛いくなっちゃったから気をつけなさい。みたいなことを言われた。
非常に不本意です。
俺は部屋でゴロゴロしながら、手帳から出した写真を眺めた。
大学時代の飲み会の時の写真だ。手前に仏頂面の小林。その後ろにビール片手にめっちゃ笑ってる俺だ。
「命の恩人の写真がほしい」みたいなテキトー言って、小林に頼んで貰ったんだ。
「・・・。」
毎朝、鏡に映るのは「有栖川千尋」の顔だ。
ーーーこのままじゃ、山田太郎の顔を忘れちまいそう。
なんか、忘れちゃいけない気がして。この写真を貰った。
俺は写真を手帳に戻して、部屋を出た。
キッチンのお菓子入れを見る。買ってきたお菓子はここに入れて、高槻先輩にも食べていいよって言ってる。(高槻先輩が買ってきたやつもね。)
「ありゃ。なにも無い。」
高槻先輩、じゃがりこ食べたのか。
俺はコンビニにお菓子のストックを買いに行くことにした。
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iPodで音楽を聴きながら、コンビニまで歩いた。
なんでも売ってるハイパーコンビニだ。
めっちゃ広くて、本のコーナーや文具コーナーも充実してるし、野菜やら肉やら自炊派生徒の為のスーパーコーナーもある。
自炊なぁ。俺も昔はやってた。
寮に入ったとき有栖川家から、一人暮らしセットで炊飯器やらモロモロ用意されてた。
学園生活も慣れてきたし、たまには自炊もいいかもね。
俺はカゴを手に駄菓子コーナーに向かった。
一番下の棚にブラックサンダーがある。俺はしゃがんで物色する。
ブラックサンダーグレーゾーン。なんじゃこりゃ。あ、紅茶味か。
俺はひょいひょいとブラックサンダーをカゴに入れた。あと、セコイヤのいちごチョコとどうぶつクッキーの小袋。高槻先輩にキャベツ太郎。
ふいに手元に影がかかる。
「・・・?」
しゃがんでる俺の背後に人の気配が。後ろから覗き込んでるみたい。なんか近くね?
もしかして邪魔かな?
俺はしゃがんだまま、よちよちと右にずれた。
「?」
すると、俺の右横にずいっと足が出て通せんぼされたみたいに、これ以上横に進めなくなった。でっけえ靴だな。
俺は立ち上がって、左にずれる。
今度はトンっと、棚に腕が伸びた。なんか壁ドンみたいに。
ーーーなんなんだよ?
俺はイヤホンを外して、振り返る。
「げぇえッ!?」
背後にいる奴を見て、俺はフリーズした。
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ワイルドな黒髪。目力のある瞳。ハリウッド委員長に負けず劣らずのガタイの良い長身。
ワンランク上のイケメンだ。
俺の背後にいたのは、生徒会長だった。
俺は目を見開いて、バカみたいに口をパクパクさせた。
「お前が一年の眠り姫か。」
ーーーハッ!まだこいつには顔見られてなかったよな。
「違います!」
「は?お前、有栖川千尋だろ。」
「え?違いますよ。何言ってるんです。」
ーーーなんで名前知ってんだ!?こいつ。
「俺を保健室に運んだだろ?」
「運んでないですよ。何言ってんですか。」
ーーーやっべぇ!エレベーター挟みまくったことバレたのか!?
「先日は目潰ししてくれたよなぁ?」
ーーーげぇッ!それもバレてんのか!!
「知りませんよ。何のことですか。あんた誰ですか。」
俺はシラを切り通して逃げ切ろうと思った。
生徒会長が目を細めて俺を見た。
「・・・ブラックサンダー好きだろ?」
「あ。それは好きです。」
ーーー何言ってんだ?
「制服のポケットに入れてるだろ。」
「なんで知ってんの?」
生徒会長がニヤッと笑った。
「・・・お前。面白いな。気に入った。」
「えっ?」
生徒会長がぐいっと俺の頭を掴んで引き寄せた。




