千尋とブラックサンダー会長
◆千尋視点◆
翌朝。
「なんじゃこりゃ。」
洗面所で顔を洗って、鏡に写る自分を見て思わず声が出た。正確には、首だけど。
めっちゃ濃いキスマークだ。
特に高槻先輩が付けた方は、もはやアザだ。
無理だ。こんなんで学校行きたくない。ホモの巣窟学園だし。
よし。サボろう。
「おはよう。千尋。」
3個目の目覚ましで起きてきた高槻先輩が洗面所に来た。
「おはようございます。高槻先輩。俺、今日休む。」
「どうした?」
ーーーどうしたも、こうしたも。
俺は両手の人さし指でビッと首を指差した。
「こんなんじゃ学校行けない。」
「あ・・・。」
高槻先輩がカアァーっと漫画みたいに赤くなって、直後青くなった。
「す、すまない。千尋。」
深々と頭を下げる高槻先輩に
「今日、土曜日だし。土日連休になってラッキーって感じ。」
ニヤっと笑って言った。
まぁ、病気でも何でもない訳だしね。
「教師には俺から伝えておく。」
高槻先輩は、まだちょっとすまなそうな顔をして言った。
ほんと残念なイケメンだよ。そんなにションボリするなら、やるなっつーの。
「じゃあ、お願いします。」
俺はぺこりと頭を下げた。
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俺はリビングでダラダラとテレビを見る。
ズル休みっていいね。ワクワクします。
「あ。」
俺はスマホを取り、小林にメールした。
『駆け込み寺へ。今日泊りに行ってもいい?』
『いいよ。』
と、小林から返信がきた。
「よっしゃ。」
このホモ多き学園生活で俺のストレスもだいぶ溜まってる。俺は小林のとこへ駆け込み寺することに決めた。
小林は「急に困る」とか「何があった?」とか言わない男だ。「いいよ」か「無理」のどちらか。だから気が楽だった。
そうと決まれば・・・
俺は制服に着替えて、外泊届を出しに行くことにした。
長期入院していて三年寝太郎だった俺は、結構簡単に休めたり、外出できたりするんだなぁ。
なんか、ごめんなさいだけど。
急がなくっちゃ。
授業が終わったら、他の生徒と顔を合わせちまう。授業中に提出しに行こうと、俺はちょっと急いで部屋を出た。
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首にはガーゼを貼って、謎の湿疹って言っといた。先生にちゃんと病院で診てもらえって心配された。
外泊届を出して、誰もいない廊下を歩く。堂々とサボっちゃってるので微妙な気分だ。
自然と早歩きになる。スタスタ早足で歩いてたら、曲がり角で思い切り誰かとぶつかった。
「わっ!」
「おわッ!」
俺もそいつも尻餅をついて、バサバサと書類らしきものが散らばった。
「ごめん!大丈・・・!?」
そいつを見て固まった。
俯いて顔を顰めたその顔は・・・
生徒会長じゃねぇか!?
「てめぇ、どこ見て・・・」
生徒会長が顔を上げてこっちを見ようとしたので
「見るんじゃねぇ!!」
と、思わず目潰し攻撃をしてしまった。俺の人差し指と中指が生徒会長の目に軽くヒット。
「うがっ!?・・・てぇッ!!何しやがる!?」
「あわわ。」
逃げるが勝ちだ!俺は慌てて立ち上がるが、生徒会長が制服を掴んできた。
「ぎゃー!離せ!」
俺は思わず生徒会長の頭にチョップをした。
「ぐっ!」
無理矢理、手を引き剥がした時にビリって制服のポケットが破れちまったが、構ってられん。
俺はダッシュで逃げた。
委員長の言う通り、『生徒会ホイホイ』かよ!?俺は。
さっさと小林んちに駆け込み寺しよう!
そう決意して、一目散に逃げ出した。
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◆西大路視点◆
書類を手に授業中で誰もいない廊下を足早に進んでいた。
曲がり角でドンッと誰かにぶつかった。
無様に尻餅をつき、書類がバサバサと舞い散る。
俺はチッと舌打ちをして、ぶつかってきたクソ野郎に文句を言おうとして・・・
「見るんじゃねぇ!!」
ズゴッと目潰しを食らった。
ーーー!!??
いっ・・てぇ!!何なんだ!?この俺によくも・・・命知らずがいたもんだ。
殺す!半殺しにしてやる。丁度イラついてたんだ。サンドバッグにしてやる。
片手で痛む目元を押さえて、もう一方の手でそいつの制服を捕まえる。
「ぎゃー!離せ!」
ーーーズビシ!!
「・・てぇッ!このヤロ・・・!!」
今度はチョップだ。殺す!こいつ絶対に殺す!!
ーーービリッ
引っ掴んでた制服が破れて、そいつは走って逃げた。痛む目を無理矢理開けて見れば、華奢な後ろ姿が一瞬だけ見えて、そいつは右へ曲がり階段で逃げてった。
「クソッタレ!」
俺は毒付き、手の中の布を見た。ブレザーのポケットだ。
何か落ちてる。
小さいチョコだ。
「これは・・・。」
ーーーブラックサンダーじゃねぇか!!
実はあの保健室で食べて以来ハマって、ちょいちょい食ってる。
俺はバッとあいつが逃げてった方向を見た。まさか・・・。
「1年の眠り姫か・・・?」
俺は思わずハハッと笑った。一度、眠り姫の顔を拝まねぇとな・・・。
俺は書類を拾い集めて、ブラックサンダーをポケットに入れて、再び職員室を目指して歩いた。




