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異界に行って神子  作者: 馳 元嬉
5/6

奪還作戦、される。


ふかふかのでっかいベッドで、お母様とお姉さまと3人で川の字で寝ていた。


さすがに、いきなり一緒に寝るのはどうかと、ベラル執事は言ってたけど、お母様に押し切られた。


寝るまでずっと「もう怖いことなんてないのよ。お母様が守ってあげるからね。いいこ、いいこ」って言いながら撫でてくれていたので、かなりゆったりと温かい気持ちで寝ることができた。


お姉様は、ふとんかぶった瞬間にストンと寝てしまい、現在は足が俺の腹に刺さってて地味に痛い訳なんだけど、、


その瞬間に気づいた。

ザワって感覚。

狼に見えないところから囲まれているような。


カンッカンッカンッカンッ

バリッ

ガチャンッ!


色々な物が遠くで割れた音がする。


ピーッピーッ!

敵襲!敵襲!

騎士様方に連絡!

裏手のマシュタール男爵様にも増援を!

ベラン様!


「お母様!お母様!起きて!!」

俺はユサユサとお母様の肩を揺らす。

胸部装甲が重すぎて、二歳児だと上手く体を揺すれない。

しょうがないからペチペチと顔を叩く。


「むにゃ、、うるさいわよ、ミレット、、」

そう言いながら、俺を抱き締めて寝に入る。

うおーーー至福の柔らかさじゃーーーー


じゃなくて

「お母様!お母様!賊です!」

大声を上げながら、俺はめいっぱい体を動かした。


バンッ!

ぅお!「キャッ!」「お前たち!!」

お、お母様やっと起きた、、


「びっくりするじゃない!どうしたの!?」

「敵だ。今、土蜘蛛どもが襲ってきてる。20や30じゃきかん。くそっ街の門番どもは何をしていたんだ!」

「おとうさま、、?」

ミレニエットも起きたみたいだ。


お父様は、ずかずかとベッドに来ると、俺を抱き上げた。

「ちょっと!貴方!その子をどうする気?!」

「落ち着け!どうもせん!奴らの狙いはエマコットだ。私が護るのが一番だ」

「差し出すつもり!?」「ちがうっ!」


「ふぇぇ!!おかあさまーー!!」

両親の怒号で、ミレニエットが泣き出した。

「あぁ、私の愛しいミレニエット。大丈夫ですよ。お母様が一緒だし、きっとお父様が護って下さいますからね、、」


「お前たちは、私の書斎から入れる小部屋に行きなさい。最悪、そこから隠し階段を降りれば後ろの隠し扉まで行ける。声を掛けるか、日が昇るまではその部屋にいなさい。窓はないが明かり取りの隙間があるからわかるはずだ」

「いやよ、貴方、、貴方の声以外で、私はその部屋を出ないわ」

「そうか。わかった。待っていろ」


そう言って、お父様は俺を左手で抱き上げたままドアへ向かう。

「御武運を、貴方」

「征ってくる。愛してるよ、おまえたち」

俺は含まれてないですよね、、それ。

仕方ないけど。


ドアを出ると、ベラル執事がレイピアを持って立っていた。

「申し訳ございません。門は破られました。今は荷物を積み上げ玄関前で応戦しておりますが、初手の弓で多くを倒され、また、敵の数が多く、数人は中に侵入されました。そいつらは、うちの使用人でどうにか倒しましたが、正直申しまして、、その、、」

「三階への階段は抑えてあるな?」

「はい。三階直通の螺旋階段については、二階部分で閉鎖。その後ろに全使用人を集めてございます。」


この屋敷は、防衛の為、主人の寝所や金庫がある三階へ行くには、中央の螺旋階段しかない。その二階部分を埋めて最終防衛ラインとしているのだ。


最悪、そこで粘れば、敷地内に屋敷がある騎士達や、隣に屋敷を構える男爵家の応援が駆けつけるかも知れないのだ。


「よりによって、ミレア達がこちらに来ている時に、、」

「真に。前戦都市など、女性が来るところではございませんな」

「まったくだ。異国のバザーが見たいなどと、、次は鎖をつけてでも、帝都から出さん」


そう言いながら、二人はバリケードまで向かった。数人が怪我して手当てを受けているが、外からの喧騒以外は静かなものだ。


「ベラル、私の鎧は?」

「はっ。胸鎧と腕鎧だけは持って越させました。申し訳ございません、兜と腰鎧に関しましては、持っていた者が途中で射たれてしまい、階下に置き去りと、、」

「よい。着けろ」

「はっ」

ささっと、数人の女性が来る。皆、服装がバラバラだ。上下きちんとメイド服を来ているのは、背筋のピシッとした30歳くらいの人だけだった。


ドンッ

風が吹き抜ける。

「扉を閉めよ!ありったけの荷物を持ち、ドアを押さえるのじゃ!弓持ちと槍持ちは近くの窓を見張れ!」

「矢がありません!」

「お前だけ武器庫へ行け!」

「ハッ!」

タタタタッ


「父が中に来たようです。扉前は抑え切れなかったようですね」

「いや、すぐに扉が叩かれた様子がない。他の騎士と替わったのではないか?」


「ギャーッ!!」

「何事じゃ!」

「ベラン様!武器庫方面から敵が!」


ガチャン!ズブッ!ぐああ!くそがッ!槍走れ!ハッ!いやまて、後ろから弓が!ギャアッ!!ベラン様!階段へ走れ!二階への道を守れ!


「横口と裏口から入り込まれたか、、」

「はっ。父は死んでも二階への道を守りましょう。私は三階への道を守る所存。ご主人様は、書斎をお守り下さい」


「いや、、」


そう言って、お父様は俺を抱えたままバリケードをよじ登り始めた。

「その子を差し出されますか?」

ベラル執事は、自然と一緒に登り始めている。

「むっ、、よし。いや、その気はないがな、、」

降り立つと、やや早い足取りで二階へ降りていく。そこでは、顔から血を流しながらも槍を階下に向けたベランと、数人の従者。そして、こちらを凄い目で見てくる黒髪黒目の男たち。


よく見ると、ほとんど鉄かなにかで出来てるベラン達の槍と、先っちょだけ鉄っぽいので出来てる黒髪軍団の槍との違いに気付く。

相手は防具も木か何かで出来てるようで、鉄鎧のベランやお父様とは大分印象が違う。


「帝国語がわかるやつはおるか!!」

太い声で、お父様が問う。

「キコウ」

一人だけ色鮮やかな鎧を着けた大男が前に出る。

「貴様らは、神子を取り戻しに来たのか!」

「ソウダ」

「この子が神子だ!しかし、この子は西海の血統!土蜘蛛どもの神子ではなかろう!」

「チガウッ!神子ハ、ホッカイノ神子ノコドモ!ヤマノタミニノコサレタヤクソクノ神子ダ!」

「北海だと?バカな!かの帝国が、土蜘蛛どもと誼を通じるものか、デタラメを!」

「カエセ!ワレラヤマノタミハヤクソクヲタガエン!ソノ神子ハワレラガマモル!!」


やめて、私の為に争わないで!

なんて言ってみようかしら、、という現実逃避。

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