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黒少女  作者: 真冬 白雪


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13/23

#11

 【まい 零祓れいはは死神と契約した少女だ】


 零祓は願いを叶えた代償(対価)として死神から与えられた能力デスサイズで《ネファス狩り》をすることになった。稀に契約に起因して魔術・魔法の能力が発現する少女もいるらしく、発現条件は相性・血筋・その他遺伝的な要因が考えられるが詳しいことは判明していない。


 零祓のソレは死神といったら真っ先に連想される漆黒の大鎌だった。デスサイズの詳細については彼女自身も分からないと言っていたが、一振りでその空間を切り裂く様は一目で人間が扱える代物しろものではないという事が見てとれた。そんな武器を相手取る、ネファス____(もと)である死神はそれ以上の存在だと思い知らされる。

 

 そして、契約者の身体をり代とする死神のほとんどが神話に登場する名を冠している。死神はネファスが消滅した際に生じる粒子を集め、出現した粒子は少女の身体に宿るとされている。

 しかし、自我はほとんど無く、人間の性格や性別、体型に輪郭が引っ張られるそうだ。つまり、少女の身体は単なる器としての役割だけでなく、人間と神との半神半人であると定義できる。今回の場合、神は神でも死神だが____。


 これが私が零祓から聞いた話の全容だ。一度に大量の情報を詰め込んだ事で理解しようとする頭と混乱する私がいた。


 淡々と教科書を読み上げる様に語られる素振りは、どこか機械的でまるで、死神やデスサイズに関しては一切の興味が無いように思えた。


 今思えば、彼女の興味はとっくに()()()()に移っていたのかもしれない。妙に人間味があって、今だって学校の単位を気にして私を替え玉にしようとしている・・・。姿形が似ているから何かしらの利点があるのは分かるが、その使い道が何とも子供っぽい。

 実のところ、見た目・年齢共に現役の高校生であるのは確かだが。




 _______【そういえば、零祓は死神に何を願ったのだろう?】




 それは、契約した少女にとっての最高秘密トップシークレットで、安易に聞くことも、口にする事も許されないような気がした。

 願いの規模____例えば、自分では手が出せない物やお金では叶えられない事。仮に恋人が欲しいとか、感情・精神面が絡んだ場合はどうなるのだろう?願った当事者はその結果に満足するはずだが、対象となった人間の意思はどの様に処理されるのか____。

 暗示・催眠・洗脳、言葉を並べればそれらしい結論は出るが相手は死神、そんな生易しいものではないはずだ。

 どちらにせよ、彼女たちの秘め事に興味本位で触れてしまう事は禁忌に匹敵すると感じた。もし、それが許される存在がいるのだとしたら、それは同じ境遇の少女だけ。


 「ねぇ、最後に一つだけ聞いてもいい?」


 私は零祓の顔を覗き込んで、その心にそっと触れてみようとした。


 「零祓の願いって_______」


 殺されかけて脅されて、慰められて撫でられて。たった一度の出会いでこんなに目まぐるしい喜怒哀楽を体験したのは初めてだ。

 だから、この質問だって本気で聞いたわけじゃない。疲れた身体に身を任せた、吐き捨ての言葉。


 私の無自覚ひとりごとに向けられた眼差しは純粋で静かだった。その瞳に気を取られ、唇にそっと押し付けられた彼女(零祓)の指先に時間を止められる。


 「それは_______」


 意表を突かれた私は呼吸を忘れ、見開いた瞳で少女の顔だけを視界に捉えていた。 

 ドクンッ_ドクンッ_と早まる心音。冷たく柔らかな体温に閉ざされた口。

 そうして、体感時間一分(呼吸停止)硬直クチドメをされた後、彼女は涼やかな笑みで一言、こう言った。


 「秘密」_______と。


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