ダリル飯が食べたいのぅ、宿飯なのかい?グッスン。
ダリル飯ぃ〜
儂の渇望は届かず、ダリルさんは宿が用意した朝食をの。
ふむ。
不満なしに、食しておるわい。
実は美味いのか?
試しに一つ。
ううーむぅ。
不味くはない、不味くはのっ!
じゃが、美味いかと聞かれたらのぅ。
コチラで食すわい!
ダリル飯とは、雲泥の差じゃてな?
『料理してくれた方に感謝し、黙って出された品を食う。
コレが、ダリルさんの理念らしいですよ?
マスターみたいに、我儘を言わないみたいですが?』
あー
今日、耳日曜。
いや、じゃってのぅ。
病で全く食えんくなっておったのじゃぞ。
しかも、我慢できずに食ったら、胸や背中に激痛が走ったりとかのぅ。
食いたい物が食えん悲しみが分かるかえ?
元来、儂は自他共に認める食いしん坊じゃったんじゃがのぅ。
まさか、儂が物が食えんようになるなんぞ、思いもせなんだわい。
そんな儂が、食えるようになったのじゃ!
今、食わねば、何時食えと?
食える内に食う。
躊躇っておる内に、食えんくなったら、どがいせいと?
気が狂うわっ!
『いや、そこまでですか?
それに、テロメアが復活どころか成長しているマスターが、そんなことを気にする必要は無いかと』
いや、そのテロメアとやらが、全てでは無かろうに。
まぁ、多少は許して貰えんかのぅ?
ん?
ダリルさんが、サーマさんと話しておるな?
なんじゃろか?
「飯を食ったら立つゆえ」
「いや、待ちなよ。
今から荷を売るんだからさぁ。
アンタの取り分もあるだろうに」
まぁ、荷を卸に来たのじゃから、当然じゃわな。
ダリルさんが狩った獲物も、かなり含まれておる訳じゃし。
「いや、獲物は里長へ卸しておる。
もはや俺の物では無いでな。
それに、金も結構嵩張る。
不要な荷は増やしたく無いのでな」
まぁ、この世界の金銭は硬貨だけじゃてなぁ。
多額の金銭を得れば、それだけ荷を圧迫し重くなるじゃろうて。
「金は道中で稼げば良い。
それに採取し狩りをすれば、食うに困らぬでな。
今日中に街へと赴きたいゆえ、無駄な荷は要らぬ」
そうダリルさんが告げるとな、飯を食っておった皆の動きが止まる。
はて?
「ちょいと、無茶お言いでないよ。
街までは、ココから里近くの村までの三倍は離れてんだからね?
今日中なんぞ、無理だわさ」
そう呆れたように告げるサーマさんへ、給仕のおばさんがね。
「いやいやいや。
それこそ、バカお言いでないよ。
三倍どころか、五倍でも効かない距離さね。
そんなに近いハズなかろうに」
困ったようにのぅ。
「はい?
ああ、街道を素直に進めば、その位かねぇ。
アタイら狩人は、ガレ場だろうが、森だろうが、関係なく進むからねぇ。
一般人が通る道なんぞ使わないわさ」
そんなサーマさんの言葉を聞いた給仕のおばさんは、サーマさんをマジマジとみておる。
「な、なにさ?」
「本気かい?」
そう尋ねられ。
「何か変なかい?」っと。
したらな。
「いや、本当なんだねぇ?
アタシらと同じ人かえ?」
「酷いねっ!」
思わず叫んでおるわい。
まぁ、いきなり人外と言われたらのぅ。
そんな二人を黙って見ていたダリルさんがの。
「いや、俺はサーマさんが告げたルートは通らんぞ」っと。
「おや?
では、街道を?」
サーマさんの息子であるバンカからの。
したらな。
「まさかな。
そんな迂遠な道は辿らんよ。
真っ直ぐ街へ向かうだけだ」
そんなことをな。
したらサーマさんがな。
「バカなこと、お言いでないよっ!
そんなこと、できるハズがないじゃないかね!」
怒ったようにな。
はて、何じゃろか?
『いや、マスター
街まで真っ直ぐ進むには、ガレ場もですが、切り立った断崖絶壁を上り越えねばなりません。
崖上は隔絶した環境ゆえか、強い獣が多く生息し、晶獣の姿も確認されている危険地帯ですね。
知られておりませんが、崖上の森を分断するように亀裂が入っており、深い崖が森を分けています。
人が通れる場所では無いのですが?』
そがぁな所を通る気かえ?
正気かっ!?




