社宅の内見へ行こう!え?ここ、本当に社宅なの?うせやろっ!?
アドバイザーさんと話しながら、森沿いの壁際を歩く。
高い塀であり、結構な長さがあるな、これ。
駅裏から車道脇の歩道を。
車道の反対側は塀なのだが、塀と歩道の間には花が植えられている。
車道側は等間隔に街路樹だな。
二車線だが、結構広い道だったんだなぁ。
なんで駅前の道と繋げてないんだろ?
メイン道路と繋がっていないため、交通量は皆無に等しい。
まぁ、メイン幹線自体が、さほど交通が多いとは言えないんだがね。
若返った身体もあるが、アドバイザーさんと話しながらの移動だから苦にはならない。
だが、結構な距離を歩いたような。
社宅とやらは、まだ先なのだろうか?
ん?
森は公園か何かかと思っていたのだが、凄い門構えが見えて来たぞ?
あれ?
何かの施設だったのかね、ここ。
んーっと、って、マジ?
いやさぁ、アドバイザーさんが、あの門へ向かうように告げるんですが?
いや俺、社宅へ向かっているんだよね?
『はい、そうですよ。
アソコが、社宅の入り口となります』
パードゥン?
え?
若返ったハズなんだが、耳だけ老化してる?
アノ豪奢な門が、社宅入り口と聞こえたんだが?
『その通りですよ。
マスターに許された社宅となります』
はい?
つまり、普通の社宅では無い?
ヤッダァー
気後れしつつ門前へと。
したら、それに合わせるように門が開く。
うわぁーデカい自動ドアだなぁー
いや、さぁ。
門が開いたんだけどね。
アドバイザーさん?
既に入居者が居るみたいですよ?
帰って良いですかね?
思わずな。
『アレは入居者ではありませんね。
社宅の管理および入居者の世話掛かりですよ』
あ、ヤッパリ?
いや、執事さんみたいな人を筆頭に、メイドさん5人、執事さん5人がね。
ココ、日本だよね?
本物の執事やメイドなんて、初めて見たんだが?
左右にメイドと執事を従えた執事さん。
家令とでも呼べば良いのだろうか?
その、家令らしき初老の男性がね。
「お待ちしておりました。
多羅 総司様」っと。
胸へ手を添えて、恭しく一礼を。
後ろの方々が、合わせてな。
っか、はぁ!?
なんで俺を知ってんのっ!?
『私が連絡しておりますから』
そうアドバイザーさんがな。
「え、えー!ええっ!?
ここ、社宅なんです?
社宅を調べに来たんですけど!?」
社宅の内見に来たら、執事とメイドに出迎えられました。
訳分からんわっ!!!
「まぁ、ま。
落ち着いてくだされ。
先ずは、中へ。
ココで立ち話もなんですし」
そう促されて門を潜る。
俺が通り過ぎると、自動で門が閉じましたよ、ええ。
マジで自動ドアでした。
ほへぇ〜
あんなデカい自動ドアも在るんだなぁ。
変な所へ感心しつつ門を潜る。
家令さん?かな?
彼に案内されながら石畳を進み屋敷へ。
いや、マジで、御屋敷なんですが!?
「ここの離れか、屋敷の一室を借り受ける形なんですかね?」
堅苦しそうだなぁー
ヤダなぁー
「いえ、この家屋。
いや、敷地全てが対象となりますな」
はぁ?
うせ、や、ろ?
「は、はいぃっ!?
いや、訳が、分からんのですが!?」
したらなぁ、こん憎たらしい男はな。
シレッとな。
「まぁまぁ、落ち着いてくだされ。
詳しくは、応接間にて致しますゆえ」っと。
コヤツ、俺より年下だよな?
まるで年上ではないかっ!
潜った場数が違うのか?
なんなんだ、その余裕はぁっ!
ハッ!
そうか、生きた長さではない。
生きた深さが、人に深みを与えるんだろう。
現に異世界ではあるが、ダリルさん、っと言う例があるではないかっ!
うぅむぅ。
俺は所詮、サラリーマン。
決まった仕事を熟し、給金を得ていた身だ。
個人業の方々もだが、会社の庇護がない世界を生き抜いた方々とは、潜った修羅場が違うのやもな。
まぁ、サラリーマンは、サラリーマンで、パワハラに会うは、過剰労働にて身体をボロボロにされたりするがなっ!




