表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/199

早く着き過ぎてしもうたわえ。どう時間を潰すかのう。

どうやって時間を潰そうかと思案しておったら、喫茶店近くへスーツ姿の女性がイライラとな。


で、前を通り過ぎようとしたら、俺が居る気配を感じたのか、チラッとコチラをの。

まぁ、誰でもする行為なので、そのまま通り過ぎようと思ったのだが。


急に俺の顔とスマフォを見比べ始めたんじゃが、ハテ?

明らかに挙動不審になったでな、コチラもギョっと。


したらの。


「失礼ですが、多羅(たら) 総司(そうし)さんでしょうか?」


そう尋ねて来た。

はて?

こんな美人さんに知り合いはおらんのじゃが?


「はいぃ?

 だ、誰じゃな?

 確かに、俺は多羅じゃが?」


何者じゃっ!


「あ、会社の指示を受け、資料をお持ちしました。

 しかし、随分と早いですね?」


ああ、アドバイザーさんが告げておったスタッフさんかぇ。

しかし、こんなに早くかえ?


「いやはや、こがぁに早うから悪いのぅ。

 しかし、喫茶店で受け取る話しになっておったハズじゃが?」


そうじゃったよな?


「会社オフィスが近いんです。

 夜勤でしたので、私がお持ちしました」


いやいや。


「明らかに、喫茶店が開く一時間前なんじゃが?

 早過ぎぬかえ?」


じゃから、喫茶店が開くまで暇を潰そうかと思案しておったのじゃしな。


「それがですね。

 会社から、この時間にココへ行くように指示がありまして。

 最初は喫茶店での待ち合わせと、なっておりましたのに、急に変更されたんです」


ああ、それでイライラしてたのか。

そらぁ、俺でもイラ付くわ。


「なるほど。

 しかし、俺的には助かったかな?

 どうやって時間を潰すか、考えておったでなぁ」


そう告げるとな。


「なら、喫茶店が開くまで、ウチのオフィスへ来られますか?

 多羅さんは入社が確定していると聞きます。

 しかも幹部待遇らしいですよ。


 ですから、弊社オフィスの休憩スペースなら立ち入れるかと」


ふむ。

一時間以上、ここら辺で暇を潰すよりはマシかのぅ。


「では、お言葉に甘えますかな」


そう言うことで、彼女が勤める会社へと。

地下鉄に乗り、一駅戻る。


駅から出て、さほど歩かぬ距離にオフィスが入ったビルが。

表側の入り口は、まだ解放されとらんな。


裏口からビル内へと。

エレベーターにて最上階へ。


25階ビルの最上階へと上がると、廊下を移動。

カードにてロックを外した彼女に誘われ、部屋の中へと。


あー

いや、完全に喫茶店じゃね?

まぁ、店員は居らんし、全てが自販機じゃがな。


っか、奥の方には、閉まっておるが店舗らしき場所が。

シャッターが降りておるが、オフィス内の休憩スペースに店舗?

マジか!


「ココは全てがタダですから。

 まぁ、社員限定ですが、社員しか入れませんので。

 私なんか、3食がココですね」


いや、それは流石に身体的に悪くないかえ?


その後は、彼女。

紫藤(しどう) 沙織(さおり)さんと雑談を。


仕事に戻らんで良いのか、気になったのじゃが、俺の相手をするのも仕事とのこと。

実際に上司から指示があったそうな。


会社の規模は日本のみで、ここを本社に支店が複数あるらしい。

ただ、海外にも委託店舗が存在し、海外との対応を行うため、夜勤にて対応が必要なんじゃと。


まぁ、エンドユーザーは限られており、アクセスは予約制ゆえ、拘束時間は短いらしい。

仮眠も十分にとれるため、結構楽な仕事らしいわえ。


まぁ、幻想機に付随する端末が操れることが、採用の必須条件であり、適応者が少ないのが悩みの種らしい。


たまに、端末オペレーターから幻想機への適合者が現れるらしい。

そうなると、給料は上がるし、待遇も良くなるのだとか。


「多羅さんは、幻想機の適合者なんですよね?

 羨ましいです。

 そんなに、お若いのに、凄いです」


そんなことをな。

おや?

コチラの年齢を知らんのかや?


「いやいや。

 若うはないぞえ。

 五十九歳じゃし、もう直ぐ定年じゃったゆえな。

 まぁ、定年前に退職となってしもうたがな」


そう告げると、驚愕顔でみられてしもうた。

照れるのぅ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ