完成した料理を食べてみようかな?え?ダメ?なんでじゃぁっ!
一連の実験を終えた後、調理へ移るようだ。
まぁ、我慢できんヤツらは、屋台などで購入して食べておるがな。
とは言え、狩人達からしたらオヤツみたいな物じゃろて。
麺はダリルさんが全て打つことにな。
なにせ打つ早さが違うでのぅ。
三つの窯で茹で、麺を引き揚げた釜へは食材が。
灰汁抜きじゃな。
で、その食材と麺で調理を。
麺を湯がくのはパルマさん。
調理は、カーナさんを含む食堂と宿のスタッフとなる。
平打ちされた麺は炒めるみたいじゃな。
ただ、麺の味や風味を損なわぬためか、味付けはシンプルに。
この世界にも胡椒に相当する香辛料は有るのだが、この辺りでは取れない。
だが、代用品は存在するそうだ。
それがゴサである。
風味は胡椒に似ておるが、ゴサの方が辛いそうな。
そして、胡椒に無い苦味をの。
この苦味が良いと言う者もおるが、大概の者は厭う味じゃ。
じゃが、それゆえ庶民の味となっておるようだ。
そのゴザの味を、ダリル麺茹で湯へ潜らせ、それを潰して使っておるな。
ニンニクに相当する品を植物油で炒め、ソコヘ唐辛子モドキとゴサを。
油へ香りを移し、麺を炒める。
仕上げにダリル麺茹で湯を加えておるな。
乳化させるのじゃったか?
良く知っておるの。
『いえ、アレはパルマさんが教えたからですね。
パルマさんも実家で習ったからで、理屈は知りません。
まぁ、実家の方も、美味かったから行うようにと、伝来した内容らしいです。
だから、乳化させているとは、思っていませんよ』
なんとのぅ。
美味かったから、行っておるのかえ?
まぁ、理屈など知らんでも、美味ければ良いわな。
しかし、ペペロンチーノ風の麺かぇ?
香草を散らしておるで、その風味にて口当たりが爽やかじゃ。
ん?
また食べておるのか?っ、とな?
いや、映像ゆえ、幾らでも食えるでな。
まぁ、虚像ゆえ、実際には食べておらぬからの。
その麺を盛った皿へ、湯通しした食材を焼いて添えておる。
ステーキと茹で野菜の炒め焼きじゃな。
コレへスープが付くのじゃが、コレがダリル麺茹で湯へ味を足した代物なのじゃ。
いや、そがぁなので、良いのかえ?
『いえ、おそらくですが、あの湯へは食材の旨みが溶け込んでいるものかと。
ゆえに、味をととのえるだけで、極上のスープへ早変わりすると思われます』
な、なんと!?
それは、是非とも食ってみのば!
『いや、マスター?
流石に食べ過ぎでは?』
いや、映像じゃから構わんじゃろ?
『いえ、食べた感覚は残りますから、実生活へ影響が有るかは分かりません。
マスターのように暴食した方は居られませんので、予想出来ないのです』
はぁ?
実際は食べておらぬじゃろうに?
『脳が食べたと錯覚していますので、食べてなくとも影響が無いとは言い切れないのです。
そこら辺は、流石に解明できておりません。
ゆえに、どのような影響が現れるのか分からないなです』
うーむぅ。
じゃがの、目の前でお預けはのぅ。
厳しいのぅ。
『ふぅ、仕方ありませんね。
今日は、コレで最後ですからね』
流石はアドバイザーさんじゃて。
優しいのぅ。
『もぅ、調子が良い方ですね』
そう言いながら、パスタ料理を出してくれる。
して、また仰天するハメにの。
いやぁ、あのダリル麺が、味付けされたことで、更なる高みへと。
美味い、っうもんでは無い!
思わず美味さで昇天仕掛けたわい!
ステーキ肉が、またのぅ。
雑味がないのに、旨みが深い。
これが、ダリル麺と口内で合わさると、旨みの暴力じゃて。
それを野菜が優しく癒してくれる?
いやいや。
更に足が融合して、とんでも無いことにの。
これなのじゃが、皆が同じ状態にはなっておらぬ。
どうやら、トチナの実を食べた後ゆえ、このような過剰反応となっておるようなのじゃ。
だが、同じようにトチナの実を食べたダリルさんは、まったく問題がないときた。
まことに理不尽じゃっ!




